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洗練されたサウンドが夏フェスで話題になったSuchmosって?

 クールなストリートカルチャーをベースに、ソウルやジャズ、ロックなどの音楽を融合。メンバーの地元である神奈川・横浜や茅ヶ崎の洗練された空気感と相まった、独特のチルアウト感が評判のSuchmos(サチモス)。最新アルバム『THE BAY』は、現在人気のバンドシーンのメインストリームとは異なる音楽性ながら、週間インディーズランキングで8位を獲得するなど、耳の早い音楽リスナーを中心に注目を集めている。

一貫して自分たちが良いと思うものを作り続けるだけ

  • Suchmos(サチモス)のアルバム『THE BAY』

    Suchmos(サチモス)のアルバム『THE BAY』

 Suchmosの音楽の特性である、爽やかで心地の良いジャズやソウルのテイストは、ベースのHSUの母親が好きだったジャミロクワイからの影響とのこと。ノイジーなギターが鳴り響くロックテイストの曲もあり、ニルヴァーナからの影響で、ボーカルのYONCEが親戚のおじさんから教えてもらってハマったものだそう。いずれも20年以上前の音楽であるが、それを今でもリアルに感じていられるのは、YouTubeなどの動画共有サイトのおかげだ。日々メンバーで集まって、当時の動画を探してはプロジェクターに映して鑑賞しているとのこと。ジャミロクワイとニルヴァーナという一見音楽的には異なるバンドであるものの、共通したスピリットを感じて共感しているそうだ。
「ジャミロクワイもニルヴァーナも、どんなに人気が出ても普段着のままステージに上がっていて、その感覚がすごくカッコイイと思うんです。ニルヴァーナは彼らのスタイルが、そのままファッションになったし、ジャミロクワイも『ヴァーチャル・インサニティ』で世界的になる前の初期は、ダボダボのジャージで手作りのニット帽とかパーカとかで、グランジに通じる汚い格好だったんです。俺ら、衣装を着せられるようなことは嫌いなんですよ。だから、そういう精神と言うかスタンスにすごく共感します」(HSU)
「好きな服で好きなように、好きな音楽をやりたいです。指図されたくないって言うか、作られたくないって言うか。俺らは、このスタンスのままで大衆に向けてやっていきたいです。そのために何か考えたり整えたりしていくと、結局淘汰されて似たようなものばかりになってしまうと思うんですよね。それが今の音楽シーンだと思うし。そうなりたくないと言うか……つまりオリジナリティーを追求したいということです」(YONCE)

 昨年の『FUJI ROCK FESTIVAL ’14』に初出演したことを契機に、以降フェスやイベントに引っ張りだこの彼ら。どこに行ってもアウェー感は否めないものの、そんな逆境は臨むところといった感じだそう。また、彼らと同じSPACE SHOWER MUSIC所属のゲスの極み乙女。などレーベルメイトの活躍や、AKB48や三代目 J Soul Brothersなどが隆盛を極める現在の音楽シーンについては、決してうらやましがったりするわけではなく、自分たちは自分たちであるとクールなスタンスだ。
「去年の『FUJI ROCK』のバックステージでは、居心地が悪いとかはなかったけど、仲良くなれそうな人がいなかった。別に俺らがトゲトゲしてるわけではないけど、誰も近寄って来てくれないんです(笑)。というか、別に友だちを作りに行ってるわけじゃないし。だからこれからも、いろんなところにブッこまれるようなバンドになりたいですね。どこに出て行っても大丈夫みたいな。どこ行っても浮いちゃうので、例えばマキシマム・ザ・ホルモンのようなジャンルとかカテゴリーを超える感覚、RIP SLYMEのような自由で肩の力の抜けた感覚は、すごく憧れます」(HSU)
「表にキラキラした笑顔をふりまいている人ほど、腹の中は真っ黒なんだろうなとか(笑)。思うことはいろいろあるけど、他の人に対しては何も言えないです。これはKISSのメンバーが、プライベートのスキャンダルについて聞かれたときの答えで『だけど俺は何十億ドルも稼いでいるから』って。つまり、売れている人には、何を言ってもただケチをつけているだけにしかならない。だからと言ってスネてしまったりとか、俺らが売れているほうに寄せて行くとか、やることがブレてしまうのは、すごくカッコ悪いと思う。そういう意味では、俺らは一貫して自分たちが良いと思うものを作り続けるだけです。そこに何か希望があるとすれば、受け取る人の価値観がもっと変わって欲しいということかな。それ待ちみたいなところはありますね。もちろん俺らからも働きかけるんだけど、そういう時代が巡って来ると信じている」(YONCE)

様々な音楽がミクスチャーされたサウンドは、大人の音楽リスナーを中心に人気

 様々な音楽を吸収してミクスチャーされたSuchmosのハイブリッドサウンドは、20代〜40代の大人の音楽リスナーを中心に人気。Apple Musicが今最も注目するニューアーティストを紹介する「NEW ARTIST スポットライト」にも選ばれた。そんな彼らの最新アルバム『THE BAY』には、「横浜みなとみらい」を意味するタイトルが付けられたファンクナンバー「YMM」や、ラップを加えたR&Bナンバー「GIRL」、ファズギターとスクラッチ音が鳴り響く「Burn」。バンド名Suchmosの由来となったジャズアーティスト=ルイ・アームストロングの名前を冠した「Armstrong」など多彩なナンバーを収録している。前述のジャミロクワイやニルヴァーナの他に、茅ヶ崎の出身のボーカルのYONCEが、幼少時代から耳にしていたサザンオールスターズのサウンドや桑田佳祐、ニルヴァーナに目覚める前に聴いていた山下達郎やMISIAなどのJ-POPのメロディー感。ベースのHSUは、音大に進んでジャズを専攻していた経緯もあり、彼らの音楽の根底にはそのすべてがそこはかとなく感じられる。
「外から入ってきたいろんなものを吸収して、それを新たに外に出していく。そうやって物が行き来するのが港町で、その港町で生まれ育った俺たちにとって、それは音楽でした。その象徴として『THE BAY』とアルバムタイトルを付けました」(YONCE)

 タイトルのネーミングや作詞は別にして、実は曲作りの際には、地元感やクラブミュージック感などは意識したことがないそうだ。だが、それでも潮の香りや心地よい気だるさが感じられるのは、きっと生まれ育った環境から自然とにじみ出てくるものだろう。売れるとか売れないとか世の中がどうとか関係なく、ただ自分たちがカッコイイと思うものをメンバー同士で共有し、それを音楽として作っているだけ。そんなことを胸張って言えるバンドが、音楽シーンを動かしていく時代は、きっと彼らが中心になって作られて行くだろう。

(文:榑林史章)

Suchmos(サチモス)プロフィール

YONCE(Vo)、HSU(B)、OK(Dr)、TAIKING(G)、KCEE(Dj)の5人に、SANABAGUNの櫻打泰平(Key)が参加。
バンド名は、スキャットのパイオニア、ルイ・アームストロングの愛称サッチモから引用してつけられて。
メンバー全員が神奈川県育ちで、2013年1月結成。
都内ライブハウス、神奈川・湘南のイベントを中心に活動。
2014年7月、『FUJI ROCK FESTIVAL ’14』での“ROOKIE A GO-GO”への出演をきっかけに、注目を集める。
2015年4月、シングル「Essence」をインディーズでリリース。
2015年7月、アルバム『THE BAY』をインディーズでリリース。

Suchmos オフィシャルサイト(外部サイト)
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