バラエティ番組での“ぶっちゃけキャラ”でブレイクし、今やテレビ番組だけでなく、グラビアや写真集などでマルチな活躍をしている元フィギュアスケート選手でタレントの浅田舞。先日、実妹の浅田真央選手の現役続行表明を受け、都内で行なわれたイベントに出演すると報道陣が殺到。“ぶっちゃけ発言”を期待した報道陣から真央関連の質問が集中し、会見はすぐに打ち切られた。今後も真央選手とともにますます注目されそうだが、なぜ彼女がこれほどまでタレントとしてのポジションを確立できたのか？ 改めてその要因を探ってみた。

偉大な妹を持つ姉の葛藤する姿に視聴者も共感

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  浅田舞

　浅田舞が認知される要因としてもっとも大きいのは、日本国民の“娘”ともいうべきスーパースター浅田真央選手の、たったひとりの“姉”であるということは紛れもない事実。そしてその“あけっぴろげ”な性格が、さらに彼女の人気を高めた。実際、舞はバラエティ番組に出演した際に、「20歳の頃、家出して金髪にしていた」「毎晩クラブに行って踊っていた」などと語り、荒れた生活をしていたことを明かした。そして、ときには「お姉ちゃんも頑張らなきゃ」という周囲の言葉に「傷ついた」こと、妹とも「めちゃくちゃ仲が悪かった」等々、自身のプライベートや真央との確執、嫉妬、劣等感さえも素直に打ち明けた。その“偉大な妹”を持った姉の葛藤に、共感や同情する視聴者もいただろう。

　さらには、母親を亡くした後、「自分は真央の“母代わりの存在”でなければならない」と自覚したことや、これまで見せてこなかった恋愛面に関しても語り出した。そうした舞の“ぶっちゃけ”ぶりは、多くの視聴者の心を動かし、好感を得ているようだ。舞の発言を通じて真央の素顔を覗くこともできるし、彼女のように様々な葛藤とくぐり抜けてきた姉がいるなら、きっと真央も大丈夫だろうという、国民の期待さえも叶えているように思う。

　そもそも舞自身、浅田選手の“お姉ちゃん”であるほか、以前から指摘されているように相当の“美人”であり、ポジション的なものはある程度確立されていた。しかも舞は、写真集や各誌グラビアで、その抜群のプロポーションをも披露。その結果、“浅田真央の姉で、いろいろ面白いことを話す”という安定した評価に加え、男性ファンからの熱い支持を受けることにも成功したのである。

同様に芸能界に進出した浅田舞と安藤美姫の明暗

　浅田舞と同じような“フィギュア界から芸能界に転身”組に、安藤美姫がいる。“真央登場以前”の彼女も、国民の期待を背負う重要な存在だったが、ロシア人男性コーチとの公私共々の恋愛関係を公言するようになってからは、“清廉潔白”なイメージの真央選手に対して、ある意味“アンチ＝ライバル”的な存在になってしまった感がある。そしてそれは、引退後の安藤にも“微妙なポジション”として作用しているようだ。バラエティ番組に出演しても、相変わらず“私的には〜”のような“自分目線”での、“独りよがりっぽい”“鼻につく”発言が目立つとして、ネットなどでバッシングの対象にもなった。フィギュア選手としてトップを張っていくためには、そうした自己主張の強さも必要だったのだろう。だが、同じように“ぶっちゃけキャラ”である浅田舞が、自分のある意味“恥部”をさらし、身を削りながら芸能界でポジションを確立していったのとは対照的に、妊娠・出産や新たな恋人をインスタグラムなどで“ぶっちゃけている”姿は、どうも世間からの好感は得られないようだ。

　そして今、浅田真央選手が現役続行を宣言したということは、少なくとも次の『冬季五輪 平昌大会』までは、選手に対する識者のコメントなり評価の需要も高まるだろう。かつてのライバルだった安藤美姫や、フィギュア界の大先輩である伊藤みどり、日本女子フィギュア界唯一の五輪金メダリストの荒川静香などへの出演要請も増えるだろう。しかし、姉妹だからこそ知りえる秘話、その恵まれたルックスとプロポーションのビジュアル面、自身で確立した“ぶっちゃけトーク”、加えてスケートの体験と専門知識を持つとなれば、最もマスコミが求めるのは浅田舞だろう。

　前述のイベントでは、真央選手への質問が集中したことでピリピリとした現場の雰囲気を察した舞は、妹とのエピソードを元に商品PRに繋げ、報道陣の質問を上手く切り返し、どんな状況でも対処できるということを証明してみせた。今後も、“真央のお姉ちゃん”という冠に甘んじることなく、自分のキャラ性を模索・確立していく浅田舞の活躍に注目したい。

（文：五目舎）