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【KinKi Kidsライブレポート】20周年を前に見せた、2人で奏でる音楽の極み

ソロ曲の封印を解いて―― 改めて感じる2人の音楽の尊さ

 そんな感動的な歌と舞い、面白すぎる会話の妙を目の当たりにしたあと、2人のライブではそれまで封印されていたソロのコーナーへ。自作曲をいくつも持ちながら、それらは披露せず、完全に“ダンス”にフォーカスした光一と、自作曲を歌ったあとで、ベースを弾きながらバンドを煽っていくファンク演奏に特化した剛。ソロでやっていること、つまり2人のやりたいことがあまりにも違うことを再確認しながら、だからこそ、KinKi Kids2人での表現が持つ爆発力のようなものを痛感せざるを得ない。ソロもいい。2人ともストイックだし、やりたいことを極めているのはわかる。でもだからこそ、19年、2人がともに歩んできた道のりが、世に送り出してきた音楽の数々が、尊いと思えるのだ。

 今回のソロコーナーには、光一のソロ終盤には剛が、剛のソロ終盤には光一が参加し、盛り上げたり笑いを誘ったりするシーンもあり、そういう意味でもこのツアーは、ファンが見たかった光景の連続である。デビューから19年、こんなふうにそれぞれの音楽と、2人で奏でる音楽を極めた場所にたどり着くことを、誰が想像できただろうか。

歌謡曲の正統的継承たるKinKi Kids、成熟した彼らが向かう先

 KinKi Kidsの、日本のミュージックシーンでの役割は、“歌謡曲の正統的継承”である。そのことは、吉井和哉が書き下ろした新曲「薔薇と太陽」を聴いてもよくわかる。終盤は、シングル曲をメドレーで歌うのだが、初期のものから最近のものまで、すべて名曲揃い。とくに、2人だからこそのデビュー曲「硝子の少年」など、2人でもう何度歌ったかわからないほどだろう。でも、あれから19年経った今、武道館で、成熟した2人が歌う「硝子の少年」には格別の輝きがあった。アイドルとしてでなく、音楽家として。2人から発信される音楽は、一番新しいものが、たぶん一番美しい。

 アンコール1曲目に披露したのは、シンガー・ソングライターの安藤裕子が書き下ろした新曲「道は手ずから夢の花」。どこか和的な、雅な雰囲気を漂わせた楽曲である。KinKi Kidsの2人は、楽器も弾ければ、それぞれが曲を書くこともできる。でも、日本にはすぐれたソングライターが大勢いて、KinKi Kidsが歌う前提で書くことで、新たなイマジネーションを刺激されることもある。アイドルの楽曲は、クリエーターのイマジネーションの結晶だ。歌えて、踊れて、楽器が演奏できて、ファッションに音楽に笑いと、あらゆるセンスに優れた2人は、だからこそエンタテインメントの“頂点”を極められる。一切の妥協なく、視覚的にも音楽的にも美を極めた「We are KinKi Kids」は、まさに日本のアイドルカルチャーの絶頂にある。

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