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大槻ケンヂ(筋肉少女帯)、人生の“おまけのいちにち”の連続は“闘いの日々”

 TVアニメ『うしおととら』主題歌の「混ぜるな危険」を含む17枚目のアルバム『おまけのいちにち(闘いの日々)』を発売する筋肉少女帯。メジャーデビュー27年というレジェンダリーなバンドながら、齢50近くにして大槻ケンヂが保ち続ける中二病的感性も求心力となり、常に時代の若者の心をつかみ続けている。本作は中二病まっただ中の世代を鼓舞する一方で、とうに卒業したかもしれないオールドファンにも刺さる筋少の真髄が詰まった1枚。少し不思議(SF)な意味が込められたアルバムタイトルの理由についても語ってくれた。

⇒大槻ケンヂ(筋肉少女帯)動画インタビュー

昭和40年代・50年代から今の時代にタイムスリップしてきた感覚がある

──ニューアルバム『おまけのいちにち(闘いの日々)』が発売されます。前作アルバムが4年半ぶりの新作だったことを考えると、活動が活発になっているイメージですが、バンド内のモチベーションも上がっているのでしょうか?
大槻ケンヂ そしてメーカーさんのモチベーションも、ですね。まあ前作がランキングのそれなりにいいところに入ったので、今のうちにやってあげよう! ということになったんじゃないでしょうか。嬉しいことです。

──そういった大人の事情も鑑みられる世代に(笑)。大槻さんも現在49歳、学年としては50歳になられるんですよね。
大槻 そうですよ。今って自分のとっても若い頃、それこそ18歳の頃とかの映像を簡単に観られるでしょう。そうすると自分が自分でないような……いや、それでもやっぱり自分なのでとても不思議な気持ちになるんですけど。そんなこと考えてるときに、たまたま昭和の頃を振り返る番組や取材が連続したんですよ。昭和といっても『三丁目の夕日』的な昭和じゃなくて、その次の昭和40、50年代ですね。

──アルバムにも「S5040」という楽曲が収録されていますね。
大槻 うん。たぶんこれから回顧され始める時代だと思うんだけど、当時の原風景というのは今にして思うと異常だったと思うんですよ。例えばね、みんな煙草を吸っていました。ヒッピーもいたし、ホームレスも普通に街を歩いていましたね。あとはビジュアル的にも当時は規制が緩かったんで、ポルノ映画のポスターとか、当時ブームだったオカルト映画のポスターが、通学路とかに平気でガンガン貼ってあった。そういったエロとグロな町の風景に加えて、反社会的集団のみなさんが月1恒例で町中で集会してたりとかね。

──そうした風景は、今ではリアルには見られなくなりました。しかしネットを探すとけっこう写真や動画が上がっていますから、若い人でも興味があればそういう風景が目撃できるわけですよね。本作収録の「混ぜるな危険」の歌詞にも往年の女優の名前が登場して、あれこれ説明するのもアレなので「各々、検索しなさい」という示唆があります。
大槻 ああ、そうかもねえ。今そういう風景を一番目撃できるのはCS放送とかでやってる古いドラマですよ。『俺たちの勲章』とか、『傷だらけの天使』『俺たちは天使だ!』とかね、ああいうドラマは街中ロケが多いんで、新宿とか、渋谷の街並みが映るんですよ。若い人が見たらびっくりするんじゃないかなぁ。これが東京!? って。でもそういうのを見るにつけ、回顧とかノスタルジーじゃなくてね、僕が育ったあの時代というのは実は別の次元、別の宇宙だったのではないかと。そして我々はその次元からたまたま今の時代にタイムスリップして来た人間たちなんではないか、とSF的に思うことがあるんですよ。地続きだったとは思えないんだよなぁ。どこかで途切れている。そういうことを今回は歌詞にまとめてみたんですけどね。そもそも筋肉少女帯はアングラパンク高校生バンドだったのが、今はエンタテインメント・ゴージャス・ハードロックをやっていて、いろんな夏フェスにも出させてもらって、皆さんを盛り上げるバンドになっている。それを不思議な感じがしていて、活動休止期間を抜いても地続きだったとは思えないんだよなぁ。

“伝説”と言われるのが嫌いだった 変化を恐れてはいけない

──ところで本作のジャケットは、大槻さんの処女小説である『新興宗教オモイデ教』の文庫版イラストが採用されています。大槻さんの創作物は歌詞にしろ小説にしろ、とかく“中二病”的だと言われますが、大槻さんご自身は“中二病”についてどう思われますか?
大槻 うん。これまで自分の書く歌詞や小説というのは一種独特なものであり、大槻ケンヂ個人の思いを込めて書いてきたとずっと思ってたんです。ところが僕の歌詞に共感するという声を、若い方々からたくさん聞くんです。そういう声を聞くにつけて、自分固有の感性だと思っていたものは、実は若い少年少女が普遍的に感じる不安であったり、喜びであったり、そういった感情なんであるなぁということがわかって。

