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韓国映画特集『2014年後半を振り返る☆空前のヒット作が登場!K-POPスターが続々映画シーンに進出する背景』

恒例の韓国映画特集、2014年後半のシーンを振り返る。前半はセウォル号の沈没事件などの影響で、映画館への足が遠のいていた韓国。その後はどんなヒット作があり、そしてどんな動きがみられたのだろうか。さらに、小説で日韓の人々の悲喜こもごもを描く小説家・深沢潮さんにインタビュー! 韓国社会と今の若者の意識、韓国映画の現在についても聞いた。そして、女優、監督として映画界に携わるク・ヘソンが、内側から見た今の韓国映画界の現状を語ってくれた。

◆およそ3人に1人が観た空前のヒット作『鳴梁』

 観客動員数が1700万人を超え、今年最もヒットした映画といえば、チェ・ミンシク、リュ・スンリョンといったベテラン俳優から、ノ・ミヌといったフレッシュなスターまでが出演した『鳴梁(ミョンリャン)−渦巻く海』だろう。一部では、抗日映画であるからヒットしたという声もあるが、改めて描かれる国民的英雄・李舜臣のリーダーシップをことさらに強調した物語に人気の秘訣があるとも言われている。

 これは、以前イ・ビョンホンが光海君を演じた『王になった男』などにもつながる、歴史上の人物を現代の世相やリーダー論とリンクさせたことでヒットする法則とも近いだろう。しかし、『鳴梁』では劇中に登場するペ・ソル将軍の子孫が歴史歪曲があるとして、映画を刑事告訴したという出来事もあり、様々な意味で話題を呼んだ。

 このほか、今年のヒットは時代劇が多い。キム・ナムギルがコミカルな演技を見せた『海賊−海に行った山賊』は観客動員800万人、ハ・ジョンウが坊主になり、カン・ドンウォンが4年ぶりにスクリーンにカムバックした『群盗−民乱の時代』は400万人で、いずれも時代劇だ。

 また、健闘したのはBIGBANGのT.O.P主演で、『サニー 永遠の仲間たち』のカン・ヒョンチョルが監督した『タチャ-神の手-』が400万人。『タチャ』と同じくR指定ながらも350万人を超えたのはチョン・ウソン主演の『神の一手』だった。

◆K-POPスター所属事務所が積極的に映画進出

 今年後半の特徴的な出来事といえば、BIGBANGの所属するYGエンターテインメントや、東方神起やSUPER JUNIOR、EXOなどが所属するSMエンターテインメント、そしてJYJの所属するC-JeSエンターテインメント、2PMやmiss AのJYPエンターテインメントなど、多くのK-POPスターを抱える事務所が映画に意欲をみせ、歌手だけでなく俳優のマネジメントにも力を入れているところだろう。

 C-JeSには、JYJのほかにチェ・ミンシク、ソル・ギョング、イ・ジョンジェ、イ・ボムス、パク・ソンウンなど、今の韓国映画界を支える俳優たちが所属しているし、最近ではキム・ガンウなども移籍してきた。また、ユチョンが『海にかかる霧』で、ポン・ジュノのプロデュース、『追憶の殺人』のシム・ソンボ監督のもと、最高の形でスクリーンデビューしたのも、C-JeSが映画界に強い事務所であるからということは大きい。

 YGは、T.O.P主演の『タチャ-神の手-』がヒットしたが、これまでにも『同窓生』(2013年)『戦火の中へ』(2010年)への出演など、T.O.Pは歌手活動と並行して俳優としての地位を確立している。YGにはこのほか、『ハイヒールの男』のチャ・スンウォンや、自らも監督として『Daughter』『妖術』『桃の木』などの映画を手がけてきたク・ヘソンなどが所属している。

