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aikoインタビュー 「私は夢を食べて生きていく」永遠の恋愛体質の理由とは?

現在、ツアー『Love Like Pop vol.19』敢行中のaiko。

現在、ツアー『Love Like Pop vol.19』敢行中のaiko。

自分の中で問題を抱え込んでるときの方が作ることに没頭できる

――具体的に曲の話も。1曲目「何時何分」は特にすごい曲だなぁと思いました。メロディのアレンジも詞のストーリーも、まさかの展開というか。緊張感と意外性のあるドラマで、ドキドキしました。
aiko“あめちゃん”っていう歌いだしやから、驚かれるかな、関西以外の人はわかるかなって思いましたけど(笑)。

――でも、飴を探していたら、ゴミ屑と失くしたはずの指輪が出てくるという始まりで(笑)。
aikoこれ、本当にあったことなんです。ある日、ノド飴を探してカバンをごそごそしてたら、忘れた頃に“こんなとこにあったんや!”っていうものが見つかって。「あれだけ探した時は見つからなかったのに」って感じたことがキッカケになりました。

――頭の4行は象徴的ですよね。ここから、恋愛関係において、2人が“失くした物”とか自分が“探していた物”について思いをはせている。
aiko私、普段から大事な物を宝探しみたいに、いろんなところに置いておく癖があって。その時々で忘れちゃうから。探しても見つからなくて、何年か経った時、“ああ、ここにあったんや!”っていう。ゲームみたいなことをしちゃう(笑)。

――不思議と、探すのを止めた後に見つかるんですよね(笑)。
aikoそう。でも、後で見つかって嬉しいこともあるけど、その間、嫌なことが起こって、それがすでに大事じゃなくなっていたり、むしろ、失くしてしまいたかった物になっていたりして。寂しいなと思う。そういうことを普段から癖でやったり思ったりしているから、生まれた曲なのかなと。

――恋人との関係で言えば、お互言いたいことを言えないままで放置しているうちに、気持ちがずれていくみたいなことですよね。
aikoそう。この曲は、そうやってどんどんずれていって終わってしまったっていう。

――前半はどこか俯瞰しているような詞なのに、サビになると、儚げに舞い散るようなメロディラインと、「さようなら」や「愛している」という言葉のリフレイン、情熱的なボーカル合わさってね。不意打ちで涙腺が緩むんです。
aiko後半は、私も自然と感情的になって歌っていたから、聴いてる人も、そういう気持ちになるんかな? それだったら、嬉しいなぁ。

――ちなみに、これは、いつ出来た曲ですか?
aiko今年2月あたりです。今回のアルバムは最近の曲が多いんです。自分にとっても最近の日常をアルバムに出来た気がします。

――いつも以上に悲しみや切なさが深い曲が多いですけど(笑)。
aiko多いですね(笑)。

――でもaiko さん、幸せな時も切ない曲が出来るって言ってましたもんね。
aikoはい(笑)。幸せでも不幸でもなく、自分の中で問題を抱え込んでるときの方が作ることに没頭できるんです。幸せなことより、悲しいとか悔しいっていう負の気持ちが糧になるし、曲作りのスイッチになる。だから、詞にも書いているけど、嫌なことも悲しいこともよく見たいし、よく聞きたいって思う。

――ただ、aikoさん、だいぶ傷つきやすくて感じやすい人だから、悲しことがあるたびに大変じゃないですか?
aiko大変!(笑)。それを曲に出来た瞬間だけはラクになったりするんですけどね。でも最近は、聴いてくれた人から「私も同じです」っていう手紙をもらうと、意外に不器用なコっていっぱいおるから大丈夫やって。多分、同じくらいの比率でそういう男子もいるだろうし、まぁ、いっか!って思えるようになりました(笑)。

――(笑)。
aiko私は感情の起伏が激しいし、重箱の隅をつつくようなところがあるから、何かと苦しいことも多いけど、今もそれも含めて楽しもうと思える。まぁ、相手には面倒くさいなって思われてるだろうけど、それすらも悪くないなって(笑)。きっと、受け入れてくれる人もどこかにいるはずだし。

――おおっ、悟りの境地ですね。これもテレビでも話されてましたけど、昔の好きな人に「付き合ったら、歌と違うんやな」って言われたんですよね?(笑)。
aikoそうっ!なんかね、伝わらないんですよ(笑)。

