女優以外のオファーが殺到する清水富美加の才気

 NHK連続テレビ小説『まれ』(2015年)で演じたヒロインの友人・一子役でブレイクし、ドラマや映画などで躍進が続く清水富美加。ユニークなキャラクターが人気を博し、“ふみカス”の愛称で親しまれる彼女の勢いが、この春からさらに加速中だ。現在は連続ドラマ『世界一難しい恋』(日本テレビ系)にレギュラー出演しているほか、5月21日放送のスペシャルドラマ『叡古教授の事件簿』では民放ドラマ初ヒロインに。また、土曜朝の人気番組『にじいろジーン』(フジテレビ系)の新レギュラー、新音楽番組『シブヤノオト』(NHK総合)のMCと、女優以外のフィールドでも新たな抜擢が続いている。一気に花開きつつある彼女の女優・タレントとしての才能はどこにあるのか。

コメディからシリアスまで演じられる役者として振り幅

 2010年から女優として活動した清水は、『仮面ライダーフォーゼ』『HK/変態仮面』などコメディタッチの作品で頭角を現したこともあり、コメディエンヌとしての才能が際立っている。『HK/変態仮面』の監督である鬼才・福田雄一とは、その後も福田脚本のドラマ『恋の合宿免許っ!』(フジテレビ)、福田作・演出の舞台『才原警部の終わらない明日』でもタッグを組み、「漫画みたいな喜怒哀楽を顔で表現できる稀有な女優さん」とその資質を賞賛された。舞台で2度共演した芸人の東京03も、「清水さんは普通のセリフを自然に面白く言えるのが印象的」と語っている。

 さらに昨年10月期に放送されたコント番組『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』(テレ東京系)では、その振り切ったコメディセンスが話題に。腐女子の同人作家を演じた清水が、「微レ存」「百理ある」などマニアックな用語満載の長台詞をオタク口調でまくし立てる姿に、ネットでは「腐女子演技がリアルすぎる」「天才」と驚きの声が上がっていた。

 一方で、本人は意外にも「陰のキャラクターのほうが演じやすい」と発言したこともあり、『まれ』で見せたような繊細な感情表現にも定評がある。昨年ゲスト出演したドラマ『コウノドリ』(TBS系)では、貧困ゆえに新生児を捨てようとする若い母親を熱演。凄みすら感じさせる絶望の表情や、我が子を見つめながら崩れ落ちるように泣く芝居で視聴者を引き込み、芝居の振り幅の広さを感じさせた。

独特の世界観? “素”のキャラクターの強さがバラエティでも重宝

 ひと昔前は、女優としてのイメージを守るため、バラエティに出て素の部分を見せることにあまり積極的ではない女優が多かった。だが、最近は“番宣”以外でも積極的にバラエティに出演する女優が目立っている。例えば映画中心の本格派女優としてどこかミステリアスな存在だった二階堂ふみは、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の「ゴチになります」のレギュラーとして等身大の元気な姿を見せたことで、お茶の間にも広く親しまれるようになった。また、やはり演技派として評価の高い松岡茉優も、『ENGEIグランドスラム』『ツギクルもん』(共にフジテレビ系)のMCや、単発バラエティへの出演で達者なトークを発揮し、ファン層を広げている。

 清水も、女優としての確かな実力が知られていくなかで、そのキャラクターが浸透するきっかけとなったのは、やはりバラエティ番組への進出だった。『おしゃれイズム』(日本テレビ系)出演時には、自作の「高菜おにぎりの歌」「バターコーンの歌」を力強く披露したりと、いつでもどこでも“ふみカスワールド”全開。「料理はしません!」とキッパリ断言し、過去の恋愛話なども隠さず話してしまう率直さもある。さらにブログやTwitterでも、「三粒入りの枝豆の真ん中になりたい」「このタイミングを逃せば向こう三ヶ月コロッケそばが食べれないでしょう。気持ち口にせず走り出すよ コロッケそばの道略して“コロway”」(原文ママ)など独特の世界観を展開し、女優とのギャップの大きさに驚く人も多いようだ。

話題先行ではない確かなトークスキルはさらなる可能性を予見させる

 始まったばかりのレギュラー番組でも、そんな清水の個性が生かされ、単なる“お飾り”になっていない。『にじいろジーン』では、朝らしい爽やかさをキープしつつも、大好きだという“食品サンプル”を作る企画などでしっかりインパクトを与えている。『シブヤノオト』では、音楽好きな清水が注目アーティストを紹介するコーナーがスタート。若手バンド・とけた電球を熱量高く紹介し、音楽への愛情が伝わる司会ぶりを見せている。個性的で不思議なキャラクターながら、求められていることを的確にこなし、かつナチュラルで自由なところが好感度の高さにもつながっているのだろう。

 SNSが普及し、芸能人が手の届かない存在ではなった今の日本では、“共感”や“親近感”を得ることが人気につながる。ドラマや映画の宣伝でバラエティに出ることも当然になり、以前より格段にトークスキルが重視されるようになった。そんななかで、女優としてもバラエティタレントとしても才能を発揮できることは、清水の大きな強みだ。『まれ』『シブヤノオト』でNHKからの起用が続いているだけに、いずれはNHKドラマで大役を射止め、『NHK紅白歌合戦』の司会に抜擢される未来もありえるかもしれない。

(文/加藤恵)

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