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人時(黒夢)、ガールズバンドをプロデュース 黒夢の活動停止・解散・再結成の真相も語る

清春さんへのリスペクトの気持ちはさらに強くなった

――そんな中で、清春さんとの関係性に変化はありましたか。仲が悪かった時期もあったそうですが。
人時 活動停止前は、ひと言もしゃべらないぐらい仲が悪かったです(笑)。自分でそうしてしまった部分もあるから、誰のせいにするつもりもないし、申し訳ないという気持ちもありますけど。

――なぜ、そこまでこじれてしまったんでしょう?
人時 方向性が違うっていうのもあったけど、とにかく話さないから、意志の疎通なんてできないわけですよ。そこで真ん中にマネージャーが入ってまとめようとするから、余計こじれたりもして。それで活動停止してから10年間、会わない時期を経て、また一緒に始めたんだけど、良くも悪くも何も変わってなかったです。

――良くも悪くも?
人時 そう、良い意味で良くも悪くも(笑)。というのも、僕は僕でフロントマンとして立ったり、サポートをしたり、立ち位置を変えながら音楽に関わってきたので、フロントマンの気持ちが何となくわかるようになったんです。フロントマンはやっぱりフロントマンで、両サイドで楽器を弾いている人間がそこに立つのはありえないとか、清春さんはこんな心情でやっていたのかとか、いろんな角度から自分たちを見られるようになったんですね。その中で、再結成して久々に2人でやっていくことになったわけだけど、清春さんが清春さんとして変わらずにやり続けているところ。例えば、決して丸くならない部分とか、牙がある部分とか、要は隠し持っているナイフを失くさずにずっと持ち続けていてくれたことは、逆にとんでもないことだなと思ったんです。あとクリエイティブな部分で、曲げたくないところは何が何でも曲げないってところもすごいなと。今もやることなすこと度肝を抜かされるから、昔よりもさらにリスペクトする気持ちは強くなっていて、そういう意味では黒夢を始めた頃の意識に近いかもしれない。

音楽との向き合い方を変化させた佐久間正英さんとの別れ

――22年の中で一周して、人時さんが清春さんたちのバンドのローディーをやっていた頃の気持ちに戻った感じ?
人時 そう。再結成までの10年間の中で、素晴らしい方たちと演奏させてもらったし、ものすごい刺激をもらったので、それはそれでプレイヤーとしての自分の財産になっているけど、やっぱり清春さんは僕にとってのスターというか、憧れの人なんですよ。だから、再結成後は、そんな彼を僕がいかにサポートできるかって気持ちは以前より強くなってる。活動停止直前はサポートなんかしたくもないって思ってたけど(笑)、今は清春さんがあれをやりたい、これをやりたいって言ったら、いいよ、いいよって逆にワクワクしてくるんです。彼は僕が予想もつかない、突拍子もないことを、次々と出してくる。普通、ある程度ミュージシャンをやっていると、過去に経験した引き出しがあるから、だいたいそこから引っ張り出して対応できるんだけど、清春さんに関してはそれがないんですよね。

――つねに想定外と。
人時 そうじゃないとダメな気がします。僕が勝手に理想と思っているグループの形って、絶対的な存在が1人いるか、全員が同じ立ち位置にいるかのどっちかなんですね。僕がより魅力を感じるのは前者で、1人のすご過ぎるエースがいて、そこについてきたいと思えるような形態。だからこそ、清春さんが清春さんのままでいてくれるのはすごく嬉しいんですよ。そういう意味でも黒夢は自分にとって特別なものなので、今後もなるべく特別なままやっていきたいって気持ちにはなりますよね。

――人時さん個人としては今後、どのような音楽人生を考えていますか?
人時 すごくシビアな話になりますけど、昨年、師匠と呼べる佐久間正英が亡くなって、自分にとっての死ってものをとてつもなくリアルに感じてしまったんですね。僕個人として考えたとき、五体満足で頑張れるのは、多分あと30年ぐらいしかない。そうすると中途半端なことをやってちゃダメだなと。そういう想いもあって、黒夢のツアーは過去最高に暴れ倒す覚悟でやったんだけど、それは今も変わってないです。僕が月1回やっている弾き語りライブも年に12回ですから、×30年って考えると、表現できる時間なんてたかが知れてるじゃないですか。そうなるとライブ1本1本に対する想いは違ってくるし、さらに広く音楽に携わるってところでは、今回のようなプロデュース業で、裏方としてももっともっとやっていきたい。やっぱり表に立って時代を動かしているのは20代だと思うから、そのお手伝いじゃないけど、プロデュースワークでの関わり方という部分で広げていければと思っています。

――若い人たちも、伝説的な存在である人時さんのような大人のアーティストにバックアップしてもらえると頼もしいですね。
人時 そう思ってもらえればいいけど、僕自身は伝説とか全然、思ってないですよ。師である佐久間さんも含めて、自分の上にはすご過ぎる人たちがたくさんいますから。しかも、その人たちが今の僕の年齢のときに何をしていたか考えたら、本当にまだまだだなと。

――そう考えると、40代って上の層はまだ厚いし、でも下もどんどん迫ってくる。要は狭間の世代なのかも。
人時 そうですね。音楽業界でも中間管理職です(笑)。

(文/若松正子 写真/草刈雅之)

Hysteric Lolita〜感情的少女〜

 ファッション雑誌『KERA』読者10万人の中から選ばれた、5人組の原宿系ヴィジュアルネオ・ゴシック・ロックガールズバンド。原宿ファッション&音楽、そして日本のサブカルチャーを世界に発信していくことをミッションとしている。メンバーは写真左からBasil(Ba)、Layra(Key)、Rani(Vo)、misaT(Dr)、Noa(Gt)。

<人時(黒夢)プロデュース>
2015年12月2日先行配信「Voice For Voice」
日本テレビ系『バズリズム』12月エンディングテーマ

※2016年2月3日発売の1stアルバム『≠ Not equal』にも収録

オフィシャルHPはコチラ(外部サイト)

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