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アーティストデビュー30周年の石井竜也の軌跡を振り返る!

少しでもブランクが空いたら、30年も続けることはできなかった

――そこまでしてまででもやり続けていらっしゃったのは、ファンの方たちに最上級のエンターテイメントをみせたいという想いの強さから?
石井 最上級というよりは、最低級のものですけど(笑)。

――いやいや。
石井 でも、最低級のものを見せるのは、すごく力がいるんですよ。むしろ計算しないと最低級にならない。白紙で0点は簡単に取れますが、ちゃんとやって0点ってそうそう取れないじゃないですか(笑)。

――確かに。
石井 まあ、よっぽどバカってことなんでしょうけど(笑)。

――いやいや、それがエンターテイメントの楽しさにつながると。
石井 僕は、作品を溜めることが癖になっているところがあるんですよ。だから、すべての部屋、ベットサイドにはギターを置いていますし、レコーダーを常に持ち歩いて、思いついたときにいつでもメロディーが録音できるようにしています。

――自ら休む時間を作らないと。
石井 それが自分という大人な人間をギリギリまとめている武器といいますか、カンフル剤なんですよね。逆に、大量のお休みが与えられたとしたら、一気に精神がボロッボロになって、何をやっているんだか、訳がわからなくなってしまうと思います。だから、この30年間、全くブランクもなく、何かしら活動し続けて来れたんだと思いますし、少しでもブランクが空いてしまったら、30年も続けることはできなかった。

――とはいえ、ずっとアウトプットされっぱなしで、どのようにインプットされるんですか?
石井 常に何かしら意識して見るようにしています。一度目にしたら、気になって仕方ないんですよ。実は今もいろいろ気になってます(笑)。誰かが何気なく身に着けているアクセサリーや帽子の被り方、そこからこんな風にしたら面白いんじゃないかって、どんどんアイディアが広がっていきます。

――些細な瞬間も見逃さないと。
石井 気になる病ですね(笑)。

――またそれを具現化させることが大変だと思うのですが。
石井 インスピレーションだったり、あの人が着ているあの緑色素敵だなとか、何かに気づくというのは、ある意味では、誰にでもできることだと思います。でも、あの緑色を出してみようって、それを実際に絵の具でやりはじめるところまでたどり着けない人が多いと思うんです。しかも、せっかくやってみたのに、あれっ? どんな緑色だったっけ? もっと黄色っぽかったっけ? わかんないやって、途中で諦めちゃう人もいると思うのですが、僕はそれが一切ないんですよね。

―― 一度やり始めたら、最後まで追求しないと気が済まないと。
石井 降りてきたものというか、自分の中に駆け巡っているものがあまりにも具体的すぎるので、それを出さないのは、神様がくださったものを自らゴミ箱に捨てているような気がして。それは冒涜じゃないかと思うんですよね。やっぱり何かがインスピレーションとして出てくるときには、自分の中で何か問題意識があるんですよ。ある意味では、社会的なものなのかもしれないし、ある意味では、個人的なものなのかもしれないし、ある意味では、もっと違う次元のものであるかもしれないし。でも、1つ1つが作品ですから、人前に出すにあたっては恥ずかしくないものにしなければいけない。そして、みなさんからおぉ〜石井なかなかおもしろいことやってるじゃんって言われないと意味がないなって思うんです。ナンバー1になるより、オンリー1じゃないけど、一度やり始めちゃったからにはそれを突っ走るしかないのかなって。だから、隙間産業っていっているんですけど(笑)。

変化し続けていくことが、逆に変わんないねって言われること

――30年間、しかもずっとトップで突っ走るのは、とてつもない馬力が必要ですよね。
石井 俺をトップと言っていいのかわからないですけど。

――いやいや。
石井 幅を持って物事を見ていると自分と合わないもの、やたら自分と合うものが見つかるんですよ。そして、合わないものを横にずらしていくと、すっごく合っているものが中核にあるから、そこに全然合わないものを入れても怖くないんです。逆に、自分の合わないものを中核に持ってきて、そこに好きなものをくっつけようとしても無理なんですよね。だって、中核にあるものが嫌いなんだから。間違っているのが、今これが流行っているよねとか、今の音ってこうだよねって、自分に合わないのに無理して合わせようとしちゃうのが一番の癌なんですよね。それにみんな巻き込まれちゃって、それで消えちゃう人も多いと思うんです。

――だからこそ、石井さん(米米CLUB)には、今もなお色褪せない名曲たちが存在するんでしょうね。
石井 「君がいるだけで」や「浪漫飛行」とみなさんが知ってくださっている楽曲があると思うんですが、そういう歌も時の流れとともにいろんな風に変えていかないといけないと思うんです。変化し続けていくことが、逆に変わんないねって言われることなのかなって。俺が思うに、音楽をやっている人は、音楽を軸にしないこと、絵を描いている人は、絵を軸にしないことが更なる進化に繋がると思います。絵描きが絵の勉強をするために、○○展を見に行くというのは、俺的にナンセンスだと思っていて。それよりは、いろんな人生経験を積んだほうがいいのかなって。いろんな人を観察したり、映画を観たり、全然自分と違うジャンルと触れ合った方が、よっぽどインスパイアされるものが多いと思うんですよ。だから、その道に進む人は、その道のものをあまり見ない方がいいと、若い連中にも言っています。よく勉強しますっていうけど、音楽は書いて字のごとく音を楽しむものだし、芸術も芸の術。見たままのことを描くのは簡単だけど、そこに物語や修飾語をつけるだけで、違った意味になるし、世界が広がっていくと思います。

――30周年を迎える当日(10月21日)行われる日本武道館でのスペシャルライブは、WOWOWで生中継されるとともに、監督として手掛けられた映画『河童』『ACRI』、米米CLUBでのデビューから30年を振り返るライブヒストリーなど、スペシャル番組が放送されますね。
石井 本当にありがたいです。武道館ライブは、現在行っている地方でのライブと全く違うものになる予定なので、見逃さないでいただきたいですね。生で観るのはもちろんですが、映画に携わらせていただいている人間としては、様々なアングルから観て欲しいという欲もあるわけで、映像ならではの視点で楽しんでいただけたらと思います。スペシャル番組では、石井竜也の30年の軌跡を辿っていただけると思いますし、31年目の扉を開けた新しい石井竜也を武道館でみなさんにお届けしたいと思います!

(文:星野彩乃)

石井竜也の30周年スペシャル番組

石井竜也の映画監督初作品『河童』
【放送日時】10月21日(水)午後1時〜 [WOWOWライブ]
石井竜也監督の映画『ACRI』
【放送日時】10月21日(水)午後3時〜 [WOWOWライブ]
石井竜也&米米CLUB LIVE HISTORY
【放送日時】10月21日(水)午後5時〜 [WOWOWライブ]
生中継!石井竜也 30th ANNIVERSARY CONCERT TOUR 2015 ARROWS HEAD
【放送日時】10月21日(水)午後6時30分〜 [WOWOWライブ]
石井竜也 30th ANNIVERSARY CONCERT TOUR 2015 ARROWS HEAD
【放送日時】12月2日(水)午後4時30分〜 [WOWOWライブ]

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