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【連載番外編】SMAPベスト盤を読み解く PART.3 「世界に一つだけの花」なぜここまで大きく? まもなく300万枚へ――

ドラマ主題歌として成長、9.11後の世界を映し出す

 ベストアルバムのファン投票で、「世界に一つだけの花」は12位にランクインしていた。ファンでない人は、その結果に驚くかもしれない。ちなみに1位は、これもファン投票ならではのアルバム曲「STAY」だし、2位はカップリング曲「オレンジ」だ。ただ、「世界に一つだけの花」の票については「アルバム・ヴァージョン」と「シングル・ヴァージョン」で割れた可能性がある。SMAPファンなら誰もが知ることだが、この曲はそもそもアルバム曲だった。シングル発売前の2002年、『Drink!Smap!Tour』では、本編のエンディング曲として披露され、イントロのアレンジも違えば歌割りも違った。

 シングル・ヴァージョンは、草なぎ剛が主演したドラマ『僕の生きる道』(フジテレビ系)の主題歌として、アレンジや歌割りを大幅に変えたものだったのだ。アルバムでは、木村拓哉が一番のAメロ、次が草なぎ、Bメロが稲垣吾郎。香取慎吾と中居は2番を担当している。また、アルバムの時は木村が担当していた大サビも、シングルではドラマとの連動もあってか、草なぎが歌うことになった。アレンジも、シングルはサビ始まりだし、バンジョーの音が印象的だったりと、全体的にパワフルになっている。コーラスにしても、アルバムの時よりも力強く、主旋律が音の厚みを増している。アルバム・ヴァージョンはアルバム・ヴァージョンで、シングルにはない繊細さがあり、どちらがいいか、好みは分かれるところだ。

 槇原敬之は、『関ジャム完全燃SHOW』で、「あげるつもりで書いたので、もったいないと口では言っても、内心はそんなこと思ってなかった」と話していた。失礼を承知で言えば、「世界に一つだけの花」はとてつもない名曲であることは疑いようがなくても、誰が歌ってもヒットした曲ではないと思う。9.11の数年後で、世の中が保守化し保身に走り、理解できないものに対してどんどん不寛容になっていく中で、“オリジナルを大事にしていこう”“人と自分を比べないで”と歌う曲は、時に反戦ソングと捉えられたりもした。音楽は、時代を映す鏡。あのタイミングで世に出たことは、確かに神様からのメッセージだったのかもしれない。でも、SMAPが歌えばこそ、悩み傷つく等身大の男の姿を描いた『僕の生きる道』の主題歌だったからこそ、あれだけのヒットに繋がったのだ。

ファンの“花摘み”活動続く、“5人最後の曲”は歌い継がれる

 SMAPファンの「世界に一つだけの花」購買運動は、実際にその活動に勤しんでいる人たちの間では“花摘み”と呼ばれ、実際、本作の売上は297.5万枚(12月12日付)。もう少しで300万枚に届こうとしている。

 そして、この曲が、21年続いた『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の最後を飾る曲になったというニュースが流れてきた。12月1日、SMAP5人での最後の歌収録がフジテレビで行われたと。番組は、放送終了をもって終わる。でも「世界に一つだけの花」が、“SMAP5人での最後の曲”と報道されるのには不満がある。“スマスマ”最後の曲かもしれないけれど、SMAPは解散という形をとることになっているけれど、5人は今もしっかり前を向いて生きていて、彼らの歌は、いつまでも歌い継がれる。先日“スマスマ”で、故・坂本九さんの「上を向いて歩こう」を、SMAPが久保田利伸と一緒にカバーしていた。久保田はもちろんのこと、5人が5人とも透明感のあるいい声で、見事に曲にハマっていた。SMAPは、すごいシンガーの集まりだとあらためて思った瞬間だった。彼らの歌には、いつも発見がある。

 「世界に一つだけの花」も「上を向いて歩こう」もどちらもまぎれもない国民的ソングだ。来年以降、SMAP5人が揃って歌う姿が見られなくなっても、SMAPのメンバーは同じ空の下で全員が胸を張って生きている。誰も、ファンが愛した本当のSMAPを、終わらせることなどできない。もしかしたら、何かの拍子で“世界〜”を超えられる楽曲を、突然発表したりしてくれるかもしれないし、生きてさえいれば、そんな可能性だってゼロではない。“世界〜”超えを狙えるのは、他でもない、SMAPしかいないのだから。
(文/菊地陽子)

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