――aikoさん、リアルに恋愛中も「妄想で自己完結している」って言ってたから。相手から見たら気まぐれな小悪魔的に見えるのかも(笑)。
aikoそんな! いつもホンマにどうしようと思っているから(笑)。でも、曲を作ることでも一瞬一瞬の感情が完結してるところがあるのは本当。1人でいる時に頭の中で遊んでるから、実際、相手に会っている時はすごい冷めてることもあるんです。それは、自分でも気持ち悪いなと思う。

――だから、永遠に恋愛体質なんですよ。
aikoえぇっ! そういえば、私、昔、言われたんです。「キミは一生恋愛するだろうね」って、何度か続けて言われたことがあって。「そんなことない!」って思ったけど。でも、いまだに1人でいろいろ考えて、脳内で“ごっこ遊び”してると、大丈夫かなぁと思います。

――どんな道を歩んで行くとしても、恋愛は一生すると思います。
aiko占い師みたいや(笑)。

40歳超えたら、その時々、楽しくがいい

――「かけらの心」は十代の頃をふり返っているような曲ですけど、ラストの「蒼い日」ともリンクしているなって感じました。どちらも、夢とともに、星というワードが出てくるから。aikoさんは1人で夢を見つづけている人だけど、星は誰かと一緒に見たいと願っているんだなと。
aiko無意識やったけど、そこは私の願望が出てるんだと思いますね。

――「蒼い日」にある<いつか…>という思いは、やっぱり希望ですよね。
aikoいつになるかなぁ、とは思うけど(笑)。

――『夢の中のまっすぐな道』(2005年)の時、「先は見えなくても、まっすぐにこの道を歩いていきたい」と話されていて。それは、「トンネル」(アルバム『BABY』収録)ともリンクしていた。あれって、恋人と別れても、自分の信じる道を歩いているうちに、またいつか一緒に歩けたらいいねっていう曲じゃないですか。
aikoそうですね。

――今作のラストの「蒼い日」を聴きながら、aikoさんは今も同じあの道を歩いていて。それで、やっぱり、これまで出会った愛する人に「いつか会いたい」と思っているんだなと。
aikoいろんな人がいろんな道を歩んでいて、最後にまた会えたらいいなって思うし。その時、そこに立ってる自分がちゃんと胸を張っていられる自分でありたいっていうのが、いつもあるんです。「元気やった?」って笑顔で聞きたいなと。私、これもずっと思ってることみたい。「えりあし」(2003年)の時も<5年後あなたを見つけたら 背筋を伸ばして声を掛けるね>っていう詞があったなと。

――そうですね! aikoさん、「最近、少しだけ結婚したくなってきた!」って冗談めかして言ってたけど。きっと、自分の道を歩いていて、そこで出会ってタイミングがあった相手じゃないとしないんだろうなと。
aikoそうですね。確かにふわっと結婚できへん。私にとっては、音楽が絶対的なものやしね。でも、一瞬の隙間にカポって落ちたら、意外とあっさりするかもしれん(笑)。

――当事者としては、「するときするし、縁がなければしないだろう」くらいですよね。
aikoわかる〜(笑)。40歳超えたら、その時々、楽しくがいい。これまでも、けっこう楽しんだなっていうところもあるしね(笑)。

――どっちでもどうにかなるっていう腹の据わり方はしてきますよね(笑)。
aikoしてくる! 世の中もそうさせてくる(笑)。1人でも2人でも楽しみたいし、苦しいことも悲しいことも楽しむしかないし。そこで曲ができるからいいかなって腹をくくっています(笑)。

――最後に、定番の質問を(笑)。これから、aikoさんが見たい夢や見たい景色は?
aikoそうだなぁ。いちばんは、ライブで最後に歌いきった後に、笑ってステージに立ってることかも。

――それ、叶え続けてる夢じゃないですか。
aikoでも、もっと、ですね。……あと最近、「“気になる男の人の夢に15回出られる券”っていうのがないかな」って夢見てます(笑)。

――15回も夢見たら好きになるよね!
aiko売ってないかなぁって、いつも考えてます。ホレ薬とかじゃなくて、夢に出られる券がいいんですよ。

――ホレ薬の方が早くない?
aikoいや、直接手は下さない(笑)。

――あはははは!
aiko全然会ったことない人の夢に出てみたい(笑)。
(文/芳麗)

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