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新垣結衣インタビュー『うらやましかった15歳の無邪気さ 制服はもう無理かな(笑)』

最新主演映画『くちびるに歌を』で女優・新垣結衣が演じたのは、長崎県・五島列島にある中学校の臨時音楽教師・柏木ユリ。天才的なピアニストであったにも関わらず、過去のトラウマが原因で感情を押し殺す、無表情の主人公だ。“ガッキースマイル”を封印し、初めての教師役、ピアノにも初挑戦した本作への思いを聞いた。

甘えちゃってすみませんでした!

――本作の柏木ユリを、どのような人物として捉えましたか?
新垣 撮影に入る前に三木(孝浩)監督から、柏木についてや、この映画をどういう作品にしたいかということをお手紙でいただきました。そこには、柏木が血の通った人間であることをちゃんと見せたいと書かれていて。つまり(冒頭の)中学校に赴任したばかりのころ、生徒たちにきつい言葉をぶつけたり、冷たい態度を取ったりするんですけど、それが柏木の本質というわけではない。音楽に対する情熱が人一倍あるがゆえに、あることがきっかけで抱え込んでしまった感情、諦めにも似た冷たさみたいなものを大事にしたいと考えました。

――初タッグとなった三木監督とは、撮影現場でどのようなやりとりを?
新垣 情熱と冷たさ、裏腹なことを表現しなくてはいけなかったのですが、例えば「文句ある?」という台詞を、言葉の通りに憎たらしく言うこともできるけど、そうは言いたくなくて。その微妙なところを探っていくと、すごく平淡になってしまうので、現場で三木監督にチューニングというか、いい具合を一緒に探していただきました。職員室に合唱部の女子3人が来て話をするシーンで、初めて柏木がピアニストっぽいことを言うんですけど、音楽に対する情熱があるからこそ、思わず強く言ってしまう。そういうバランスは三木監督に取っていただき、私はわりと自由にやらせていただきました。お話が進むにつれて、柏木もどんどん変化していくので、どのタイミングでどれくらい変わっていくか? という細かい調整についても、意見交換をしながら作っていきました。でも三木さんは優しいから、ほとんど受け入れてくださるので「甘えちゃってすみませんでした!」と今は思っています(苦笑)。

――三木監督の演出で、とくに印象に残っていることはありますか?
新垣 間を大事にする方なのかなと思いました。テンポ良く、とかではなく、じっくりやってほしいという感じを受けました。「間を持って」とたくさん言われた気がします。ちゃんと台詞のある、生徒とのかけ合いのシーンではとくに、間のご指導をいただきました。たぶんいろいろな意味を含ませたかったんだろうなと思います。説明台詞が多いわけでもなかったので、台本を読んでいて“なんでこんなことを言うんだろう?”というところも実はあって。そういうときは三木監督に、どういう気持ちでこの台詞を言うのか、この後、何が続くんですか? と確認したりしました。そういう、いろいろなことを想像してもらうための間だったのかなと今は思います。

気持ちを最大に汲み取ってくれていた

――柏木が再生の一歩を踏み出す音楽室でのシーンは、まさに究極の間で生み出された名場面でしたね。
新垣 音楽室で柏木がピアノに触れるところは、自分の好きな間、いちばん高まる間で自分なりに演じさせていただいたんです。出来上がった映像を観たときに、そのシーンの間が、私が感じていたものと全く一緒で“あぁ三木監督、ありがとう!”と感激しました。編集でいくらでもなんとでもなるものを、いちばん(感情が)ワーッと高まったときに、ポーンと(ピアノの)音が鳴るまでの、緊張した感じとそれがほどける感じ。こちらの気持ちを最大に汲み取っていただいていたんだなと、あのシーンで感じられました。本当に感謝しています。

――柏木の再生に一役買うのは、ひたむきに合唱コンクールを目指す生徒たち。彼らの歌声は、いかがでしたか?
新垣 何回も聴いたんですけど、どんどん良くなっていくし、歌うことに全く抵抗がないというのか、あの無邪気さは見ていてうらやましくなりました(笑)。どこかに飛んでいってしまいそうなくらい気持ち良さそうに歌うから。その日の撮影が終わって「おつかれさまでした。バイバーイ」という挨拶にも、ハーモニーで返してくれるんですよ。誰かがオールアップしたり、バーベキュー大会のサプライズだったり、いつもプレゼントとして歌ってくれて。撮影前のまだ人前で歌うことに緊張していたころは“がんばれ!”と言いたくなる感じだったんですけど、誰かのために歌うことがどんどん当たり前になっていく姿は、見ていて“いいなぁ、朗らかだなぁ”と。“私も負けないように、ピアノをがんばろう!”と思わせてくれました。三木監督も「昨日までできなかったことが、今日突然できるようになったりして、びっくりするんだよなー」とおっしゃっていて。何でも吸収する年頃なんですよね。

――新垣さんから見ても、15歳は若かったですか?
新垣 若いです! 私も最近まで制服も着ていましたけど、本物の学生を見たらもう無理だなって思いました(笑)。

――誠実一筋の弁護士や、世間知らずのシングルマザーをはじめ幅広い役どころで、新垣さんが表現する、一生懸命にがんばるヒロインたちの姿は、見ていて大いに勇気づけられます。惹かれる女性像はありますか?
新垣 どの役もみんな好きにはなれますよ。ちょっと昔、ギャルを演じさせていただいたときも、パッと見クールな役だったけど、ちゃんとその役を好きになれていたと思います。本当の悪役をやったことがないので、誰でも好きになれるかはまだわからないですけど。

――ズバリ、悪女へのご興味は?
新垣 ……悪女になるまでに何かあったんだろうなとか、そういうのを探してしまうと思います。仲間由紀恵さんのドラマ『サキ』も、そうなった経緯がちゃんとあったじゃないですか。そういう意味合いをつけたものが、ドラマとなり、映画となり、ストーリーとして深みが出るわけだから。あぁ、不器用なんだね、とか。それが愛すべき面でもあったりするだろうし。たぶん何かしらのいいところは見つけられると思いますね。
文:石村加奈/撮り下ろし写真:逢坂 聡
ヘアメイク:野中真紀子様(eclat)/スタイリスト: 道券芳恵

くちびるに歌を

 長崎県の離島・中五島中学校へ音楽の臨時教員として東京から柏木ユリ(新垣結衣)が赴任してきた。生徒たちの間では、美人でピアニストとして活躍していた柏木の話題でもちきりになるが、柏木は冷たい態度で生徒たちに接する。そして、嫌々、合唱部の顧問を引き受け、もともと女子だけのところに男子を入部させ、混声での全国コンクール出場を決め、合唱部の部員たちは混乱する。

監督:三木孝浩
出演:新垣結衣 木村文乃 桐谷健太 恒松祐里 下田翔大
2015年2月28日(土)全国公開
(C)2015「くちびるに歌を」製作委員会 (C)2011中田永一/小学館
【公式サイト】(外部サイト)

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