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(更新: ORICON NEWS

瀬戸康史が“ナルさま”役で新境地「人気に実感ない」

周りから見られる自分像と、実際の自分との違いに悩んだ

──たしかにもう結婚を語られても違和感がない年齢ですし、中身も九州男児とおっしゃる通り男っぽい。しかし見た目から「可愛い」「乙男」等々と言われ続け、4月ドラマで演じる役も“フェアリー男子”と称されています。そうした見た目と内面とのギャップに苦しんだことはないですか?
瀬戸 若い頃はありましたよ。周りから見られる自分像と、実際の自分との違いに悩んだり、「可愛いってなんだよ」って反発したり。それこそ見た目で逃した役もけっこうありました。見た目が若すぎるから父親役は無理だろうとか、年齢的にはもうやってもおかしくない頃だったんですけど。

──逆に昨年公開の主演映画『合葬』で演じた幕末志士は、17歳の設定でしたよね。
瀬戸 そう、だから逆もしかりなんですよね。この仕事は外から見られてどれほどなのかというところがあって、そういう意味でも自分が何を求められているのかが年齢を重ねることでより理解できるようになった。だから“フェアリー男子”も思いっきりなりきってやっています。ただ、求められるものだけに甘んじずに新しい自分を掘り下げていくことも大事で、だから今回の成澤役も本当に役作りにのめり込みました。

──ところで瀬戸さんがデビューした当時の芸能界はいわゆるイケメンブームに沸き立っていて、新人俳優が続々とデビューした時代でした。その頃から10年続けてこられた原動力はなんだったと思いますか?
瀬戸 ひとつにはありがたいことに、コンスタントに仕事をいただけてたからだと思います。実際、同時期にデビューして俳優を辞めた人も多いですし……自分はすごく恵まれています。もうひとつは、一番最初の仕事(ドラマ『ロケットボーイズ』2006年 テレビ東京系)でガツンとやられたことが大きかったですね。芝居も何もわからないまま現場に入って、毎日のように怒られてたんです。「本当にダメだな」「もう福岡に帰れよ」とか。18歳で単身上京して、寂しいときにそんなこと言われて、本当に辞めようかと思ったこともありました。だけど、そのたびに長男である僕を上京させてくれた親の思いがよぎって、“いつか必ず見返してやる!”って食いしばっていました。だから今思うと、一番最初に怒ってくれたスタッフさんには感謝の気持ちしかないです。

──ではコンスタントにキャリアを積み重ねてきたこの10年で、最も自分の転機になったと思うのはどんな出来事ですか?
瀬戸 最初の仕事の話につながるんですが、あまりにも頭ごなしに怒られたこともあって、その後しばらく心を閉ざしていたんです。もともとそういう人間じゃないんですが、人付き合いを避けていたというか。だけど一方ではそんな自分を変えたくて、ドラマ『TOKYOエアポート〜東京空港管制保安部〜』(2012年 フジテレビ系)のときに思い切ってスタッフさんたちの飲み会に参加させてもらったんです。照明・美術、現場で汗をかいている方々が集まってるところに入って、話をしてすごく楽しかったんですね。それぞれの作品作りへの思いや熱意が聞けて、改めてみんなでひとつの作品を作る楽しさを感じた瞬間でした。

──今もよくスタッフさんとは飲みに行ってるんですか?
瀬戸 そうですね、ちょこちょこと。僕、九州男児ですが酒は弱いんです(笑)。飲むことが目的ではなくて、その場にいることが大事だなと。それをきっかけに共演者とも積極的に交流するようになって、距離が縮まると現場でも意見が言いやすくなるし、芝居もしやすくなるんですよね。それに現場の雰囲気が悪いまま作品を作ってもいいものはできないし、それは楽しんで見てくれる人にも失礼なことだと思うので、昔の自分からは信じられないほどコミュニケーションを大事にしています。

究極を言えば役者であり続けたい

──活動11年目に突入し、まだまだ役者人生は続きますが、今後はどんな方向へと向かっていきたいですか?
瀬戸 究極を言えば役者であり続けたいです。さっきも言ったように俳優を辞めていく人も多いですし、やっぱり生き残っていくのが難しい世界だからこそ、それは究極の目標。一方で演じることを軸に、表現を続けていくことが大事だと思うんですね。これはあくまで僕の考えですが、今の時代、役者で生きていくにはプラスアルファの何かがないとダメだと思っていて、僕は絵を描くことが好きで、それを物語に広げたりすることが、今はすごく楽しい。たまにイベントとかで紙芝居みたいな形で発表してるんですが、それを見て涙を流してくださる人もいて、とてもうれしいです。だから絵を仕事にできたら、というよりは「俺は役者だから他のことはやらない」と凝り固まるんじゃなくて、いろんな表現をすることで、それが役者としての栄養にもなれば、というスタンスでいます。

──たとえば役者として一緒に仕事をしてみたい人はいますか?
瀬戸 それはもう、どなたもですが、同世代と仕事をするのはすごくうれしいですね。同世代の照明さんとか音響さんとか監督とかと一緒になると、よく「俺たちで何か面白いことやりたいね」みたいなことを話したりするんですよ。それこそ映画『合葬』の小林達夫監督も僕の3つくらい上だったけど、年齢の近い人たちが燃えてるのはすごく刺激になります。

──では最後に改めて『あさが来た』について、「五代さまとナルさまの共演シーンが観たい!」という勝手な妄想の声もあがっているようですが、いかがですか?
瀬戸 えっ!? いかがですかって……リアクションに困ります(笑)。そもそも史実的にどうなんですか!? でも、ディーン・フジオカさんとはまだお会いしたことがないので、別の作品で共演できたらうれしいです。

──いよいよ女子大学校設立という成澤の大きな夢も動き出すところで、楽しみにしています!
瀬戸 成澤を演じるのも実質1ヶ月半ほどと短かったけど、みなさんの印象に残ればうれしいです。今の時代、夢を大声で語るのは恥ずかしいという風潮もあるけど、語ることで支えてくれる人は必ず現れる。行動力の男・成澤の姿から、観てくれる方々にそんな希望を伝えたいです。

(文:児玉澄子/写真:草刈雅之)

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