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三谷幸喜脚本の本領発揮?『真田丸』と『新選組!』“敗戦の将”を描く共通点

(1列目左から)斉藤由貴、内野聖陽、堺雅人、大泉洋、木村佳乃(2列目左から)段田安則、藤岡弘、、近藤正臣、草刈正雄、高畑淳子、寺島進(3列目左から)吉田羊、遠藤憲一、高嶋政伸、草笛光子、中原丈雄、藤井隆、平岳大

クライマックスに向けてなんとか盛り上がりを作りだそうと躍起になっているNHK大河ドラマ『花燃ゆ』。その一方、ここ最近はすっかり2016年度の『真田丸』に話題を奪われている感がある。その最大の要因とは、堺雅人、大泉洋ほか重量級キャスト陣の引きも強いが、やはり国民的作家・三谷幸喜氏が脚本を手がけることだろう。三谷氏による2004年度大河ドラマ『新選組!』は鮮烈だった。自ずと『真田丸』への期待は高まるというものだ。

戦国時代の名将・真田幸村の生涯を描くオリジナル物語

 『真田丸』の主人公は、戦国時代最後の名将と言われる真田信繁(幸村)。劣勢明らかな大坂の陣で、真田丸という砦を作り、知略と武勇を武器に抜群のリーダーシップを発揮し徳川家康をも恐れさせた伝説の武将だ。信州の小さな領主であった真田家に生まれた幸村は、周囲の大名たちが繰り広げる戦乱の荒波に翻弄されながら、父や兄をはじめとした家族とともに、知恵と勇気と努力で戦国の世を生き抜く。真田丸とは、戦国の荒波に立ち向かう真田家を、一艘の船にたとえている。同作は、そんな幸村の波乱万丈の生涯を、三谷氏が勇気と愛があふれるオリジナル物語で描く。

 幸村を演じるのは、スター俳優・堺雅人。近年では『リーガルハイ』(フジテレビ系)や『半沢直樹』(TBS系)など、大ヒットドラマの主演を務める堺が、お茶の間に実力を知らしめた『新選組!』、人気を確固たるものとした『篤姫』(2008年)に続いての8年ぶりの大河ドラマ出演とあって、早くも注目を集めている。さらに幸村の兄・真田信幸を演じるのは、朝ドラ『まれ』のほかドラマ、映画にひっぱりだこの大泉洋。その正室・小松姫役は話題作への出演が途切れることなく続く吉田羊。人気と実力を兼ね備える、いま旬のスター俳優たちが勢揃いする。

『新選組!』でみせつけた敗戦の将の魅力

 NHKドラマのサイトにアップされた三谷氏のコメントに「真田信繁も新選組も、歴史を築いた人物ではありません。言ってみれば歴史に取り残された『敗者』です」とあるが、敗戦の将の魅力については『新選組!』の主人公、新選組局長・近藤勇を演じた、SMAPの香取慎吾が実証済みだ。若者特有の健やかな好奇心から、多くの出会いを経て、武士としての道を歩くことになる勇。第1話で、盟友・土方歳三(山本耕史)らと一緒に黒船を見に行ったときには、アメリカの国旗を奪おうともくろみ、坂本龍馬(江口洋介)を苦笑させるほど、エネルギッシュな青年だった彼は、後に新選組を結成。京都での仲間たちとのいきいきとした日々のなかでも、ゲンコツを丸ごと口に入れてみせるといった、邪気のない少年らしさが印象的だった。

 しかし物語が進むにつれ、甲州勝沼の戦いに敗れて、土方と江戸に引き上げてからの第48、49(最終)話での、変わり果てたその姿には大いに圧倒された。斬首直前、偽名を使って逃げ延びようとしているところに、かつての部下が連れて来られたシーンでは、戸惑う部下に、勇自ら「お久しぶりです」と声をかけた。そのときの声のトーンと表情には、鳥肌が立ったものだ。若き隊士らを率いてきたリーダーとしての貫禄、武士の忠義を貫くためには、死をも辞さぬ覚悟を腹に据えた男の冷静さ。鳥のさえずりや木々のそよぎに目を細め、仏像のように穏やかな表情で迎えた主人公の最期は、今でも忘れられない名場面だ。『真田丸』の主人公には、どんな見せ場が用意されるのか? 近年、明快な当たり役が続いただけに、堺の本領発揮にも期待が募る。

『真田丸』からブレイクは?“草の者たち”に注目

 『新選組!』は、三谷氏の脚本への期待もさることながら、香取慎吾を筆頭に、山本耕史、藤原竜也、オダギリジョー、堺雅人、中村勘九郎、中村獅童ら、当時は映画や舞台、歌舞伎を中心に活躍していた、若手実力派俳優陣が顔を揃えたことでも注目を集め、それまであまり大河ドラマを観ていなかった、舞台好きの若者のなかにもハマる人が続出。DVDも大ヒットを記録した。

 撮影終了した後も、定期的に集まっているというキャストたちのチームワークの良さは、激動の幕末期に青春をともに生きた若者たちの熱気と見事にマッチし、作品に活気を与えた。またキャストだけではなく、スタッフも含めた制作チームが一丸となり、ドラマを盛り上げようという、タイトルの“!”にふさわしい、作品から伝わってくる勢いは、舞台演出家として、さまざまなカンパニーを盛り上げてきた、三谷氏の手腕と言えるのかもしれない。

 先日発表された『真田丸』のメインキャストのなかで、とくに楽しみなのは、幸村に仕え、真田家を陰から支える、草の者たちの存在だ。幸村の父・昌幸(草刈正雄)に才能を見出され、大坂の陣でも暗躍する猿飛佐助役には、藤井隆。大河ドラマ初出演の藤井と、佐助をはじめ忍びの者たちを束ねる出浦昌相役の寺島進ら、個性派俳優たちの芝居が盛り上がれば、作品全体のおもしろさも一気に高まるはず。『新選組!』では、堺雅人が新選組総長・山南敬助役でブレイクしたが、『真田丸』では藤井隆の俳優としての飛躍に注目したい。

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