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Mr.Children、前代未聞の全国ツアー『REFLECTION』をレポート☆既存のスタイルにとらわれない新たな音楽の届け方

 Mr.Childrenの約2年ぶりの全国ツアー『Mr.Children TOUR 2015 REFLECTION』は大きなトライアルだったと言えるだろう。アンコールを含めた全22曲のうち、13曲が新作『REFLECTION』の収録曲。しかも発売前のため、その多くは、初めて耳にするまったくの新曲だ。もちろん、そういう趣旨のツアーをアリーナクラスの会場で実現できるのが(5月28日の横浜アリーナ公演も当然のように超満員。あれほど多くの立ち見客がいるライブ、久々に見ました)ミスチルの凄さなのだが、それ以上に“ここで新しいMr.Childrenを見せるんだ”と言わんばかりの姿勢が強く印象に残った。

発売前のアルバムの収録曲を披露…前代未聞のツアー

 ライブは『REFLECTION』の収録曲「fantasy」からスタートした。生身の音が剥き出しになったバンドサウンド、“何気ない日常のなかにもファンタジーは存在する”というテーマが伝わる歌が響き、早くも大きな感動が生まれる。さらに桜井和寿(Vo&Gt)の鋭いギターフレーズを中心にした「ロックンロールは生きている」、ムードメイカーの鈴木英哉(Dr)の「イエーイ! 横浜、元気か!?」というシャウトとともに披露された「旅人」、サポートメンバーのSunnyのピアノと桜井のボーカルから始まる「fanfare」へと続く。共通しているのは、“ここから新しいスタートを切るんだ”というムードであり、それはそのまま今回のツアーのコンセプトにもつながっていたと思う。

 「レコーディングを2年間くらい、ずっとやっててね。曲ができるたびに“早く聴いてほしい”と思って、やっとこの日が来たよ!」と嬉しそうに話す桜井。「新しいアルバムの曲をお届けしたいと思ってます。聴いたことのないメロディもあるし、“歌詞、何て言ってるかわかんない”ということもあるかもしれない。“つまんない〜”ってならないように万全の準備をしてきました。ときには聴覚を、ときには視覚を、ときには嗅覚を研ぎ澄ませて、僕らのオッサンくささではなくて、人間くささを感じてもらえたらと思っています」というMCのあとは4曲続けて『REFLECTION』の楽曲が演奏された。

 穏やかな旋律を持つミディアムチューン「Melody」、「ずっと何かと戦ってきた人、そして、いまも戦い続けてる人にこの歌を贈ります」という桜井のコメントも印象的だったロックナンバー「FIGHT CLUB」、オルタナカントリー的な要素を反映させた「斜陽」、フォーキーな手触りの「I Can Make It」。それぞれにテイストは異なるが、アンサンブルの中心になっているのはメンバー4人の生々しいバンドサウンドだ。2年以上のアルバム制作のなかで彼らは、自らの音とまっすぐに向き合い、新たなミスチル・サウンドを掴み取ったのかもしれない。

ミスチル・ナンバーが持つ普遍的なパワー

 ライブ中盤では、「友達や彼氏に連れられ、たまたまこのライブに来たあなたも“あ、これは知ってるよ”という曲をお届けしたいと思います」(桜井)という言葉とともに、アリーナの真ん中に設置されたサブステージに移動し、アコースティックスタイルでヒットチューンを披露。まずは2000年のヒットシングル「口笛」。「アコースティックバージョンと1番をお客さんが歌うというバージョン、2パターン用意してます。イントロが始まって“私たちが歌いたい、俺らが歌いたい”と思った方は手を挙げてください。半数を超えたら、みなさんが歌うということで」と呼びかけたが、曲がスタートすると同時にほとんどのオーディエンスが手を挙げ、すぐに大合唱が生まれる。

 続いては2008年発売のシングル「HANABI」。直前に桜井が「ペットショップの人に“水は常に酸素を取り込んで動かしていかないと、死んでしまう”という話を聞いたことがあります。人の心もいつも動かしていないと生き生きしていられないと思い、この曲が出来ました」というエピソードを話し、イントロが響いた瞬間に「おぉ〜!」「これか!」という声が上がる。サビの<もう一回 もう一回>はもちろん、観客全員が人差し指を掲げて合唱。それはまさに、ミスチル・ナンバーの普遍的なパワーを示すシーンだった。

既存の形式にとらわれない新たなスタイルを提案

 そして後半は再び『REFLECTION』のナンバーが表現される。楽曲の世界観とリンクした映像ともに披露された「蜘蛛の糸」から、「聴こえてますか、横浜。これが僕らの、新しい足音」(桜井)という言葉に導かれたシングル「足音〜Be Strong」、ダイナミックなスケールを備えた「幻聴」まで7曲を続けて演奏。アルバム『REFLECTION』の世界をいち早くライブで体感してほしい。そんなメンバーの願いが強く伝わってきた。

 アンコールではファンへの感謝の気持ちを込めた「Everything(It’s you)」(1997年のシングル)、イントロが始まった瞬間に大きな歓声が上がった「エソラ」、カラフルなポップチューン「Marshmallow days」で華やかなエンターテインメント空間を演出。そして最後は「未完」。エッジ―でエモーショナルなサウンドと“常識という壁を越え、自由に進んでいこう”というメッセージが融合したこの曲はまちがいなく、アルバム『REFLECTION』を象徴するナンバーのひとつだ。

 6月4日に発売されるアルバム『REFLECTION』は全23曲収録の{naked}、厳選された14曲を収めた{Drip}の2形態。発売前に大規模なツアーで新曲をたっぷり披露したことを含め、そこにはメンバーの“既存のリリース形態、プロモーション、ツアーの形式に縛られず、いまの時代に合ったスタイルを提案したい”という意思が反映されているのだろう。彼らは今回の作品で、今の音楽業界の現状に一石を投じることができるか? モチベーションの高さ、デビューから20数年が経ち、誰もが認めるスーパーバンドになった現在も、常に向上心を持ち続ける。その真摯なスタンスこそが、いまのミスチルのパワーなのだと思う。

(文/森朋之,写真/石渡憲一)

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