──しかし、中二病的な感性を齢50まで保ち続けられるのも並大抵なことではないと思います。
大槻 いや、僕だってバンドを始めた13歳の頃はまさか自分が50歳まで続けてるなんて夢にも思わなかったですよ。しかも筋少というのは僕以外みんな超絶技巧、いわゆるバカテクの演奏者なので、なぜ自分はこんな巧い人たちをバックに歌っているのであろう? と、ときどき不思議な気持ちになります。筋少が属するハードロック/ヘヴィメタルという音楽は、蛇蝎のごとく嫌われていた時代があったんです。極小的なものなんだけど、パンクvsへヴィメタルっていう時代もあって、仲が悪くてね。あとはニルヴァーナとかグランジロックの時代も嫌われてましたよね。だけど、どうも世界的な傾向で見ると若い人はハードロック/ヘヴィメタルが好きなんですよ。ハードなサウンドを求めているのね。これは100年経っても若い人はハードロックが好きなんだと思う。誰しもが抱える青春の悩みと、誰もが燃えるハードロック。2つの要素があったから、筋少は27年間支持を得てこられたんだなと思いますね。僕、個人的にはそんなにへヴィメタル好きでもないんですけどね。もちろん、嫌いではないですけど、へヴィメタルのボーカルを歌っているのがたまに不思議な気持ちになりますね。でもその人生が最高に面白いと思いますけど。

――“青春の悩み”という話がありましたが、言ってみれば筋肉少女帯は大御所バンドの位置づけですよね。
大槻 この間ある音楽番組に出させていただいたんですけど、“レジェンド”枠だったんですよ。僕は“伝説の〜”とか言われることに対してこれまですごく拒否反応があったんですよ。今を生きてる人間だから、伝説なんて言われると“終わったコンテンツ”的なイメージがあって、そう呼ばれるのは絶対嫌だなと思っていて。台本にあったら「外してくれ!」って怒ってたんですよ(笑)。でも、言葉って面白い、これが“レジェンド”だと、そこに多少のリスペクトを入れて下さってる部分があっていいなって。言葉ひとつの違いでね。その時、筋少のキャッチフレーズを「永遠の新人バンド」ってつけたんですけど、それは重要なことだなと思って。過去・現在・未来と、人間も、社会も、全てが変化していくじゃないですか。ロックバンドもそうで、どれだけ“レジェンド”って紹介されても、落ち着いちゃいけないというか、常に変化していくことに対して恐れない気持ちでいることが重要なんじゃないかと最近はよく思います。

若い人とのコラボは絶対必要だと思う

――長い歴史を持ちながら、「球体関節人形の夜」は声優の野水いおりさんに提供された曲だったりとか、若いアーティストとのコラボも積極的にされている印象があるのですが、いかがでしょうか。
大槻 自分より若い人とのコラボはやらないとダメだと思うね。ポール・マッカートニーも、世代を越えてマイケル・ジャクソンとやってたりしてたじゃないですか。そういうことって絶対必要だと思う。やっぱり、世代差のある連中の発想って面白いなって。

――最近そういうことを実感したことはあったんですか?
大槻 挫・人間っていうバンドがいるんだけど、この前、忘れらんねえよの柴田(隆浩)君からメールが来て、何かなって思ったら『挫・人間の今度の曲はいいからぜひ聴いて欲しい』って。あ、柴田君も相当面白いんだけどね(笑)。それで挫・人間を聴いてみたら、ラップ調の曲だったんだけど、僕の小説のこととかも盛り込んでくれてて、ああ嬉しいなって。そんなときに、グッバイフジヤマというバンドも「やまぐちみかこに騙された」っていう、僕の小説『グミ・チョコレート・パイン』のヒロインのことを歌ってくれてたの。“やまぐちみかこに騙された、人生はグミチョコ遊びじゃなかったよ”って、すごいいい曲でね。それでインタビューを読んでいたら、彼らは銀杏BOYZの峯田(和伸)さんの楽曲の中で、やっぱり『グミ・チョコレート・パイン』が歌われていて、それを読んで人生が動いて、バンドをやっているんだって。自分の生み出したものが、流れ流れて今若い人の歌詞に使われてるなんて、本当に光栄で嬉しいことで。そういう子たちとも機会があればコラボやってみたいなぁって勝手に思っています。

──それはやはり先ほどもあったように、大槻さんの感性が普遍的ということだからなんでしょうね。今の若いバンドと、筋少と同世代のバンドとの違いって何か感じられたりしますか。
大槻 大きな違いは、僕らは当時、学歴社会だったし、バブルだったから、「就職せずにバンドやります!」なんて言った日には、“人生をどぶに捨てるのか”って言われたんです。でも、今はそこそこ良い大学に入った男の子が、「お父さん、お母さん、僕はやっぱり音楽が好きなんだ!東京に行って、音楽で飯を食っていこうと思うんだ!」って言ったら、反対はするだろうけど、でもそれも選択肢としてアリかなって言えるくらいの時代じゃないですか。テレビをつけたらロックバンドがちゃんと歌っているから。だからスタート地点が全く違う。でも、今の子たちのほうがちゃんとしてる子が多いと思うし、人生を背負ってると思う。だって1988年ごろにデビューした連中っていうのは、人生をどぶに捨ててたもん(笑)。もう人間やめますから将来とか知らないです、っていう気持ちでやっていたから。僕らは前例がなかったからね。ひどかった。外国のバンドの先輩たちを見て、「ライブが終わったら泥酔してホテルの窓からテレビを投げなければいけないんだ」と思っていた時代だからね。そしたら諸先輩方もヘルシー志向になって、ミック・ジャガー先輩なんてもうライブの前にずっと走ってるじゃないですか。騙したな!って思いましたね(笑)。

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