アーティスト戦略としては不利
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アニソンユニット・ClariSは、デビュー以来、タイアップと連動した人気イラストレーターらによるイメージイラストのみで登場。写真は4月15日に発売される初のベスト『ClariS 〜SINGLE BEST 1st〜』ジャケット写真
顔出しをしないことによるデメリットとしては、まず第一にテレビでの歌唱パフォーマンスができないなど、プロモーションの場が限られていることが挙げられる。また、普通のアーティストのように新譜を出した後、イベントやツアーで全国をまわる、という手法がとれないため、コアファンをどう定着させていくか? というのは常についてまわる課題だ。アーティストの戦略を立てる上で致命的とも思えるが、GReeeeNやClariSはこうしたデメリットを払拭し、固定ファンを獲得している。その理由はどこにあるのか。
顔が見えないことで思い描く“理想のアーティスト像”
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GReeeeNは昨年8月に発売された最新アルバム『今から親指が消える手品しまーす。』が最高2位を記録するなど、顔出ししなくとも安定した人気を獲得している
また、以前、GReeeeNの担当者に話を聞いたときに、とても印象的だったことがある。彼らが2012年、NHKホールで初のファン感謝祭『緑一色歌合戦』を実施したときのことだ。同イベントは初のリアルイベントとなったが、これまでのスタンスを貫き、メンバーがステージに上がることはなかった。しかし、生電話で肉声を聞かせたり、姿や動きを映像で細かに表現できるモーションキャプチャーで登場したりしたところ、感極まり涙するファンもいたという。そのポイントは“いかにファンのイメージを壊さずにリアルに近づけていくか”ということ。聴き手がそれぞれ“理想のアーティスト像”を思い描けたことが、熱狂的なファンを獲得した要因のひとつなのだ。
最近はネットでアーティストのパーソナルな部分を知ることができるようになり、これまで遠かったアーティストも身近な存在となった。しかし、これはある種“ファンタジー”な存在だったからこそ抱いていた憧れ、カリスマ性が薄れているということもである。その点、顔出ししないアーティストは、見せないからこそのカリスマ性を持っている。そのカリスマ性を保っていくためには、顔出ししないことによる“想像の余地”を残しておくことが重要なのではないだろうか。