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香川照之の“生かし方”を知るTBS日曜劇場の強み

  • 『2014年エランドール賞』の『半沢直樹』チームのお祝いに駆けつけた香川照之 (C)ORICON NewS inc.

    『2014年エランドール賞』の『半沢直樹』チームのお祝いに駆けつけた香川照之 (C)ORICON NewS inc.

 今期最も高視聴率を叩き出している連続ドラマ『99.9−刑事専門弁護士−』(TBS系)。刑事事件に隠された“0.1%の事実”を求めて執念を燃やす弁護士の深山(松本 潤)を筆頭に、個性的なキャラクター陣が集結。個々のエッセンスが絶妙に絡み合った、極上のエンタテインメント作品だが、そもそも今作が放送されているTBS日曜9時、いわゆる“日曜劇場”は、『半沢直樹』や『天皇の料理番』などのヒット作を多数生み出してきた枠。2015年10月期の『下町ロケット』では、同年放送のドラマの中で最も高い視聴率を叩き出した。それほどに同枠が“強い”理由は一体どこにあるのか。

高視聴率を連発する“日曜劇場”に香川照之あり

 第一に考えられるのは、同枠で起用されるキャストが非常に豪華で、芸達者であるということ。『半沢直樹』を例に挙げるならば、堺 雅人はもちろん、片岡愛之助、北大路欣也など、主役脇役に関わらず、演技力に定評のある大物俳優陣が名を連ねていた。そして第二に、作品で扱われる題材が会社や家族、仕事などの一点に集中した、とても濃密でありながら共感度が高い群像劇が多いということ。その上で第三に、決して重くなり過ぎず、しっかりとしたエンタメ要素が盛り込まれている点も大きなポイントだ。こうした高い完成度を持つ枠を作り上げたのは、もちろん主役であり制作陣全体でもあるだろうが、その中でもひと際目立って功績がある人物を挙げるとするならば、それは現在の『99.9』にも出演中の香川照之、この人であるように思う。

 香川は、“大和田常務”役で一躍注目を浴びた『半沢直樹』をはじめ、『ルーズヴェルト・ゲーム』『流星ワゴン』『南極大陸』『新参者』などに出演。自身でも「僕はこの『日曜劇場』枠にご縁があって」と語っているように、同枠での出演回数がとても多い。そして、どの作品でも強烈な個性を放ちながら、その存在は物語の中に自然とスッポリと収まり、全体にリアリティを与えている。

 例えば、『99.9』で演じている佐田弁護士は、不敵な笑みで何を考えているかわからない部下・深山に振り回されているようでいて、要所要所ではしっかりとツッコミを入れ、かつ彼の仕事のフォローも忘れない。“通常運転”の佐田がいるからこそ、深山という変人の主人公が浮きすぎずに成り立っているのだ。これは香川自身も「演じる上では、エキセントリックな深山に対して、佐田は抑えて弁護士らしくいたいと思っています。弁護士という節度の中で僕自身がどれだけ自由にできるかが、これからの掛け合いの中でやっていきたいところです」(同)と自覚して実行している部分。ドラマプロデューサーも過去に香川のことを“キャラクターを全体論の中で語れる人”と評していた。

全体のバランサーであり立体的に見せる“仕掛け”に

 もちろん香川のそうした意識は、今に始まったものではない。『半沢直樹』のインタビューでも、「“やったことは、やり返される”という、やられる側からドラマを見て欲しいと思います」と語っており、香川が常に主役側からだけではない、全体を通した視点から“キャラクターがどうあるべきか”を捉えていることがよくわかる。この才能は、先に述べた日曜劇場の魅力を作り上げる上で欠かせない要素のひとつであり、群像劇をより立体的に見せる“仕掛け”にもなっている。

 豪華俳優陣の個性を生かしつつ、全体のバランスをしっかりと見極めて役を作れる香川照之という役者。彼の生かし方を知り尽くしているからこそ、日曜劇場枠は、ここまでのヒット作を生み出すことができたのだ。現在、日曜日のプライム帯の視聴率合戦は、日本テレビの独走状態。だが、その中でも唯一対抗できるのが日曜劇場である。香川の強烈な個性による刺激と、彼がいるからこその安定感を武器に、確固たるブランドを手に入れた同枠が今後どこまで躍進していくか興味深い。
(文/松木智恵)

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