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言葉の壁を越えシェネルの歌に共感する理由は
違和感のない日本語楽曲は、シェネルの“耳の良さ”に秘密が
日本で活躍する外国人歌手の多くは、たとえばクリス・ハートなど、日本在住で日本語もペラペラという場合が多い。しかしシェネルは、現在も米・ロスアンゼルス在住で、日本語も現在勉強中であるが決して堪能というわけではない。それでも彼女が歌う日本語楽曲は、発音が非常に滑らかでまったく違和感がなく、むしろ日本人以上に美しく響いて聴こえる。実際に、「日本語が喋れないけど、日本の歌の発音が凄く上手い」とTwitterでつぶやいているファンも少なくない。彼女のことをよく知らず、日本在住のハーフ歌手として認識している人も多いだろう。そこには、言葉の発音やイントネーションを音で捉えることができる、“耳の良さ”というものがある。彼女が初めて日本語曲を歌ったのは、久保田利伸の「Missing」だったそうだが、ロスアンゼルスのスタジオで日本人スタッフの立ち会いがなかったにも関わらず完璧に歌いこなし、それを聴いた日本人スタッフを驚かせたそうだ。
では、その耳の良さは、どのように培われたのか? シェネルは、マレーシア生まれのオーストラリア育ち。その後、ニューヨークを経由して、現在はロスアンゼルスに在住。彼女の話す英語には、その地域ごとに特有のアクセントがない。きっと、様々な地域に移り住み、異なる文化(言語)の経験を繰り返して来たことで耳が鍛えられ、新たな環境にも自然と順応する能力が備わったのだろう。英語の習得にはまずは耳からとよく聞くが、シェネルがJ-POPを歌うときにナチュラルな日本語で発音できるのは、そうした経歴もひとつにあるようだ。
歌詞の理解力や表現力の高さは、幼少期の体験やシェネルの人柄が影響
また、シェネルの人物像は、非常に愛に溢れた人柄として有名で、彼女の根底に流れる愛もまた、彼女の歌を支えるファクターのひとつになっている。彼女が歌う愛には、決して表面的ではない、内面からわき出ているものが感じられる。そして、彼女が周囲に向ける愛は、スタッフだけでなく、日本のファンに対しても同様で、本人の希望もあって握手会や撮影会を積極的に開催している。こうしたファンサービスを大々的に行っている海外アーティストは、他には類を見ない。こうして彼女の歌うラブソングは、多くの人々の心に届き、昨年は結婚式で最も人気のあるアーティストとして『ISUM ブライダルミュージックアワード2014』で表彰された。実際に彼女の歌声に、ときには涙を流し、ときには胸がいっぱいになったりと、心を動かされるリスナーは非常に多く、TwitterなどSNSに多くのコメントが寄せられている。そんな魔法のような歌だから、誰もがもっと聴きたいと思うのだろう。
2月11日には、ニューアルバム『シェネル・ワールド』が発売される。前作『アイシテル』から、ベストとカバーを挟み、約1年半ぶりのオリジナルアルバムとして、非常に期待がかかっている作品だ。「Happiness」をはじめ、愛を根底にした彼女の魔法の歌声がたっぷりと詰め込まれ、ファルセットやコーラスワークなど、より進化した歌のテクニックも存分に聴くことができる。さらに世界基準のダンスナンバーも多数収録されており、洋楽とJ-POPの良いところ取りのアルバムとして、両者のファンをひとつにつないでくれることにも期待できそうだ。シェネルの“愛”は、今もなお大きく広がり進化し続けている。
(文:榑林史章)
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