 SMも、今年はf(x)のソルリが『海賊−海に行った山賊』や『ファンション王』に出演。EXOのD.O.(ディオ)は『カート』で主人公の息子役として映画デビューした。また、SUPER JUNIORのドンヘは『レディアクション青春』というオムニバス作品に出演。日本でも長らく活躍してきたBoAも『ビッグマッチ』でヒロインを演じ、C-JeS所属のイ・ジョンジェと共演した。このほか、SMには『泣く男』のチャン・ドンゴンが所属することになり、映画のVIP試写会には、SMに所属する人気歌手が顔をそろえて話題になった。

 また、JYPは、2PMのチャンソンが『トクス里の5兄弟』に出演。2012年の『建築学概論』で高く評価されたmiss Aのスジは今年、『桃李花歌』の撮影に参加している。

◆アジアへ進出!中国との合作にも意欲的

 今年の特徴としては、中国との合作企画の多さである。例えば、大ヒット作のパート2である『猟奇的な彼女2』は、中国と韓国の合作でチャ・テヒョンとf(x)のビクトリアが共演。ルハン(EXO)は『怪しい彼女』の中国版である『重返20歳』に、少女時代のユナも、中国と韓国の合作映画『再見、阿尼(さよなら、アニー)』に出演し台湾のエディ・ポンと共演する。

 SUPER JUNIORのシウォンもジャッキー・チェンの『DRAGON BLADE』に出演。こうしたSMの中国進出には、香港を拠点に映画やドラマ、音楽を制作し、多くのタレントが所属しているメディアアジアグループと提携を結んだという背景があり、これからますます中国語圏でのSM所属タレントの活躍が増えそうだ。

 また、RAIN(ピ)は中国映画『露水紅顔』に主演、ソン・スンホンは『私の頭の中の消しゴム』のイ・ジェハン監督が中国でメガホンをとる『第3の愛』に主演、キム・ボムは『重生恋人』で台湾のジョセフ・チェンと共演。ソン・ヘギョはジョン・ウーが監督し、長澤まさみも出演する『太平論』に出演。計画中のものもあわせると、数えきれないほどの中韓プロジェクトが進んでいるようだ。

◆日本でも続々と韓国映画が公開

 これから日本で公開される韓国映画で、注目のものをピックアップしたい。公開中の『メビウス』と『自由が丘で』は、韓国でもっとも作家性のあるキム・ギドク監督とホン・サンス監督による作品。ヒューマントラストシネマとシネ・リーブル梅田で開催される映画イベント『未体験ゾーンの映画たち2015』で上映される『ハイヒールの男』は、チャ・スンウォンが“女になりたい欲望を隠した刑事”を演じる。

 『愛のタリオ』は、『監視者たち』や『神の一手』とは異なり、チョン・ウソンが愛欲渦巻く教師を演じ、親友のイ・ジョンジェから「僕の知らなかった一面があった」と言わしめた一作。また、『君に泳げ!』は、人気俳優のイ・ジョンソクとソ・イングクが対照的な水泳選手を演じる青春ラブストーリーだ。来年は、JYJのユチョンの『海にかかる霧』や、BIGBANGのT.O.P主演の『タチャ-神の手-』も公開と、話題作が目白押しである。
(文:西森路代)
>>次のページへ【深沢潮さんインタビュー:自意識が強く描かれるものを好む傾向】

<<主な2014年12月末から2015年公開の韓国映画>>
メビウス(外部サイト)(公開中)
自由が丘で(外部サイト)(公開中)
王の涙‐イ・サンの決断‐(外部サイト)(2014年12月26日公開)
GROW:INFINITEリアル青春ライフ(外部サイト)(2015年1月17日公開)
タチャ-神の手-(外部サイト)(2015年1月23日公開)
愛のタリオ(外部サイト)(2015年2月7日公開)
君に泳げ!(外部サイト)(2015年2月28日公開)
海にかかる霧(外部サイト)(2015年4月公開)

<<未体験ゾーンの映画たち2015(外部サイト)>>
ハン・ゴンジュ 17歳の涙
ハイヒールの男
その怪物
THE PRINCE(原題)
(2015年1月3日から順次公開)

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