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“ブスキャラ”演じる女性芸人 “共感力”で女優としても需要拡大

  • 『Dr.倫太郎』での演技が高い共感を呼んだハリセンボン・近藤春菜

    『Dr.倫太郎』での演技が高い共感を呼んだハリセンボン・近藤春菜

 最近、実写化ドラマ版『天才バカボン』(日本テレビ系)でおかずクラブのオカリナがバカボン役を演じたり、『Dr.倫太郎』(同)のハリセンボン・近藤春菜の演技が絶賛されるなど、何かと女芸人がドラマに出演する機会が増えている。こうした傾向は、放送作家・鈴木おさむ原作のドラマ『ブスの瞳に恋してる』(フジテレビ系/2006年)で、主人公の“ブス”を森三中・村上知子が演じたことに端を発すると言われているが、最近の女芸人が“ブスキャラ”枠を担う存在として重宝されているのは、いったいなぜなのだろうか?

女芸人は“ブス役”であってブスではない

 のっけから“ブス”を連発して心苦しいが、この“ブス”は女芸人にとってはある種のウリであり、親しみやすいホメ言葉でもある。やたら美人だと、視聴者側もイマイチ本気で笑えないし、“お笑いのクセに気取っている”などと的外れな批判を買うことさえあるからだ。

 女芸人たちは客を笑わせるネタとして常日頃から、見た目ではなく、言動や性格が“ブス”な女性をコントやキャラネタで演じることが多く、MCや男芸人にイジられる“ブスイジリ”にしても、その延長線のことであり、彼女たちにとってはある意味“美味しい”役回りだとも言える。そして、そうした彼女たちがドラマや映画などで“ブス役”を演じていても、見る者誰もが違和感を持たず、すんなりと自然にブス役に感情移入することができるのである。

演技派女優では得られない女芸人の“リアリティ”

 「ドラマの制作側にしてみれば、女芸人さんは大変に重宝する存在なんです。以前、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)という地味でさえないイジメられっ子の女子をイケメンふたりが改造していくというドラマがありました。主人公は堀北(真希)さんで、彼女の出世作でもあるんですが、一方では“こんなにかわいいブスはいない”“無理がある”などという意見も多かった。基本的に女優さんは皆さんキレイですから無理をしてブスを演じても違和感しか残りません。観る側も“実際にはモテないはずがない”というバイアスをかけて見てしまう。その点、女芸人さんがブス役を演じることは、普段のコントやモノマネでさんざんやってることですし、場合によってはヘタな女優さんよりもリアルで、演技力がある。女性視聴者も共感できるし、自然に受け入れることができるんです」(ドラマ制作会社スタッフ)

 実際、森三中の大島美幸は映画『福福荘の福ちゃん』で、気は優しいけど奥手な塗装職人という中年“男性”役を演じ、その演技は「第18回ファンタジア国際映画賞最優秀女優賞」を受賞するほど高く評価された。また、先述の『Dr.倫太郎』では、近藤春菜が会社でのイジメに耐えかねて自殺未遂を繰り返すOL役を好演していて、「ピーピーもらい泣きした」「演技が凄くて鳥肌が立った」などと、ネットでも大絶賛されたのである。

役者が超えられない壁の向こう側でこそ光る演技力

 「女芸人さんは、演技力にとどまらず、その雰囲気や存在感だけでも十分に本職の俳優さんを超えてしまうことがあります。バカボン役のオカリナさんは、演技というよりキャラクターをそのまま現実に引っ張り出したような再現力で絶賛されました。見た目がそっくりすぎて面白かったですし、芸人だからこそ出せる“個性”があり、プロの俳優が必ずしも“適任”であるとは限らないということです。役によっては、普通の役者さんでは“超えられない壁”があると言ってもいいでしょう」(前出・スタッフ)

 そう考えると、普段から仕事としても“ブスイジリ”を受け、ネタで培った演技力もあり、見た目にも自然に視聴者に受け入れられる女芸人は、役によってはプロの女優も敵わない最高の“女優”としての素質を持っていると言えるのである。このままいけば、近い将来いつのまにか大物女優に成長している女芸人も出てくるだろうし、今の女芸人の中から“第二の泉ピン子”が誕生する可能性は十分にある。

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