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向井理インタビュー『キレイゴトじゃない人間の感情がおもしろい』
おもしろかったけど…痛々しさも感じた
向井別の作品の共演者の方やスタッフから、意外だけど合っているとよく言われました。評判がすごく良かったです。
――映画公開から半年。今あらためて振り返って映画のおもしろさ、進というキャラクターについて思うことはありますか？
向井自分と似ている部分も幾つかあるので愛着がありますね。そして（片桐）はいりさん演じるより子も、はいりさんとイメージが重なる部分もあるので、そのふたりの掛け合いはおもしろいと思います。
――その『小野寺の弟・小野寺の姉』ですが、最初に観たときはどういう感想を持ちましたか？
向井とてもおもしろかったんですが、痛々しさも感じたんですよね。姉ちゃんが幸せにならないと自分は……と言いながらも、実は幸せになることを面倒くさがっているところもあるのかもしれなくて。姉ちゃんを理解しているからこそ、ただ優しいだけじゃない生々しい優しさ、人間のいやな部分も含めた優しさも描かれているし。キレイゴトじゃない人間の感情が出ていておもしろいんです。
――また、進を演じる上で、もっとも気をつけたことはなんですか？
向井監督が僕をあて書きしてくれたと聞いていたので、あまり自分と同じとか違うとかは深く考えなかったんです。どこにでもいるようなちょっと奥手な青年。姉がいないときでも、どこかに姉がちらついているような人。飛び抜けて変なわけじゃないけれど、ちょっと変わっている。それをメガネや寝ぐせの髪とかでうまく表現しながら、ごく自然体でやっていましたね。
生々しい打算も入っているようなやさしさ
向井“姉ちゃんが幸せにならないと”と思っているけど、ただ単純に自分が面倒くさかっただけかもしれないなとか。ただ優しいだけじゃなくて、生々しい、自分の打算も入ってしまっているようなやさしさがあって……結局ふたりとも、不器用ですよね。
――その向井さんが思う、理想のパートナーとは？
向井不器用な人ってつまり、空回りしているっていうことでもあると思うんです。でも、努力しているから不器用だということだと思います。努力している姿はステキだと思いますし、不器用だからといって恋愛対象外になるわけではないですから。僕は、ありのままがステキだったらいいと思いますね。それに、より子もそうだけど、容姿について悩んだことない人はいないんじゃないかな。逆に相手側の見る人が、もう少し深くみてあげればいいんじゃないかなとも思いますけどね。
――さて、今作でも俳優としての向井さんの新たな一面がのぞけたと思いますが、日々の中で成長を実感する瞬間はありますか？
向井（成長を自分では答えられませんが）昔はよくオーディションに落ちて、「この業界に必要とされていないなら、飲食店の仕事に戻ろうかな」と思ったこともありますが、今から約5年前、西田（征史）監督が脚本と演出をした『ママさんバレーでつかまえて』で片桐さんや西田監督と出会い、そこからいろいろつながっています。西田監督と僕にとってこの映画はゴールではなく、次へ進むための通過点でもあって。お互いに成長した姿を作品で表現しつつも、あくまで次へのステップとしてひとつの作品を成立させて、それが終われば別の現場に行って成果を出す。とくに今回の場合は西田監督をはじめ、プロデューサーやカメラマンも昔の僕を知っている。そこで成長していないと思われたら、俳優として二度と声をかけてもらえなくなる。二度、三度の再会は気が抜けないんですよ。
――最後になりますが、改めてDVDで観る人へのメッセージをお願いします！
向井一度では分からない細かいこだわりがたくさん詰まっています。気になった所はぜひ巻戻しを。そして結末を分かったうえで観るのもおもしろいです。
（文：鴇田 崇）
DVD情報
ブルーレイ＆DVD発売中
ブルーレイ特別版 ￥6,264（税込）
ブルーレイ通常盤 ￥5,076（税込）
DVD特別版 ￥5,184（税込）
DVD通常盤 ￥4,104（税込）
発売・販売元：ポニーキャニオン
（C）2014『小野寺の弟・小野寺の姉』製作委員会
ストーリー：
早くに両親を亡くし、2人で暮らしている33歳の弟・小野寺進と40歳の姉・より子。穏やかで和やかな日々を過ごしていた。そんな小野寺家にある日、1通の誤配達の郵便が届く。その手紙をきっかけに進とより子、それぞれの恋と人生が動き始める……。
監督：西田征史
出演者：向井理 片桐はいり 山本美月
