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Mr.Children『音楽シーンのトップを走り続ける男たちがさらなる進化を遂げた瞬間――』

 最新アルバム『[(an imitation) blood orange]』を引っさげたMr.Childrenの全国ツアー横浜アリーナ公演の模様をレポート! 奥深さを増した音楽性と華やかなエンターテインメントが共存する、充実のステージが展開された。

充実のパフォーマンス! 4人の物語はさらなる未来へ……

 ライブ前半のMCで桜井和寿は、こんなことを語った。ポップさであったり冷酷さであったり、さまざまな思いを込めた音楽を作ろうとしてきたこと。これからもそういう音楽を届けていきたいから、ぜひ受け取ってほしいと思っていること――。

 絶望や悲しみが渦巻く現実から決して目を逸らすことなく、どこかに在るはずの希望の光を描き出してきたMr.Children。この日のライブでも彼らは、切実にして誠実な音楽世界をしっかりと表現してみせた。

 全国ツアー『Mr.Children[(an imitation) blood orange]Tour』、横浜アリーナ公演。昨年12月に京セラドーム大阪からスタートし、ナゴヤドーム、さいたまスーパーアリーナ、福岡 Yahoo! JAPANドームを経て、2月からはアリーナツアーへ移行。静岡・新潟・福岡・徳島・鹿児島・福井・広島でライブを行ってきた彼らはこの日、最新アルバム『[(an imitation) blood orange]』の世界観――豊潤な響きをたたえたサウンドと普遍的なメッセージを備えた歌――をストレートに体現したのだった。

 ライブの軸を担っていたのは、もちろん『[(an imitation) blood orange]』の楽曲。憂いを帯びたメロディーのなかで、“悲しい過去”と“安らいだ未来”にまつわる物語が描かれる「過去と未来と交信する男」(楽曲のテーマと完璧にリンクした演出も見事!)、桜井のアコースティックギターを中心にして、温かく、豊かな音像が広がっていった「pieces」、「一緒に歌える? 横浜!」という桜井の言葉をきっかけに大合唱が生まれ、<寂しい昨日と手を繋いで/Happy Songを歌おうよ>というラインとともに心地よい一体感を演出した「Happy Song」。壮大なスケールとズッシリとしたヘビィネスを共存させたサウンドとともに、自分のなかにある不安や狂気と格闘しながら、それでも前に進んでいこうとする意志を描いた「hypnosis」、軽やかで甘いギターポップ系のサウンドがライブ終盤の盛り上がりへと結びついた「Marshmallow day」。

 なかでも強く心に残ったのは、フォークロックテイストの「End of the day」だった。桜井のアコギ弾き語りで始まり、徐々にドラマティックな色合いを帯びていくアレンジメント、丁寧に紡ぎだした言葉を観客の1人ひとりに贈るようなボーカル(特に<あと一歩のとこまで きっと来てる/そうやって言い聞かせて>という歌詞を生で聴いた瞬間は本気でグッときました……)、そして、エンディングで訪れる圧倒的なカタルシス。どこにでもあるようなあたり前の日常に光を当て、普遍性のある歌へと導きながら、数多くのオーディエンスと共有する。それはまさにミスチルの本質そのものだったと思う。

 『[(an imitation) blood orange]』の収録曲以外にも、ミスチルの幅広い音楽性を体感できる場面がたっぷり。「新しい季節にぴったりの曲をお届けします」という桜井の言葉に導かれたコーナーでは、別れと出会い、不安と期待が交差する“春”を感じさせる楽曲が続く。デビューから20年以上のキャリアのなかで培ってきた奥深い音楽性をじっくり味わえることも、このツアーの大きな魅力だ。

 4人のバンドアンサンブルもさらに充実。強烈なダイナミズムと濃密なエモーションを同時に感じさせてくれる鈴木英哉のドラム、メロディアスなラインで桜井のボーカルを支える中川敬輔のベース、的確なコードワークと豊かな音色で楽曲に奥行きを与える田原のギター。華美な装飾を抑え、“言葉とメロディーを伝える”という意識をしっかりとキープしつつも、オーディエンスを興奮させるエンターテインメント性も備えている。そう、20年に渡って音楽シーンのトップを走り続けるミスチルは、いまも確実に進化を続けているのだ。“私は誰?”、“愛とは何?”という根源的なテーマを掲げたオープニング映像、六角形の巨大モニターを駆使したビジョンなど、演出においても新しいトライが行われた今回のツアーによって、このバンドのステージングは大きく前進することになるだろう。

 映画『リアル〜完全なる首長竜の日〜』(主演/佐藤健×綾瀬はるか/6月1日公開)の主題歌に新曲「REM」(発売未定)が決定するなど、早くも新しいアクションを起こしているMr.Children。愛情、憎しみ、希望、絶望といった生々しい感情を込めた――それはつまり、人生そのものだ――。楽曲を生み出し続け、日本中のファンの心を支えているミスチルのストーリーはさらなる未来へ向かって進み続けている。
(文:森朋之)

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