再現ドラマに変化 有名タレントも躊躇なく出演

 最近の人気バラエティ番組に欠かせないものに、芸能人の過去の壮絶話や視聴者から届いた「ムカつく話」などを番組内で紹介する、“再現ドラマ”や“再現VTR”と呼ばれるものがある。『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)では、アンガールズの田中卓志やNON STYLEの井上裕介といった人気お笑い芸人が出演している。自身のキモキャラなどを嬉々として劇中で演じ、評判となっているようだ。再現ドラマという手法は昔からあるが、それほど注目されていなかった。しかし近年では、再現ドラマをウリにした『痛快TVスカッとジャパン』(フジテレビ系)も放送されている。再現ドラマや再現VTRの変遷について検証してみたい。

再現ドラマへの出演は、恥ずかしい過去であり黒歴史だった

  • 『スカッとジャパン』の再現ドラマで悪女役を演じた菜々緒 (C)ORICON NewS inc.

    『スカッとジャパン』の再現ドラマで悪女役を演じた菜々緒 (C)ORICON NewS inc.

 再現ドラマは、ワイドショーやバラエティ番組ではよく使われる手法で、視聴者も長年当たり前のように目にしてきた。古くは、『テレビ三面記事 ウィークエンダー』(日本テレビ系 1975〜84年)や『お昼のワイドショー』(同系 1968〜87年)枠内の人気コーナー「あなたの知らない世界」などがあり、『ウィークエンダー』はB級事件をレポーターのフリップと再現ドラマで紹介する超人気番組で、泉ピン子が大ブレイクしたことでも知られる。「あなたの〜」も、視聴者から募集した恐怖・心霊体験を再現ドラマ化したもので、特に夏季には集中的に放送され、多くの人の記憶にも残った再現ドラマの代表格と言ってもいいだろう。しかし同時に、出演する俳優は知らない人たちばかりだし、場面もあまり変わらず、登場人物も少ない、「安い作りだなあ」との印象を持った人も多いかもしれない。

 かつての再現ドラマは、世間の耳目を引いたいわゆる“低俗”な事件や話を取り上げることが多く、役者陣も無名だったりエキストラ的だったり、低予算で作るものが多かった。それでも視聴者もそれなり楽しんでいたし、なじんでもいたのである。

 その後、フジテレビ系の昼前の時間帯で放送された『どうーなってるの?!』(1993〜2001年)『こたえてちょーだい!』(2001〜2007年)などのワイドショーでも、再現ドラマが中心の番組構成となったが、出演する俳優はほとんど変わらず、ひとりの女性が若い女性から主婦、おばあちゃんまで演じるような作りだったが、一方で“再現ドラマの女王”と呼ばれる(名前は知らないが顔はよく見る顔)片岡明日香というキャラを生み出したりもした。ちなみに最近では、『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)など年間100本もの再現ドラマに出演している芳野友美が、“新・再現ドラマの女王”“柴咲コウ似の美人”として話題になっている。

 かつては大物俳優や人気芸人たちが、バラエティの“若いころはこんなことやってました”的な企画で昔の再現ドラマの映像を流されると、「恥ずかしぃ〜」とか「勘弁してよぉ〜」と嫌がるのが定番で、番組もそれで笑いを取っていた。いわば再現ドラマに出演していたことは“恥ずかしい過去”“黒歴史”であり、出演することは“格を落とす”とまで思われていた時期が長くあり、かなり抵抗感があることだったのである。それがここにきて、冒頭にあるような番組の再現ドラマに本人や有名俳優が出演するのを見かけることが多くなり、視聴者のほうも意表を突かれて「へぇー!」と感心もし、「この俳優、案外偉ぶらないんだな」などと好感も持つようにもなってきたのである。

クオリティの向上で、人気芸人や俳優が抵抗感なく出演

 最近の再現ドラマには人気芸人が出演することが多いが、そもそもコント自体が再現ドラマと同じようなものなので、本人たちの演じることへの抵抗感は少ないかもしれない。むしろ、先述のアンガールズ・田中やノンスタ・井上のように、再現ドラマでキモいキャラを演じ切れば「田中、意外と演技うまいじゃん」と評価が高まったり、芸人だけに視聴者もツッコミを入れやすく、それだけ楽しみも増えるし、本人たちの芸の枠も広がるというメリットがある。実際、コントと再現ドラマの親和性は高く、『内村とザワつく夜』(TBS系 2013〜14年)の再現ドラマには人気芸人が大量に出演しており、女装して女性役までこなしていた。そして現在、やはり内村がMCの『スカッとジャパン』では、視聴者からの投稿をもとにした再現ドラマに、悪女役で大ブレイク中の菜々緒や、最近やたらと目にする木下ほうかや津田寛治、大御所の西岡徳馬などなど、芸人のみならず有名俳優たちまでが出演して大きな話題を呼んでいる。

 有名俳優・人気芸人の隔てなく、今や再現ドラマに出演することへの抵抗感はなくなる一方で、視聴者も「この俳優さん、さすがうまい演技をするな」と高評価はすれども、「この人も落ちぶれたな」などとは思わなくなってきているようだ。短時間でさっと終わり、気楽に観られるドラマだけに、ちょっと手を抜くと昔のように非常にチープなものになってしまう。しかし今では、物語の登場人物の特徴に合わせて、配役なども制作側によってかなり吟味されており、各ツボで効果的に笑わせたり泣かせたりする工夫が施されている。短時間で期待されるだけの役割をこなすには、それなりの実力がなければできることではない。出演する俳優や芸人としてもいい加減にできないし、逆に腕の見せどころでもあると言えるだろう。場合によっては、自分の評価・認知度を高めるために、積極的に再現ドラマに出演する有名芸能人もいるのではないだろうか。

 そうして再現ドラマの完成度が高ければ高いほど、視聴者も制作側に対して「これだけのメンツを揃えるなんて気合いが入ってるな」といった好印象を持ち、出演者たちの演技や芸のステータスも上がり、結果として視聴者も満足して視聴率も上がるという、3者側ともにメリットがあることになるわけだ。今後もこうした“再現ドラマバラエティ番組”はますます増えていくだろう。

(文:五目舎)

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