テレビ番組を取り巻く“自主規制”の是非

 “テレビ離れ”が囁かれて久しい昨今、各局同じようなアプローチのユル〜い番組が席巻し、刺激が不足していると感じる視聴者も多いようだ。時代の変化もあり、かつてのような過激な表現が“自主規制”の名目で企画段階からNGとなっている傾向が高いという。スポンサー等への配慮が主だと思うが、果たして視聴者は現行の規制に対してどのような思いを抱いているのか?

テレビ番組の“規制”について、視聴者の55.6%が「妥当でない」

  • 現在のテレビを取り巻く“規制”は妥当だと思いますか? (C)oricon ME inc.

    現在のテレビを取り巻く“規制”は妥当だと思いますか? (C)oricon ME inc.

 「テレビ番組がおとなしくなった」といわれると同時に、よく耳にするようになったのが、BPO(放送倫理・番組向上機構)の存在。最近では、『クローズアップ現代』(NHK)における“出家詐欺やらせ問題”が話題になったが、なにかしら問題になるような番組があると、このBPOによる“審理入り”が報道され、その番組に対して“意見”や“見解”が述べられる。BPOとは、政府の機関などではなく、NHKと民放各局が協議のうえ、「放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため」に、2003年に作られた「第三者機関」なのである。当然、法的拘束力などまったくないのだが、このBPOからのクレームがあったら最後、その番組にとっては死活問題になってしまう風潮が生まれている。果たして視聴者は、このような現状をどう思っているのだろうか。

 ORICON STYLEでは、10代〜50代の男女1,000人を対象に、「現在のテレビを取り巻く“規制”は妥当だと思いますか?」という調査を実施。その結果、【妥当だと思う】が44.4%、【妥当ではない】が55.6%と僅差ではあるが、【妥当ではない】が半数を上回る結果となった。「安心して見られるから、これくらいがちょうどいいんじゃないかと思う」(北海道/10代/北海道)、「ある程度の規制は必要。昔やっていたような、毒気のある番組が特にいい内容とも、面白い内容とも思わない」(神奈川県/40代/女性)などの肯定派の意見もあるが、「規制が厳しすぎて、どの番組も同じような内容になっている」(北海道/20代/女性)、「実際、規制ばかりだと、つまらなくなって、テレビ離れが進んで本末転倒になるだろう」(栃木県/20代/女性)、「BPOが敏感すぎる」(神奈川県/20代/女性)など、視聴者もテレビ番組の“規制”に対して疑問を持っているようだ。

BPOや批判を恐れて制作側が“自主規制”、一方でエッジが効いた番組も健在

 このような、“冒険できない”テレビ業界になってしまった要因としては、業界を取り巻く構造的な不況により、「金も手間もかかる番組は作れない」という現状もあるだろう。しかしそれ以上に問題なのは、こうしたBPOによる“審理入り”を恐れて、さらにはネット上での批判、スポンサーからのクレームに脅えて、必要以上に“自主規制”してしまう番組制作側の姿勢だともいえるだろう。とはいえ、こうした規制や低予算の中でも、一部には、アイディア勝負でエッジを効かしている番組もある。最近、深夜枠からゴールデンに昇格した『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日)や、『水曜日のダウンタウン』(TBS)などがそうだ。『しくじり先生』では「人生で失敗した人から学ぼう」、『水曜日のダウンタウン』は「芸能人が自らの提唱する“説”を検証する」という、ワンテーマに絞ることで予算を抑え、ある程度の評価を得ることに成功している。

 かつては、こうした「予算はないけどアイディア勝負」の番組は深夜枠に数多くあり、そこから次々と人気番組が生まれていった。『EXテレビ』(日本テレビ系)の「低俗の限界」という企画では、全裸の女性の股間を、島田紳助や上岡龍太郎などの出演者の頭で隠し、あとはひたすら真面目なトークを繰り広げるという、いまでは絶対にありえないだろうシーンが放映され、深夜ながら最高視聴率16%を記録した(ちなみに苦情電話も300本あった)。

 こうした“エロ”企画が良いか悪いかは別にして、エロ以外でもアイディア次第では、いくらでも面白い番組が作れる土壌が、深夜枠を含め、まだ残されているようにも思う。実際、視聴者も少なからず“バカだけど面白い”番組を求めているデータもあるし、今後のテレビというメディアの存続のためにも、過剰に自主規制することなく、テレビマンたちには思い切った挑戦を続けていってもらいたいものである。

(文:五目舎)

【調査概要】
調査時期:2015年1月5日(月)〜1月9日(金)
調査対象:自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】会員10代、20代、30代、40代、50代の男女1000名
調査地域:全国
調査方法:インターネット調査

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