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JKJCたちの本音とは? 椎木里佳が予測する「2017年、これがバズる」

 中学3年生で起業、「JK社長」として一躍知られるようになった椎木里佳。起業から約3年、現在19歳になった椎木は、「女子高生」というアイコンを捨てた代わりに数多くの「顔」を手に入れた。経営者として企業の舵取りを担う一方、情報番組のMCもこなしTVのコメンテーターとしても活躍する。インターネット上では「炎上も怖くない」と積極的に情報発信を続ける椎木は、未来にどんな展望を描いているのだろうか?彼女の事業内容に切り込んだ。今回、椎木が運営するJCJK調査隊の「2017年JCJKに流行るもの調査結果」をもとに、椎木の見るティーンのトレンド動向についても聞いた。

「女子高生とおじさんの橋渡し」椎木里佳の仕事内容とは?

椎木里佳中学3年生の時、やりたいことが13個くらいあったんです。アイドルのプロデュースもしたいし、映画も撮ってみたくて。全部やるにはどうしたらいいか、って選んだのが起業なんです。

 当時15歳、起業のきっかけをあっけらかんと言ってのける椎木。自身が社長を務める「株式会社AMF」ではJC(女子中学生)やJK(女子高校生)たちのトレンドをリサーチし、企業の商品開発やイベント企画などにつなげていく。過去には大手クライアントのLINEスタンプのコンサルティングや、ドンキホーテでの売り上げが1位を獲得したハロウィンのコスチュームをプロデュースしたという。

JCJK調査隊 現在、東京のほか、大阪や名古屋にもメンバーがいる。

JCJK調査隊 現在、東京のほか、大阪や名古屋にもメンバーがいる

 その中核を担うのは80人にもおよぶ現役の女子高生によるリサーチ集団「JCJK調査隊」。椎木が「厳正に審査した」上で選ばれたトレンドに敏感な現役のJCJKたちがリアルな情報を拾い上げて椎木に届ける。

椎木里佳数万人にばらまく大規模なマーケティング調査とは違って、80人がそれぞれ友達や知り合いから『これが面白いよ!』『これがめっちゃ流行ってるよ』と口コミ情報を収集してきます。そのリアルな情報が強みですね。

 その情報を元に椎木が企画を練り、大企業とのビジネスに繋げていく。

椎木里佳時には女子高生のリアルな意見が大企業のおじさんには理解できないようなこともあります(笑)そんなときは、私が彼女たちとおじさんをつなぐ通訳となります!。

 では「リアルなJKたちの声」を拾い上げ、分析した結果「2017年にバズる3つのキーワード」を椎木が語ってくれた。

 リストを一見しただけでは、どんな動向がティーンの間で起きているのか、検討がつかない。椎木は、このリストから3つのキーワードを見つけることができるという。

キーワード1:Instagramのハブ化

椎木里佳やっぱりJCJKたちのスマホの中でも最も大事な位置を占めているのがSNS。ヒト部門にあがっている方は、SNSで火がついた方が多いです。TwitterやLINEで「この人可愛いよ!」とか「この芸人面白い!」と拡散されて話題になっていきます。まずはSNS、それからテレビで取り上げられて一躍有名人に、という流れが生まれていると思います。

 中でも一番はInstagramですね。「SNSのハブ」と言ってもいいと思います。もちろんフェイススワップで人気のSNOWやSnapchatなども大人気のアプリではあるんですが、基本的には加工した写真や動画の出口はInstagramなんです。カワイイ、面白いと思ったものは即写真に撮ってインスタにアップします。今だったらTBSのドラマから生まれた「逃げ恥ダンス」がこぞって踊ってますね。逆に「キス動画」などで流行ったミクチャ(MixChannel)などは、あまり耳にしないくなりましたね。

キーワード2:「ネオぶりっ子」に見る、SNSにおける価値観の変化と「憧れ」の変化

椎木里佳そのInstagramの投稿内容も微妙に変化してきています。端的に表現すれば「自己顕示欲が自己承認欲求を超えたこと」ですね。今まではSNSへ投稿する目的と言えば「いいね!」やコメントなどのリアクション狙いでした。でもそれが変わりつつあります。今では自身の観点で素敵だと思えるかどうかを重視している。「承認欲求より自己満足の世界」と言ってもいいかもしれません。

 その象徴的な人物が菅本裕子(ゆうこす)と池田美優(みちょぱ)の2人です。

菅本裕子(ゆうこす)のinstagram

菅本裕子(ゆうこす)のinstagram

 ゆうこすは元HKT48のメンバーの菅本裕子さんで、彼女は「ネオぶりっ子」の象徴とされています。今までのぶりっ子は女子に嫌われるイメージだったけど、ネオぶりっ子は女子受けするんです。ゆうこすは「モテるために生きてる」って言い切っていて、その感じが「ぶりっ子いいじゃん!」と女子たちの間で逆に肯定されています。

 ネオぶりっ子のそもそもの発端はテレビドラマ「失恋ショコラティエ」の石原さとみさんだったと思います。ものすごいぶりっ子のキャラでしたけど、すごく可愛らしくて、女子高生たちは彼女の着た服や仕草を真似するようになりました。

