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綾野剛×忽那汐里、13年の役者キャリアで力不足を実感…限界を目の当たりにして乗り越えた

全世界で1億1500万本以上の売上を誇るRPG『FINAL FANTASY』シリーズ。その最新作と同じ世界と時間軸で描かれた映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』が完成した。世界最高水準のCG技術をフルに盛り込こみ、同シリーズのファンであり声優初挑戦の綾野剛と、国内外の作品で活躍中の忽那汐里を起用することで新たな『FINAL FANTASY』の世界観を作り上げている。メインキャラクターの声を務めるふたりに声優業の難しさ、『FINAL FANTASY』の魅力などを聞いた。

役者としてできることに必死に向き合って試みた(綾野剛)

――綾野さんは声優に初挑戦、忽那さんは劇場アニメの声優は2度目になりますが、声優業の難しさをどんなところに感じましたか?
綾野剛13年近く役者をしていますが、僕のキャパでは足りないことを実感した現場でした。山寺宏一さんなど声優を本職とされている方々とは根本的にエンジンの質が違います。テクニカルな面も含めプロとしてのすごみを見せつけられました。できれば1ヶ月ぐらいは声優としての技術や声の出し方、表現の方法の違いを特訓したかったなと正直思いました。
忽那汐里私は今までに何度か声優の経験がありますが、今回はちょっと勝手が違いました。綾野さんより先に声を入れたので、綾野さんが演じたニックスの声だけがまだ英語だったんです。ニックスの英語の台詞が理解できてしまうぶん最初は混乱してしまい、ニックスの声を消して声を入れたりしました。
綾野剛忽那さんは英語が堪能なので余計に難しさがありますよね。
忽那汐里思わず英語で台詞を言ってしまうことはありませんでしたが、文章の構成が日本語とは逆なので相手の台詞に食ってしまいそうになったりして。声を入れるまでに何度もルナフレーナの英語の台詞を聴いて練習していたので、英語のほうが私のなかで強くなってしまったのかもしれません。それでも失敗しながら学ぶことができましたし、声優さん方が作ってくださった今作の世界観を自分なりに理解していくことは新鮮でした。
綾野剛世界観と言えば、声優に初めて挑む怖さや恐怖に立ち向かう感じがこの作品の世界観にピッタリだと感じました。恐怖に立ち向かって突き進むしかないという状況はニックスと似ていたので、そこは演じる上でとてもプラスになりました。

――おふたりはそれぞれどんなふうに演じていかれたのでしょうか?
綾野剛今作に携わるにあたり、事前に声優さんが演じている映像をたくさん観たのですが、みなさん声だけで肉体的なことも全て表現されていました。僕が役者としてできることはなんだろうと必死で向き合って試みたのが、例えばニックスが首を掴まれているシーンでは、自分で自分の首を掴んで顔をうっ血させながら演じるという方法でした。でもそうすると台詞があまり明瞭ではなくなりますし、ニックスの表情と自分の表情が違いすぎてもよくない。それでも声だけで表現できてしまう声優さんとの差を少しでも埋められたらと、試行錯誤しながら全力で取り組んでいきました。
忽那汐里綾野さんがおっしゃるようにどうしても声優さんとの差は出てしまいます。ただ、自分の体で表現していくのではなくルナフレーナの映像を観てお芝居することができたので、そこにとても助けられた気がします。役者としてルナフレーナの感情をどこまで出していくかというよりは、映像に合わせて演じることが役に近づける一番の方法なのではないかと。2日間で全てを録ったのですが、いろいろな挑戦をしては自分の限界を目の当たりにしたり、挫折を乗り越えたりしながら、とても勉強になった現場でした。
綾野剛普段お芝居をするときはメイクや髪型を変えて衣装に着替え、美術セットやロケ現場に入ると必ずそこを見て廻っています。ところが今作ではその全てが映像のなかに詰まっていたので、映像に限りなく気持ちを近づけていって作品の世界に入り込んでいくようにしました。

ゲームを知らなかったからこそ気づいたこと(忽那汐里)

