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華原朋美、16年半ぶりに小室哲哉とタッグ!赤裸々な心境を告白

 「I’m proud」や「I BELIEVE」など、数々の大ヒット作を生み出した小室哲哉×華原朋美のタッグが、16年半ぶりに復活した。小室サウンド直球のドラマチックで起伏のあるメロディに、華原作詞の歌詞をのせた「はじまりのうたが聴こえる」はこの2人でなければ作り出せなかった唯一無二の楽曲。だが、“リアル”を追求した作詞作業では着地点の見えない葛藤や迷走もあったとのこと。それを乗り越えて“今”の自分をさらけ出した華原の歌声には心を震わす確かな感動がある。

“華原朋美”にしてくれた小室さんのおかげ「成長させてもらった」

――新曲「はじまりのうたが聴こえる」は16年半ぶりの小室哲哉さんとのタッグ。制作はどのように進めていったんですか?
華原 これまでも、私から曲についてあれこれ言ったことはなかったので、まかせたほうがいいのかなと思いつつ、「こんな感じの曲がいい」っていうリクエストはしました。でも、小室さんのなかではたぶん、どんな曲調にするのか出来上がっていたんじゃないかな。口に出して言わなくてもわかる部分は大きいし、細かく打ち合わせをする曲作りをしなくてもいいんだなっていうのは曲をいただいたときにすごく感じました。ただ、そこに歌詞を書いていく作業は大変で……。

――書けなかった?
華原 最終的にどこに着地するか自分でもわからなかったんです。テーマとして、“こういうことがあったらいいな”とか“こうなりたい”とか、漠然とした風船のような願望や想像ではなく、自分にあったことをリアルに書くということを最初から決めていて。そのために過去のことをひとつずつノートに書いていったんですが、これがキツかった。実は私、精神的に一番苦しかった時期にも、自分の想いを書き出していくという作業をしたことがあるんですよ。

――書くと楽になるっていいますよね。
華原 そのときも少し楽になりました、でも、今回の作詞でまた“こういうことがあった”とか“こんなことを言われた”とか同じようなことを書いていたら、だんだん具合が悪くなってしまって(苦笑)。途中で“死んでしまいたい”とかすさまじいワードも出てきて、これは苦しみもがいて終わる曲になってしまうのかなって。私がカバーさせていただいた曲に中森明菜さんの「難破船」があるんですが、この曲も最後まで悲しみにくれる歌詞じゃないですか。今回の曲もそんな感じになるのかなって思いながら書いていたんですが、書いていくうちにだんだんと気持ちが変化していって。

――どんな風に?
華原 過去に辛いことがあったからこそ、私は今こういう言葉を書けているし、こうして話すこともできる。それはたぶん“華原朋美”にしてくれた小室さんのおかげなんだなって。もちろん痛みや苦しみが消えてしまったわけではないし、忘れちゃいけないこともあるけれど、最後には感謝というところに辿り着けたんです。ただ、<くじけそうな時も 負けないよ>という歌詞は負けがちな人が言う言葉だったりもするので、そこにはたぶん願望も入っている(笑)。そんな感情も含めて、成長させてもらったのかなと思っています。

私の声はいつだって不安定、今はキーが高ければいいという時代でもない

――書いて吐き出すうちに、いろんな感情が浄化されていったのかもしれないですね。
華原 そのとおりで、書いてるときは憎しみや苦しみの感情しか出てこなかったり、逆に自分を良い人間に見せたくて優しい言葉だけを連ねてしまったりして、何を書いていいのかわからなくなってしまったんですね。でも、そうやってウミガメが卵を生むように、ひと文字ひと文字書いていく作業をすることで、だんだんと素直になっていって。何年も暗闇の中でもがき続けた痛みや苦しみを、小室さんが作曲してくれたこの曲だからこそ書かなくてはいけない。それが今の私のやるべきことだなと思って書き上げた結果、旅立ち、そして新たにはじまっていくという歌詞に着地できた。そこは自分でも嬉しかったです。

――「ウミガメが卵を生むように」って絶妙な例えですが、書き上げたことで小室さんへの感情も変化しました?
華原 以前、父から「憎しみの気持ちを持ち続けている人は幸せになれない」って言われてハッとしたことがあって。傷ついた経験や気持ちを消すことはできないけど、それだけで人生を終らせるのはとても惨めでたまらないなと思ったんですね。その想いを歌詞として伝えられたこともよかったし、小室さんもそれを見て「いいんじゃない」って笑顔でいってくださったみたいなので、たぶんもう大丈夫なんじゃないかなと。

――聞いている側としてはいろいろ感慨深いです……。
華原 もう16年以上前の話ですから。その年月の中で私ひとりが過去を風化できない日々を送ってしまったけれど、女性って辿り着いてしまうと急に平気になってしまったりするじゃないですか。