 今までいいと思われてこなかったものでも「本人がいいって思ってるなら、いいじゃん」という考えが認められ始めています。もうひとりのみちょぱは女子高生に大人気のギャルモデルなんですが、大人にになにか言われても「ギャルで生きていく」姿勢が見える。女子中高生たちにとって、自分の価値観を周りに流されずに発信している存在が同年代から生まれている。そのおかげで普通の女子高生もSNSなどで「自分がいい!」と強く思ったものを人の目を気にせずガンガン発信するようになっているのだと思います。

キーワード3:大人たちの間で流行ると冷めてしまうのが女子高生

椎木里佳そしてもう一つ、忘れてはいけないのが、彼女たちは「大人がハマるものってなんかダサくない?」と思っているということ。今の10代に限らず、この世代ならではの普遍的なことかもしれませんね。ただ、昔に比べて今はSNSを通して「リアルなトレンド」がすぐに見れる時代になっているので、大人たちが流行らせようとしているものには敏感に反応します。例えば、ドローンやVRですが、あれほど世間では騒がれていたのに若者たちにはあまり浸透していません。

 女子高生たちが流行に向ける懐疑的な視線。その最もシビアな例が「ハロウィン」です。今年のハロウィンイベントは、盛り上がってはいたんですけど、高校生自体はほぼ参加してなかった印象。女子中高生のハロウィンは去年の方が盛り上がっていました。確かに日本のハロウィンはあっという間に火がつき、20歳以上の大人のためのイベントに独自に進化、今年の市場規模は1453億円とバレンタインデーを超えるまでに成長しています。でも、大人たちが盛り上がる一方で、女子高生たちは冷ややかな視線を向けているんです。大人たちの方が盛り上がってきて、地方でも積極的にハロウィンイベントをやり始めると、「なんか、イヤ」と感じてしまうんです。流行にうるさい女子高生だと郊外で似たようなイベントが始まると、もう「オワコン(※)」なんです(笑)。 ※オワコンとは、終わったコンテンツの略語。

渋谷のハロウィンの様子。今年も大いに盛り上がりを見せたが、参加者は昨年に比べて地方から来た方が多く見られた

渋谷のハロウィンの様子。今年も大いに盛り上がりを見せたが、参加者は昨年に比べて地方から来た方が多く見られた

 彼女たちには「自分達こそがトレンドを発信してるんだ」という気持ちが無意識にあるんじゃないかなって思います。つまり大人サイドからウケを狙って仕掛けていけばいくほど、それを見透かしてJKたちは引いてしまうような気がします。

「炎上上等」「最終的に成功すれば失敗なんてない」椎木里佳の仕事の哲学

 「私は一人ひとりのJC、JKたちと日頃からコミュニケーションをとったり、仕事以外でも相談に乗ったりしているので彼女たちの些細な変化がわかるんです」と自身の強みを語る椎木。だがその強みを活かし、ビジネスに繋げるには数多くのトラブルも経験してきた。

 創業当初、女子高生社長として一躍注目を浴びた反面、多くの「アンチ」からの批判も寄せられた。女子高生にはさぞかし辛いと思いきや、「炎上、上等って感じです。(笑)親が上場企業の社長で、幼稚舎から慶應で、顔もそこそこカワイイ(笑)。さらに社長までやってる。そりゃ叩かれますよね。それに私、最終的に成功すれば、“失敗”なんてないと思っています」

 だが、アプリ開発の外注先が不祥事を起こし、自らのTwitterが大炎上したときには「珍しく追い込まれた」という。

椎木里佳もちろん、関係各所にはすぐに謝罪にいきました。でもTwitterで『炎上させてくださった皆さんありがとうございました』って投稿がまた炎上して。しかもタイミングの悪いことに食中毒になってしまって、トイレにこもって吐きながら事後対応に追われていました。(笑)反省する部分は多いですが、学ぶことも多かったです。

 弱冠19歳、転んでもただでは起きないタフネスを身につけつつある。創業から4年目、これから椎木はどこへ向かうのか。「2020年には上場したいし、将来的には『若者のことなら椎木に聞け』って言われるくらい会社を大きくしたい」壮大な目標をこともなげにいってのけるが、そこにギラついた野心が隠されているワケでもない。

 憧れる人物とか聞かれますけど、悩みますよね…。上の世代には、活躍されている女性起業家が数名おられますが、私の同世代にそういった方ってまだいなくて。起業家は天才しかなれないとかっていう都市伝説的な話を聞くんですが、自分は違うと思っていて。もっと色んなタイプの起業家がいてもいいと思うし、私は肩肘張らずにやっていきたい。起業当初は色んなことがやりたくて自己満的な形で起業しただけですし。(笑) ただ、自分の芯は曲げない、米VOGUE編集長のアナ・ウインターみたいな存在の女性になりたいと思ってます。

 常に想像の斜め上を行く女子大生社長、椎木里佳。ネットではとやかく言われることが多い彼女だが、実際に会ってみると彼女の底知れないバイタリティを感じた。これからも躍進する彼女に注目していきたい。

写真:木村心保
ライター:那須葉月
椎木里佳:1997年生まれ。15歳で起業し、株式会社AMF代表取締役社長。現在、慶應義塾大学文学部1年。女子中高生のマーケティングチーム「JCJK調査隊」を運営し、女子中高生向けのプロデュース事業などを手がけ、株式会社TOKYO GIRLS COLLECTIONの顧問、タグピク株式会社の戦略顧問にも就任。2016年2月には、Forbes ASIAが選定する「30歳以下の世界が注目すべき30人」に選出される。

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