――声優を務めたことで改めて感じた『FINAL FANTASY』の魅力とは?
綾野剛“光と闇”という部分を1987年の発売から一貫して表現し続けているところが『FINAL FANTASY』のすばらしさだと思います。今の時代、淘汰されていってしまうことも多いなかで、ブレずに新しいファンを取り込んでいくのは難しいこと。それでも諦めずに基本を貫く姿勢は新しい改革に繋がるのではないかと個人的には思っています。
忽那汐里私はゲーム自体全く触れてこなかったのですが、だからこそ『FINAL FANTASY』のすばらしさに気づくことも多かったです。例えば、今作の声を入れる前にゲームのサンプル映像を見せていただいたのですが、まるで実写のような人間の動きや話し方で、背景なども非常にリアル。とても衝撃を受けました。私のようにゲームを知らなかった方も映画を観ていただければ、そのすごさに驚いていただけるのではないかと思います。
綾野剛先日、忽那さんと一緒に『FINAL FANTASY XV』の映像を拝見したのですが、ゲームを知らないからこその忽那さんの反応がすごく豊かでした。今作に関わることで、ファンとして『FINAL FANTASY』に少しでも恩返しができたらと思っていたのですが、まさにこういうことだと実感できた瞬間でした。
――恩返ししたいほど綾野さんは昔から『FINAL FANTASY』のファンなんですよね。
綾野剛僕は10代の頃からやっています。若い頃に『FINAL FANTASY』を通して授かったものは今も芝居や人生観に影響していると思います。僕が声優として参加することで、ひとりでも多くの方に『FINAL FANTASY』を知っていただけるならとても嬉しいです。微力ながら、少しでも恩返しになるならという想いで今回オファーを受けさせていただきました。
――声優のお仕事は今後も続けていくのでしょうか?
綾野剛(オファーがあっても)当分受けることはないです。僕は役者であって、声優ではありませんから。ただ、もし次に受けさせていただくとしたら、今回とは違った準備の仕方を試してみたいです。たまに芸人さんとお芝居をご一緒することがありますが、「役者さんは本当にすごい」とよく言われます。僕は芸人さんのお芝居こそ巧くてビックリすることのほうが多いのですが、芸人さん方からすると「役者の芝居の突き詰め方は根本的に違う」と感じるようです。その気持ちが、今回声優をやらせていただいたことで理解できました。もちろん引き受けたからには全力で向き合っていますが、経験値や根本的な突き詰め方が声優さんとは圧倒的に違うというか。なので、もし機会があれば今回以上の表現ができるようにがんばらせていただきたいという思いはあります。
忽那汐里私は役者が声優をやる意味をきちんと把握してからじゃないと決断できないと思います。今回のように映像と作品世界に魅力を感じて、それを多くの方に伝えたいという思いがあれば受けますが、求められる役割が自分で務まるのかなど、自分が演じることの意味をしっかりと考えたいと思っています。

――『FINAL FANTASY』が映画化されるメリットはどんなところに感じますか?
綾野剛極端な言い方になるかもしれませんが、今作はゲームファンだけではなくいろいろな層の人たちに『FINAL FANTASY』というゲームを知ってもらうための最大のプロモーションだと思っています。昨今増え続けている小説や漫画などの人気原作の実写映画化作品との違いは、きちんとゲームのクオリティと世界観を引き継いで、ストーリーも連動させているところではないでしょうか。それがゲームファンにも受け入れられる理由であり、魅力になっていると思います。
忽那汐里今作で描かれているのと同じ時間軸のなかでゲーム(XV)は進行しているので、キャラクターを含め両方の世界がリンクしている部分を発見するとおもしろいと思います。今作を観てゲームにも興味を持っていただける人が増えたら嬉しいです。
綾野剛今作はある意味『FINAL FANTASY XV』のエピソード0とも言えます。ゲームのエピソードに関わってくる部分があり、またその先の未来にも通じているのですごく秀逸なリンクのさせ方をしていると思います。ぜひ『FINAL FANTASY』の世界を映画館で体感していただきたいです。
(文:奥村百恵/写真:逢坂 聡)
<綾野剛>スタイリスト:富田彩人/ヘアメイク:石邑麻由
<忽那汐里>スタイリスト:高山エリ/ヘアメイク:山田典良

KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV

 RPG『FINAL FANTASY』シリーズ最新作『FINAL FANTASY XV』と同じ世界、時間、キャラクターで描く、もうひとつの物語が映画『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』。『FINAL FANTASY XV』ゲーム本編はルシス王国の王子・ノクティスの視点で進行するが、『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』はノクティスの父である国王・レギスの視点で進行し、レギスとノクティス、父と子の絆がそれぞれ描かれる。

プロデューサー:田畑端
ディレクター:野末武志
声の出演:綾野剛 忽那汐里 磯部勉 山寺 宏一 かぬか光明 関智一 藤村歩
7月9日(土)全国ロードショー
(C)2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
【公式サイト】(外部サイト)

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