(更新:)
ORICON NEWS
『ピンクとグレー』撮影現場で語る“ジャニーズらしくない中島裕翔”を目指す理由
すごく複雑……正直イヤでした(苦笑)
「ドラマでやっと主演をやらせていただけて喜んでいたところだったので、『ええっ! もう映画の主演やっちゃうんですか?』とすごく嬉しい反面不安もありました。ゆくゆくはやってみたい気持ちはあったんですけど、ドラマとは違う作り方だと聞いていましたし、全然違う土俵というイメージがあったので、もうそのときがやってきてしまったのかと」
「違いました。加藤シゲアキくんの小説家デビュー作ですから、ますます『どうしよう……』と不安になりました。小説や漫画が映画になるのは珍しいわけじゃないけれど、今回に限っては正直イヤで(苦笑)。というのは、作品の持つ良さを自分が主演することでぶち壊してしまったらどうしよう……というプレッシャーですね。主演というのももちろんビックリしたけれど、それが先輩の作品だというのはもっとビックリで。一方で『やってやるぞ!』という気持ちもあって、すごく複雑でした」
「撮影は、自分にとっては毎日が山場のような感じではあったんですけど、なかでも一番きつかったのは、撮影2日目に泣きの芝居があったことです。ストーリーとしては後半に用意されたシーンなのに、それが2日目に入っていて『もう、これを演じるのか』って(苦笑)。身近な人を亡くした経験が僕にはまだないので、それがどういうことなのか、どういう気持ちなのか、すごく難しかった。首を吊るシーンはどういう気持ちで死に向かっていっているのか、蓮吾(中島)に対する河田(菅田将暉)の嫉妬についてとか、行定監督に聞きながら作っていきました」
どう受け止められるのか恐くもある
「芸能界をテーマにしている作品で、僕自身もその世界を知っているからこそ、どこまでリアルな部分を出していいのか、というのはありました。将暉と『どこまでリアルにやる?』『リアルにやるとそれはそれでけっこう恐いよね』って話をしたり。でも、小説で描かれていますからね(笑)」
同年代の友人であり、俳優としての先輩である菅田は、メンバーの山田涼介(Hey! Say! JUMP)とも映画『暗殺教室』で共演していることから、中島も初共演ながら打ち解けやすかったことだろう。これまでに多くの映画に出演し、数々の現場を経験してきている菅田との共演は、中島にとって大きな財産になったはずだ。
「共演する前に彼の主演作『共喰い』を観たんです。自分と年齢はひとつしか変わらないのに『何なんだ、この人は!』っていうのが感想でした。この人は本当に芝居が好きなんだろうな、というのが伝わってきました。なので、そんな若手の怪物が芝居相手でどうしようかと(苦笑)。でも、本当に刺激をもらいました。将暉は同じ芝居をしないんです。テイクごとにほんの少し芝居を変えてきます。行定監督がいうには、将暉は最初のテイクで決めてくるタイプで、逆に僕はテイクを重ねていくほど良くなっていくタイプ。僕は咀嚼するまでに時間がかかるけど、将暉はここのシーンではこれがやりたい!って最初から作って、仕掛けてくる。監督を驚かせようとするのが伝わってきました。芝居は、安定感だけじゃなく彼のように仕掛けていくのも大切なんだなって刺激をもらいました」
一方、今回の役柄には、これまでの中島の“好青年”イメージをガラリと変える演技もある。
「正直、ファンの方がどう受け止めてくれるのか恐くもありますが、今までやったことのない役なので、すごく楽しかったです。まだ完成した作品を観ていないので、どこまで演じきれたのかはわからないけれど、他のキャストの方の力もあって、いや〜な感じ、ダークな感じを出しやすい現場だったことに感謝しています」
そんな役を通して、芸能界を生き抜くなかでの泥臭い感情と真正面から向き合えたことは、中島にとっては俳優としても人間としてもいい経験になり、大きな成長へとつながっているようだ。
「結局のところ、お芝居は自分が経験したことが糧になってくる部分もあって。技だけで表現するのか、経験したことを表現するのか、人によって違いはあると思いますけど、自分の場合はまだ技を持っていないので、観てもらえる人に少しでも役に共感していただけるように経験を積んでいきたい。さすがに映画のような経験はしていなくても、こういうときだったらどうするのか考えて、たとえば自分を見失って狂っていくシーンは、自分が一番うかれているような気分を模索しながらそれを大きく膨らませていきました」
いろいろな感情を抱いた青春
「小さい頃からこの世界に入っていたので、青春らしい青春を送ってきたかどうかはわからないですけど、学校の授業が終わって同級生のみんなにとっての部活が、僕にとってはリハーサル室でのレッスンでした。そのなかで友だちもできていきましたし。高校生のときは同じ環境の人がいる学校だったので、それが刺激になりました。誰かがドラマに出ていたりするといろいろな感情を抱いたり。そういう感情も含めて、あのときもっとああしておけば良かったな、今ならこうするのになって、振り返るのが青春なのかなって。良い思い出も嫌な思い出もぜんぶひっくるめて『よかったな』って思える過去が青春だと思います。この映画の前半で、ギターを弾くシーンや学ランを着て自転車で通学するシーンがあるんですけど、そういうシーンを演じながら青春だなぁ、いいなぁって思いました」
「その質問は……答えるのがすごく難しいですけど、ジャニーズっぽくない役者になりたいというのはあります。お芝居の仕事のときは、ジャニーズの中島裕翔ではなく、そういえば中島裕翔ってジャニーズだったんだ、というくらいになりたい。そこを目指すのはジャニーズの先輩たちを見ているからでもあって。とくに岡田(准一)くんを見ているとそう思います。この人がジャニーズにいるんだって思うとすごく嬉しいし、自分もいつかはこういう人になりたいと励みになります。僕のベースはHey! Say! JUMPなので、お芝居の仕事のときはアイドルのイメージをどれだけ払拭できるかだと思うんです。役者さんと同じ土俵に立つにはやっぱり役者にならなきゃならない、そこに向かって一歩ずつ歩いていきたいです」