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藤巻亮太、3年半ぶりの新作に込められた“らしさ”からの解放「いろんな線を消すことで癒された」

機が熟したときにはレミオロメンの再始動もある

――最新曲の「春祭」なんかはレミオロメンらしさもソロらしさも飛び越えて、新たな“藤巻亮太”の曲になっていますよね。
藤巻 これはほぼ無意識で作った曲(笑)。アレンジのときはちょっと考えたけど、メロディが浮かんだ瞬間、「これは祭りだ!」ってなって、意味なんかどうでもいいと思って作ったんですよ。だから<一度きりの人生だ><お祭り春祭>って歌詞とか、文章的には全然説得力がないんだけど、“祭りだから、ま、しょうがないか”みたいな(笑)、そういう無責任で自由な感じが作っていてもすごく楽しかったです。

――この曲を聴いていると何を歌っても藤巻さんの声であれば、レミオロメンであり藤巻亮太になるというか。いい意味で区別も“らしさ”もなく、当たり前だけど根っこは同じなんだなと改めて思いました。
藤巻 実は僕自身も去年、レミオロメンの曲を演奏したときにすごく楽になったんです。これも自分が作ってきたものだし、そこを閉じてしまったらソロもできない。そうやってレミオロメンの曲を歌う自分を肯定したときに一番、大きなスペースを獲得できたんですよね。しかも閉じていたものを改めて開くと新たな化学反応が起こって、開いた今の自分にしか作れない曲がどんどん出てきた。だったらそこに蓋をするのはもったいない、たっぷりとあるその豊かな世界の中でやっていけばいいんじゃないかなって思ったんですよ。

――昨年5月のインタビューでは「いつかはレミオロメンをやりたい」とも言っていましたが、その気持は今も変わらず?
藤巻 その頃はそうやって自分を鼓舞しないと先に進めない時期だったんだけど、メンバーそれぞれの状況もありますからね。そういう意味で言うとさっきの恋愛の例え話と同じで、自分でどうにかできる時期とできない時期があって…。今後、ご縁があって実現したら素晴らしいことだけど、努力してそこに向かおうとは思っていないんです。それよりも今は目の前の音楽にエネルギーを注ぎたい。その中で機が熟したときにはレミオロメンの再始動もあるかもしれませんね。

野口健さんと会う度に「次はどこ行く?」って

――なるほど。まずはアルバムを引っさげての全国ツアーも控えていますしね。
藤巻 今回ツアー後半戦となる春祭編では8本回るんですけど、最後の3本だけフルバンド編成であとはアコースティックでやる予定なんです。アコースティックっていってもエレキギターとバイオリン、ピアノっていう3ピースで、ソロになってからこのアンサンブルでやるライブがすごく楽しいんですよ。音的に物足りないってことはまったくなくて、むしろ1個1個の音が際立つ最小限の中にアンサンブル最大の魅力があって、それをさらに追求していきたくなった。そう思うようになったのは先日までやっていた歌旅編と題した弾き語りツアーの中で発見が多かったからで、同じ曲でもより歌にフォーカスされたり、フレーズひとつひとつがが利いてきたり、届けられるものが変わるってことがすごく新鮮だったんですね。これがアンサンブルになってそれぞれの役割がはっきりすると、表現の質感がさらに立体的になると思うので僕自身、次回のツアーはすごく楽しみ。で、そこで作り上げた世界観を最後の3本ではバンドという形でしっかり伝えていければいいなと思っています。

――じゃあ、少なくとも2回行かないとダメですね?
藤巻 そうなっちゃいますねぇ(笑)。ま、でもツアータイトルも「春祭」ですから、どの編成であれグッドバイブレーションで春らしいライブにするつもりです。

――ちなみに旅のほうは今後も行く予定は?
藤巻 健さんと会う度に「次はどこ行く?」って話しています。僕、元々は山登りが得意だったわけではないし、登り始めた頃は高山病にもなったけど、自然に囲まれていたせいか気持的には東京にいるより元気になれたんですね。そういう意味で旅は癒されるし、地球は広いのでまだ見ぬ何かをもっと見たい。次は南米もいいかなと思っているんですよ。

――勝手なイメージですけど、藤巻さんはペルーとか合いそうな気がします。
藤巻 本当ですか? 理由は特にないけど最近、南米の音楽のグルーヴとか影響を受けたいなと思っていて。ま、でも何も考えずに行って未知の影響を受けるのが旅の面白さだから、直感のまま行きたい場所へ行ければいいですね。

(文/若松正子 写真/西田周平)

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