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Kis-My-Ft2ライブレポート 200万人の動員を達成した7人の真の魅力

  • ツアーは8月14日、福岡ドームで最終日をむかえる

    ツアーは8月14日、福岡ドームで最終日をむかえる

 8月4日、東京ドーム。人気グループ・Kis-My-Ft2はこの日、デビュー後のツアー動員数が200万人を突破した。ジャニーズ事務所では最速だというこの記録。7人はステージで、まさにそれを裏付けるようなパフォーマンスを見せてくれた。バラエティなどでも活躍する彼らだが、やはりその本領はライブで発揮される。デビュー5周年、『Kis-My-Ft2 CONCERT TOUR 2016 I SCREAM』Kis-My-Ft2の魅力について迫る。

ローラースケートのスピード感と“自虐力”、男もハマるキスマイのライブ

 エンタテインメントなのに、“試練”のような厳しさ。最新鋭マシンによるウォーター演出は、まるで“滝行”のよう。場面が変わるたびに、驚嘆の叫び声が東京ドームにこだまする――。2011年のデビューから5年、ツアー200万人動員を達成したKis-My-Ft2(以下“キスマイ”)の東京ドーム公演『Kis-My-Ft2 CONCERT TOUR 2016 ISCREAM』は、胸のすくような疾走感に溢れていた。

 キスマイのライヴは、たぶん“男も惚れる”ライブだ。バラエティ番組『キスマイBUSAIKU??』(フジテレビ系)でしか彼らを知らない男性が、7人が真剣に歌い踊っている姿を見たら、まずそのカッコ良さに度肝を抜かれ、そして彼らのバラバラの個性が生み出すハーモニーにどハマりすることだろう。彼らのライブには、ローラースケートという武器を最大限活用して生まれたスピート感と、“自虐力”とでも呼ぶべき自分を落として笑いを取りに行くパワーという、男子の大好物が二つも備わっている。しかも、7人が疾走することで生まれる風のスピードは、年々速度を増しているように見える。メンバー各々の個性もチームワークも、年々磨きがかかっているように見えるのだ。

テレビでの不安定感と、主戦場であるライブの安定感のギャップ

 冒頭、シルバーの変形風船を身にまとい、仮面をつけた7人がステージ外周から登場し、一斉にローラースケートでメインステージに向かった。風船がまるでロボットの腕のように風にたなびく。ジャニーズJr.が華麗なアクロバットを披露している間、7人の姿は消え、気づけばメインステージ上空に、彼らはいた。「YES! I SCREAM」の間奏で、一斉に20メートルの高さを鳥のように舞い降りる。このイリュージョンのようでいて肉体の躍動感もしっかり感じさせる演出は、でもまだ“驚嘆”の入り口で、その先にある興奮とスリルとを十二分に予感させた。

 派生ユニット“舞祭組”のメンバーを筆頭に、歌番組やバラエティではいい意味での“不安定感”が視聴者の興味と関心を誘っているキスマイだが、ライブのパフォーマンスは、超がつくほどに安定している。北山宏光、藤ヶ谷太輔、玉森裕太のいわゆる“前の3人”は当然として、“アイドルオーラのなさ”が売りの“舞祭組”の4人も、歌い踊っているときのキラキラ感は、一瞬で5万5000人を魅了できるアイドルのそれだ。

 歌やドラマやバラエティ、情報番組や歌番組で、どんな個性を発揮しようとも、ジャニーズ事務所に所属するグループの主戦場はライブ。ライブに足を運ばなければ、グループはもとより、メンバーの本当のポテンシャルに触れることはできない。それにしても、キスマイの魅力の可動域たるやこれまた年々拡大していて、チームでのカッコ良さと、ソロのときの振り切れ方のギャップなど、その“危うさ”にゾクゾクさせられる。

デビュー5年目、強い個性の7人がアンコールでずぶ濡れに

 二階堂高嗣がリーダーとなって振りを合わせた「メガ☆ラブ」では会場が一体化し、続く「最後はやっぱり君」ではしっとりと歌を聴かせる。その緩急のつけ方も巧みで、舞祭組による「棚からぼたもち」では、東京ドームが宴会状態に。かと思えば、初挑戦した和太鼓のパフォーマンスではあくまでパワフルに、日本男児っぽい熱さを漲らせる。火柱の中で歌い踊った「Black & White」も、セクシーさとワイルドさが交錯していた。歌っているメンバーや近くにいるメンバーに合わせてペンライトの色を変えることで、観客もまた曲の演出に深く関わっていく。キャッチーで、パワフルで、カッコ良くて、派手で、スピーディで、チームワーク抜群。でも自虐もできて面白い。キスマイはデビュー5年目にして、7人が7人とも強いキャラクターをもって並び立つグループになった。

 アンコールでは、日本初上陸だという観覧車型のウォーターマシンから2トンもの水が放水され、7人はEDM曲「I Scream Night」を歌い踊った。通称「キスマイジェット」と呼ばれるマシンの繰り出す水と光のシンフォニーも美しいが、その前でずぶ濡れになりながらもはっちゃける彼らの無邪気なこと。ステージいっぱいに降り注いだ愛のシャワーを全身に浴びる彼らの姿は、それを見守る5万5000人のファンの心にしっかりと刻まれた。幸福な夏の思い出として――。
(文/菊地陽子)

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