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ドラマ主題歌の価値が低下? ヒット曲が生まれない要因とは

 4月期のテレビドラマも出揃い、様々な場所で視聴率の高低についての分析がなされているが、ドラマにまつわる要素でもうひとつ注目したいのが主題歌だ。CDがメガヒットを記録した90年代、そのヒット曲の多くはドラマから発信されたものだった。ところが、今やドラマを通して生まれるヒット曲は数少ないのが現状だ。

ドラマ主題歌の価値が低下? ヒット曲が生まれない要因とは

  • 大ヒットドラマ『やまとなでしこ』(フジテレビ系)主題歌のMISIA「Everything」

    大ヒットドラマ『やまとなでしこ』(フジテレビ系)主題歌のMISIA「Everything」

 「君がいるだけで」「SAY YES」「Tomorrow never knows」「ラブ・ストーリーは突然に」「LOVE LOVE LOVE」「CAN YOU CELEBRATE?」「TRUE LOVE」……いずれも90年代に200万枚を超えるヒットを記録した名曲たち。そして、これらの作品に共通するのが“連続ドラマのテーマ曲”だったという事実だ。当時のテレビを知る人の多くはこれらの曲のメロディとともに、曲が流れていたドラマの映像(あるいはタイトルバック)までもが頭に浮かんでくるのではないだろうか。それほどまでに、90年代のミュージックシーンとテレビドラマは切っても切り離せない関係にあったと言える。

 さらに、2000年以降もセールス規模こそ小さくなったものの、記憶に残るドラマ主題歌ヒットは生まれ続けた。200万枚を超えたSMAPの「世界に一つだけの花」を筆頭に、MISIAの「Everything」や修二と彰の「青春アミーゴ」なども100万枚を突破。コブクロの「蕾」はレコード大賞に輝き、嵐の「Love so sweet」は確実に彼らのステージを一段上に押し上げた。柴咲コウの「かたちあるもの」やレミオロメンの「粉雪」は聴く者の涙を絞り出し、GReeeeNの「キセキ」は彼らの代表作となった。

 ところが2010年以降となると、そうした“ドラマからのヒット”は一気に影を潜める。いきものがかりの「ありがとう」や、薫と友樹、たまにムック。の「マル・マル・モリ・モリ!」といった例はあるものの、相対的に絶対数は少なく、ドラマからヒット曲が生まれなくなっているのは明らか。マーケット規模の縮小や視聴者のテレビ離れ、あるいは90年代のような“翌日に学校や職場で話題になる”ドラマが少ない(もしくは他のジャンルが盛り上がっている)といった状況もあるのかもしれない。

作品内容と楽曲がリンクしてこそ活きるドラマ主題歌

 次に、曲とドラマの内容が密接にリンクしていないというケースもあるだろう。前日の「ラブ・ストーリーは突然に」の制作過程については、『東京ラブストーリー』(フジテレビ系)の制作サイドから“ダメ出し”があったという。それもトップアーティストの小田和正に対してだ。「SAY YES」では、逆に曲の内容に合わせて『101回目のプロポーズ』(フジテレビ系)の結末が書き換えられたとも聞く。それだけ、ドラマと曲が一体になっていたというわけだ。『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)や『東京タワー〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(フジテレビ系)の世界観が歌詞の中に映し出されていたからこそ「かたちあるもの」や「蕾」は感動を呼び、その感動がドラマへとフィードバックした。タイアップではなく、曲もまた、ドラマになくてはならない重要なポジションを確立していたのである。それはアニメでも同じだ。アニメ『進撃の巨人』(MBS、TOKYO MXほか)のテーマ曲でLinked Horizonが、『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たした。昨年末には、『妖怪ウォッチ』(テレビ東京)から生まれた「ゲラゲラポーのうた」も「ようかい体操第一」も作品の世界が歌に生きていて、歌が作品を盛り上げたからこそ、曲も含めて社会現象になった。近年は、ドラマよりアニメのテーマからヒットが生まれることが多いように感じる。

 つまり、音楽がドラマの世界観に寄り添い、ドラマがストーリーの一要素として音楽を強く求める時、ドラマからのヒット曲(それがインストであれ)が生まれる土壌は残されている。Bank Bandをはじめ多くのアーティストにカバーされたことで再び注目され、今やカラオケでもロングヒットとなっている中島みゆきの「糸」は、98年のドラマ『聖者の行進』(TBS系)の主題歌でもあった。ドラマを通して音楽が人の心を震わせた結果、スタンダードナンバーが生まれた代表的な例と言っていいだろう。

(文:田井裕規)

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