――実際、この曲の華原さんの歌声は生き生きしています。2012年の復帰の際も、以前より艶やまろやかさの増した歌声に驚きましたけど、今作も持ち味であるハイトーンに厚みやパワーがプラスされて。しっかり芯が通った気がしました。
華原 たぶん、小室さんはそれを一生懸命、描こうとしてくれたんじゃないかな。私の声はいつだって不安定だし、今はキーが高ければいいという時代でもない。例えばEXILEさんの優しさに包まれるような耳心地のよい歌声とか、ボーカリストのレベルは昔より何倍も上がっていて、でも、私にはその要素が足りないので、その代わりに強さや厚みが出るようなキーを小室さんが探してくれたのかなと思います。そういう意味では“蘇りの術”じゃないけど、すごいなって。

――華原さんの歌声を知り尽くした小室さんだから、できることですよね。
華原 最初に小室さんが作ってくれた音源は、90年代のglobeさんやTRFさんの曲を彷彿とさせる、シンセサイザーの音が多く入った曲になっていて。小室さんっぽくてすごく興奮したんですが、そこに武部さんがまろやかさをプラスして、今の形に仕上げてくれたんです。だから、これはいろんな人の愛が詰まって完成した曲。そう考えると感動しますね。

まだまだもがいているっていうのが本当の私

――16年半の間、小室さんとの再タッグは考えていました?
華原 自分が成長する過程の中で、小室さんの曲を二度と歌いたくないと思ったり、逆に小室さんの曲じゃなきゃイヤだと思った時期もあって、それぞれの年代ごとに気持ちの推移はありました。そういう混沌の時代を経て、やっと、“今だ”と思ったのが、このタイミングで。そういう意味では本当に「はじまりのうたが聴こえる」は今じゃないとできなかった作品です。

――曲が完成したことで、気持ち的にはすでに次の段階へと進んでいますよね。
華原 たぶん、私も小室さんも、おたがいの中で起こったいろんな出来事自体は今はもうどうでもいいんですよ。それよりもアーティストと作曲者という関係の中での真実というか、あるがままの“リアル”を直球で伝えていく。そこを描けるのは小室さんしかいないし、私が詞を書くことでさらにそれが強まった気がしていて。だから今は、これまでの2人の事情を知っているファンの方や先の見えない状況にいる方たちと、この曲を通していい意味で共感しあって前を向いていきたい。その想いは先日、NHKホールでこの曲を初めて歌ったときにも確信しました。

――歌うことで、より曲のビジョンが見えたと。
華原 そう。実は実際にこの曲を人前で歌うまでは、自分がどんな気持ちになるのか想像がつかなかったんです。でも歌い終わったら自然と笑顔になって、これは前を向ける曲なんだなって初めて実感できたんです。だから、これから始まるデビュー20周年ツアーも楽しみです。ファンの方とこの曲を一緒に歌うなかで、曲も自分自身もさらに成長していくと思うので。

――今の華原さんからは強さや逞しさをすごく感じます。その原動力は何ですか?
華原 強くないですよ。ただ、ギリギリのところで生きているだけ。『PON!』(日本テレビ系)のレギュラーやツアーが決まって、「いい風が吹いてるね」「何の不自由もないね」って、いろんなことを言ってもらえますが、今も家に帰ってから“今日の歌はダメだった”ってひどく落ち込むこともあるし、すべてがよくなっているわけじゃない。まだまだもがいているっていうのが本当の私です。

――そのもがきながら上がろうとしている姿に、見ている側は強さや共感を感じるんだと思いますよ。
華原 今まで「強くなったね」「前を向いてるね」と言われたことがなかったので、そういう風に感じてもらえたら嬉しいし、私自身、強くなりたくてがんばっているつもりです。そのために過去には戻れないけど、自分なりの時間を取り戻したいと思っていて。今はその作業を楽しんでやっている最中です。

(文:若松正子/撮り下ろし写真:西田周平)

「はじまりのうたが聴こえる」ミュージックビデオ

華原朋美のトーク&ライブ生番組を放送!

シングル「はじまりのうたが聴こえる」の発売を記念し、オリコン芸能ニュースで華原朋美が出演するトーク&ライブ番組をUstream、GYAO!、ニコニコ生放送、YouTube Liveの4メディアで同時生放送!17日午後8時から放送される『とりま華原さんに聞いてみないとね♪』では、番組中に視聴者から寄せられた質問に華原が回答するほか、ライブパフォーマンスも生配信!

『とりま華原さんに聞いてみないとね♪』
※5月17日(日)午後8時〜より視聴可能
視聴ページ リンク先(外部サイト)
華原朋美 オフィシャルサイト(外部サイト)

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