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TVドラマタイトル“略称”の遍歴 SNS時代にもマッチ?

     10月期のTVドラマは女性主人公が活躍する作品が人気を集めているなかで、もうひとつ、新垣結衣主演の『逃げ恥』(TBS系『逃げるは恥だが役に立つ』)、石原さとみ主演の『地味スゴ』(日本テレビ系『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』)といった長いドラマタイトルの“略称”も視聴者にインパクトを与えている。過去をさかのぼれば、木村拓哉・山口智子主演の『ロングバケーション』(フジテレビ系/略『ロンバケ』)や井上真央主演の『花より男子』(TBS系/略『花男』)など、TVドラマの略称は昔からあるが、ここ1、2年は文章のように長いタイトルの作品が増えているからか、ユニークな略称を見かける機会も多い。ドラマタイトルの“略称”増加の背景と、その効果とは?

    公式がSNSでの拡散を狙い略称を自ら発信

     『逃げ恥』『地味スゴ』、そして『いつ恋』『ダメ恋』『できしな』『スキコト』『セカムズ』。これらは現在、女子高生たちの間で流行している言葉……ではなく、ここ1、2年ほどの間に放送されたTVドラマのタイトルの略称だ。前述した『逃げ恥』『地味スゴ』以降の作品は、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)、『ダメな私に恋してください』(TBS系)、『私、結婚できないんじゃなくて、しないんです』(TBS系)、『好きな人がいること』(フジテレビ系)、『世界一難しい恋』(日本テレビ系)の略。以前にも増して、ユニークな略称を見かける機会が多くなっている。

    「懐かしいところでは『あぶデカ』(日本テレビ系『あぶない刑事』)や『渡鬼(わたおに)』(TBS系『渡る世間は鬼ばかり』)、木村拓哉さんが出演されていた『ロンバケ』、『ラブジェネ』(フジテレビ系『ラブジェネレーション』)など、ヒットドラマに略称はつきものです。ただ、最近は以前と比較して、自然発生的なものよりも公式が『○○と略してくださいね!』と最初の段階で略称使用を促すことが多いように見受けられます。WEBなどのニュースやTwitterでのハッシュタグによる拡散を狙って、コンパクトにまとめることで利便性と親しみやすさを高めたい、という狙いがあるのでしょう。私たちとしても、公式略称があったほうが助かりますしね(笑)」(エンタメ誌編集者)

    日本人に一番なじむ「4文字」の略語

     昨今はライトノベルのように、ドラマのタイトルにも一目見て内容まで何となくわかるような“わかりやすさ”が求められているのか、文章のような長文のタイトルや、サブタイトルが付けられたものも目立っている。しかし、情報番組や新聞、ニュースなどで取り上げられるたびに、いちいちフルのタイトルで記載するには長いし、文字数も限られているし、「あのドラマのタイトルなんだっけ、恋がナントカ…」と、視聴者もいちいち覚えてはいられない。一方で、『逃げ恥』『地味スゴ』ならすぐに耳になじむし、気になったら検索して『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』などと出てくれば、「女性校閲者が主人公の物語なんだな」とすぐに理解できる。そのためには、放送前からも1パターンの公式略称を浸透させておく必要があるのだ。

    「もしかしたら『公式で自分から言っちゃうなんて何か恥ずかしい…』と思われる方もいるかもしれませんが、作品を覚えてもらうのに略称が分散してしまうのは効率的ではありません。ちなみに略称は漢字をひらくと“4文字”のものが多いですが、3文字だと短すぎて逆によくわからないですし、5文字だと語感があまりよろしくない。ドラマに限らず、昔から長い日本語を略すときは4文字にすることが圧倒的に多いんです。拗音を除いた4拍が、日本人にとって一番心地いいリズムとされているようです」(前出・編集者)

     TVドラマの長い歴史の中で、短いタイトルは過去の作品とかぶってしまうことも多く(かぶっているものもなくはないのだが)、今後も長文タイトルの傾向は当分続いていきそう。もちろん、ドラマのヒットは内容の面白さがあってこそなのだが、今の時代、意外と“略称”が視聴率を左右してしまうような、重要度の高い存在になっていく可能性もあるのだ。

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