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SPYAIR、バンドの解散危機乗り越え生まれた新作を語る

自分の人生はSPYAIRだ!って、人生とほぼ等しいものになりつつある

――アルバム『4』というタイトルには、メンバーの4人という意味も含まれているとのことですが、4人の気持ちをまたひとつに結ばせたのは何でしたか?
IKE 復活すると決めた後にも、たくさんのプレッシャーがあったし、とにかく必死でしたね。昨年末のライブだって、今思えばよくあの状態でやれたなって思うし、「やろう!」と強く背中を押されてなかったら、アルバム発売もずっと後になっていたと思います。アルバム制作で改めて思ったのは、SPYAIRの音楽が真ん中にあって、俺らが回りにいるんだなということ。俺らは、そういう仲間なんだなって。
KENTA 制作が始まった頃は、何か発言するにしても気を使ってしまって、頭で精査してから言葉を発言している自分たちがいました。でもアルバムを完成させるという目標に向かう過程で、スタジオで一緒にいる時間が増え、自然と本来の俺たちのムードに戻っていって。昨年末のライブがアイドリング状態だったとしたら、アルバム制作の過程で徐々にギアを上げていった感じだったと思います。
MOMIKEN でも、SPYAIRというものがなかったら、自分はこんなにも動けないものなんだなと心底わかった気がします。そもそもSPYAIRがなかったら、音楽をやる理由もないって言うか。
IKE SPYAIRの活動は、いい意味で自分の人生の時間を埋めてくれるものなんです。そのなかでできたものを楽しんでくれる人がいる職業なわけですから、すごくいい仕事だなって思う。人生とほぼ等しいものになりつつありますね、自分の人生はSPYAIRだ!って。
UZ うん。それまではずっと、他の人とバンドをやったり他の曲も書いてみたいとか思っていて、活動停止中は実際にそれをやる時間がたっぷりあったのに、結局何もできなかった。だから、きっとそういうことじゃなかったんでしょうね。SPYAIRの中で守られながら、いろんなことをやりたかったんだなって。
MOMIKEN 年齢的なこともあったと思います。いい具合に大人になれたと言うか。夢見がちだったものを、ちょうどいい具合に捨てることができた。10代や20代に見ていたキラキラとした夢をそのまま追いかけるのではなく、大人として一歩引いたところから現実的な視点で夢を追いかけられるようになったんじゃないかと。

こんな俺らでも良い音源は作れる、だから最高です!

――そういう気持ちが根底にあった上でできた音源はどんなものなのか興味が湧くし、実際に聴いたファンの感想も気になりますよね。アルバムには「4 LIFE」という曲があって、これはUZさんがメインボーカルでIKEさんを除いた3人で作られたそうで。
MOMIKEN 昨年のツアーが中止になる前、一旦延期になったときに作った曲で。これを聴いてIKEがまたやる気を取り戻してくれたらいいなって思って作りました。
KENTA 過去にあった出来事をなかったことのように握りつぶすのではなく、アルバムの1曲として包み隠さず聴いてもらったほうがいいんじゃないかって。
UZ いろいろな経験を音楽にしていけるのが、バンドの強みです。俺らがいろいろな経験をしたことで生み出された曲だから、きっと誰かの力にもなれると思うし。何よりも、俺ら自身にとってすごく力になった。ああいうことがあったなって、曲を聴けば嫌がおうでも思い出すし、気持ちも前向きになれます。バンドの2年という月日のすべてを音楽にしてアルバムに込めることができる、そこにこそバンドの醍醐味であり、やりがいがあると感じています。

――この2年間のいろんな時期の曲がひとつになったアルバムですが、以前と現在では何が変わりましたか?
UZ IKEの歌を聴いた感覚では、幅広いと言うか余裕を感じます。でも、音楽そのものへの向き合い方や、自分が曲を作ってるときの向き合い方は変わっていません。レコーディングの空気感や他のメンバーに対しては変わったかな。SPYAIRなんだから、それぞれが自分らしく好きにやってくれよという感じになりました。以前はまず完成形をイメージして、いかにそのイメージに近づけるのかに一生懸命だったけど、それよりもいい空気感でいい音楽を作ることが大切なことなんだと思ってます。
MOMIKEN いい空気感って、思っている以上にサウンド面に反映されるものなんです。昔は、この曲の中でどう自分を出して行くかみたいなエゴがあったと思うけど、今はいい作品を作るためなら自分が一歩下がることもできる。その楽曲の持つ答えの方向に、自然とみんなで向かえる空気感が出来上がっています。
IKE こんな俺らでも良い音源は作れる。だから最高です!

(文:榑林史章)
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