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“ゴリ押し感”ゼロの三浦貴大、両親のスター性とは異なる魅力を開花

今年公開の出演映画が10本に上る三浦貴大。NHK大河ドラマ『花燃ゆ』や前クールのドラマ『探偵の探偵』(フジテレビ系)でも印象を残していた。父親が名優・三浦友和、母親が芸能界のレジェンド・山口百恵という出自ながら、“親の十四光り”とはまったく無縁なところで俳優としてのキャリアを積み重ねて、両親のスター性とは違う独自の魅力を開花させた。

いわゆる“スター俳優”ではない

 三浦はもともと体育教師を目指していたが、大学卒業後に俳優を志し、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』でデビュー。中井貴一が演じた主人公と同じ新人運転士役だったが、両親の絶大な知名度のわりには“二世”として大きく騒がれることはなかった。長男の三浦祐太朗が先にアーティストとしてデビューして、あまり話題にならなかったこともあるが、本人サイドがその部分を積極的には押し出さなかった。『RAILWAYS』の現場ではクランクアップまで、監督や一部キャスト以外には両親のことは知らされていなかったという。

 この作品で日本アカデミー賞の新人俳優賞などを受賞。以後すぐ多くの映画にキャスティングされるようになるが、その出演パターンには特徴がある。『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』『劇場版SPEC』『永遠の0』『進撃の巨人』など、東宝を始め大手映画会社の大作、話題作への出演も多いが、そちらではメインキャストでない脇役。今年公開の『サムライフ』や『ローリング』など小規模映画では主役を務めている。

 これは三浦がいわゆる“スター俳優”ではないが、演技力を高く評価されて役を任せられていることを意味する。出演作は多いが、両親の威光を借りたゴリ押しでないことも明白で、実際そういう印象はない。

イケメンすぎない地味な外見が感情移入しやすい

 ドラマでは、深夜枠で不良マンガが原作の『クローバー』(テレビ東京系)の準主役などを経て、『ハクバノ王子サマ 純愛適齢期』(日本テレビ系)では優香が演じる主人公の相手役に抜擢された。32歳の女性教師が7歳下の新任教師に恋をするストーリー。2013年10月からの放送で、当時は少し前に同じ“年下男子もの”の『ラストシンデレラ』(日本テレビ系)がヒット。そちらで“王子サマ”役だった三浦春馬との比較で、三浦貴大には「中途半端なイケメンでときめかない」といった女性視聴者からの声もあった。

 裏を返せば、王子然としてない三浦貴大の教師役にはリアルな生活感があり、婚約者と年上の女性教師との間で揺れる心情描写も含め、むしろ男性の共感を得た。彼の演技におけるたたずまいは、その後の作品にも通じている。

 『探偵の探偵』では正義感の強い刑事役だった。警察の組織の論理に疑念を抱き、北川景子の演じる探偵に理解を示す一方、妻と死別し多忙ななかで幼い娘を育てる父親でもあった。三浦が演じるのはこうした誠実かつ物静かで悩みも抱えた役が多く、それが実にハマる。イケメンすぎず、俳優としては地味な外見なのも嫌味がなく、一般人が感情移入しやすい。誠実な雰囲気は本人の人柄が出ているのかもしれないが、ああいう家庭で育ちながらいい意味でサラブレッド感が薄いのは、不思議な気もする。

 落ち着いたイメージの三浦貴大だが、『サムライフ』では理想の学校を自ら作った元教師役をハツラツと演じたりもしている。11月で30歳。父親の三浦友和と似た物腰が少し見えるようにもなってきた。両親のような“スター街道”を歩んではいないが、今後は役幅を広げるとともに渋みも増し、派手ではなくても“味のある俳優”として長く活躍していくのは間違いなさそうだ。
(文:斉藤貴志)

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