賛否両論の朝ドラ“方言” 再現どこまで?

 10月からスタートしたNHK連続テレビ小説『べっぴんさん』(NHK総合)。舞台が神戸ということで出演者は関西弁を話しているのだが、その関西弁に賛否両論が巻き起こっている。主演の芳根京子はもとより、出演者の多くは関西出身ではなく、もともと関西弁が話せるであろう出演者は生瀬勝久、中村玉緒、名倉潤ぐらいだが、特にナレーションの菅野美穂の関西弁に「違和感を感じる」という人も少なくないようだ。菅野と言えば演技力には定評があるだけに、ナレーションで賛否が起こるとはまさに予想外…。果たして、ドラマや映画の“方言”はどこまで再現するべきなのだろうか?

インパクト大の方言は効果的な決め台詞に

 ドラマや映画で方言が使われることは、特に珍しいことではない。朝ドラでも、テレビドラマ史上最高視聴率を記録した『おしん』(同/1983〜84年)では、主人公が山形の農村出身だけに、かなりのなまり(おしんが“おすん”に聞こえるぐらい)が聞かれたが、当時はそれもドラマの特徴として話題になり、視聴者にもすんなりと受け入れられていた。2013年前期の朝の連ドラ『あまちゃん』で流行語になった“じぇじぇじぇ”も、岩手県(一部)の方言で“かなりびっくりした時の感嘆表現”であり、主人公が自分を“オラ”と呼んだり、語尾に“〇〇けろ”をつけるのも立派な方言である。そもそも連続テレビ小説自体、全国各地が舞台となることが多いだけに、方言が使われるのはごく自然、その度に「私は地元出身だが、あんな方言は聞いたことがない」といった論争が巻き起こるのも、ある意味でお約束になっている。

「方言はインパクトもあるし、決めゼリフやキャッチーなフレーズとして効果的に使われれば、視聴者の印象にも残りやすいので、制作側もあえて使う場合が多いんです。たいていは方言監修を付けますが、実際のネイティブのまま話すと視聴者にわかりづらいので、“いい塩梅”に標準語に近づけるのが常識です」(ドラマ制作会社スタッフ)

逆にドラマや映画で多数の流行語となった“違和感ある方言”

 実際、現地の人が話す方言にいくら近づけたところで、視聴者が理解できなければ意味がない。ましてや朝ドラともなれば、日本全国の老若男女が観るのであり、ある程度“ならす”必要もあるのだろう。今回の『べっぴんさん』にしても、関西のお笑い芸人が大挙して東京進出を果たし、東京人でさえも時には慣れない関西弁を話すという文化が定着している今、あのくらいでちょうどいいという考えもある。そしてその結果、多数の流行語が生まれてきた。

「近年だと朝ドラ『あまちゃん』が挙げられますが、以前にも、『スケバン刑事? 少女鉄仮面伝説』(フジテレビ系/1985〜86年)で、主人公の五代陽子(二代目麻宮サキ)を演じた南野陽子さんは、高知県の土佐出身という設定で、決めゼリフの“おまんら、許さんぜよ”は流行語にもなりました。土佐弁と言えば、映画『鬼龍院花子の生涯』(1982年)で夏目雅子さんが発した、“なめたらいかんぜよ!”も大流行したし、そもそも1970年代の大人気ヤクザ映画『仁義なき戦い』シリーズで、菅原文太さんらが話す広島弁、“〇〇じゃけん”は誰もがマネしていました」

 ドラマや映画において、方言はあくまで作品の舞台となったその土地の言葉にすぎず、必ずしも忠実に再現されなければならないものでもないだろう。要は違和感なく作品に溶け込んでいればよいのだが、現地の人にとっては「違和感がある」と感じるのもまた、人気作品の証拠なのかもしれない。仮に作品中の方言の発音やアクセント、ニュアンスが議論になったとしても、今やそれ自体が作品の宣伝になっているとすら言える。

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