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『ワイドナショー』人気の立役者・東野幸治 “白い悪魔”からすご腕MCへ

現在、数あるバラエティや情報番組のなかでも、とりわけ多くの知識人タレントをブレイクさせ、そこでの発言が事あるごとにWEBメディアで取り上げられるなど、群を抜いて発信力を有している日曜昼の情報番組『ワイドナショー』(フジテレビ系)。その立役者として再評価を受けているのが、MCを務める東野幸治だ。抜群のトークまわしと様々な発言への絶妙なフォロー、松本人志や大物ゲストへの遠慮のないきついツッコミなどが、時事ネタを扱う情報番組にバラエティ的なおもしろさと躍動感、家族で観ることができる安心感を生み出している。

かつては“白い悪魔”と呼ばれた嫌われキャラ

 小学生の頃、家族そろって『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)を観ながら談笑していたときに、画面に映った東野幸治と今田耕司のコント“放課後電磁波クラブ”の衝撃は、20年以上経ったいまでも忘れられない。S極とN極に扮したふたりがビキニのパンツの両端を肩にかけ、お尻丸出しという完全に変態の格好をしながら、社会のマナーを伝えるというアバンギャルドにもほどがあるコントを観て、思春期に入ろうとしていた私はどうしていいかわからず戸惑った。すると、弟と父親が先陣を切って大爆笑したのである。そのとき、小学生ながら冷静に「あぁ、これはぎりぎりセーフなのね」と思ったことを覚えている。

 その後、東野幸治を観ると“どこか危なっかしいぞ”“この人はとんでもないことをするぞ”という想いが生じながらも、目が離せなかった90年代。伝説のバラエティ『ダウンタウンのごっつええ感じ』の終了後は、様々なバラエティ番組で頭角を現してきたが、その存在は見事な“嫌われキャラ”だった。

 テレビで披露されるエピソードも、事故に遭って食べることさえできない状態の千原ジュニアをいじりに行ったり、マネージャーからの内緒話を何のためらいもなくばらしたりという話だったり……。しかも、自ら「人を信用しない」と公言していることから“白い悪魔”と呼ばれ、東野幸治=冷たい、容赦ない“乾いた笑い”が主流とされていた。

 ところが、近年の東野は当時と様子が異なる。ゴシップとブラックジョーク満載の文体で綴った『この間。』を出版したが、読んでみるとこの本は、後輩に対する愛や我が子への温かい想いがにじみ出ており、東野の奥深い優しさを感じ取ることができる。もともと人間的にはそういう人物なのだろう。昔からその片鱗を感じることは多々あったが、近年はそれを自ら表に出してきているのだ。そんななか、ここ最近では松本人志とともに出演する『ワイドナショー』での名MCぶりが評判を集めている。

盟友・松本人志との高度なコンビネーション

 『ワイドナショー』は、松本、東野をメインに、俳優やタレント、知識人などがゲスト出演し、世の中をにぎわせている様々な時事ネタを私見で語り合う情報番組。ふだんスクープされる側の芸能人が、社会性のある事件や芸能スキャンダルまでを内側からの視線で本音を交えて語るという斬新な切り口が話題となり、ときには渦中の人物が出演して自ら語ることも注目を集め、いまや放送後は番組での発言がネットニュースに溢れることも多々ある。

 そうしたなか、この番組からは、スポーツタレントの前園真聖、社会学者の古市憲寿、作家の山口恵以子氏や羽田圭介氏ら、松本と東野のコンビにそれぞれがもともと持っていた特異なタレント性を引きずり出され(!?)、続々とブレイクしている。番組中は、彼らに対しての松本の容赦ないイジりが目立つが(そこにも気遣いはあるのだが、ないようにみせているところがプロ)、番組を観ていると、それを活かしているのが東野の絶妙なフリとフォローだと気づく。

 松本のボケと東野のツッコミとフォローの高度なコンビネーションが、トークへの安心感を生み出し、ゲストが視聴者の視線を気にし過ぎることなく自由に話せる空気を作っているのだ。たまに松本や指原が暴走するのをしっかりと制し、本題へと持っていく東野の手腕はさすが。長年に渡ってお笑いという厳しい世界の第一線で、影になるときもありながら生き抜いてきた東野と、彼を心底信頼している盟友・松本とのコンビだからこそのトーク番組といえる。そんなふたりの力があって、きわどい内容が多く扱われるこの手の番組が、おもしろおかしく、しかも家族が安心して観ることができる日曜昼の番組として成立しているのだろう。

 もちろん、東野の活躍はそこだけではない。ひな壇に座れば、毒がある鋭利なツッコミと暴走キャラは復活し、MCとなればしっかりと周りを見て進行する。そのバランス感覚が、いまのテレビ界で需要が高まっているのだ。
(文:吉田可奈)

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