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たかみなは、なぜAKB48を横山由依に託したのか?

 AKB48の高橋みなみが、8日に東京・秋葉原のAKB48劇場で行われた『劇場9周年特別公演』で、来年12月8日の10周年をめどに同グループから卒業することを発表した。それと同時に、AKB48グループの総監督を務める彼女の後継者に、横山由依を指名。総勢300人近い48グループの中からなぜ横山を総監督に抜擢したのか、アイドルライターの斉藤貴志氏が考察した。

“牽引型”から“気配り型”へのシフトチェンジ

 この1年ほど、AKB48グループの若手メンバーのインタビューで、横山由依の名前がよく出てきた。「初めて選抜に入れていただいたとき、歌番組の合間とかで、よく横山さんがお話をしてくださいました。この前も一緒にアサイーボウルを食べに行きました」(小嶋真子)、「チームKのレッスンに出られなくて『不安です』と相談すると、『時間があるから焦らなくて大丈夫』と言ってくれたり。いつも声を掛けてくれて、気遣い上手です」(兒玉遥)。

 ミュージカル『ウィズ〜オズの魔法使い〜』の主役にオーディションで選ばれた田野優花のドキュメントでも、彼女が将来について悩んでいたとき、「横山さんが『大丈夫?』と気づいてくれて、『田野ちゃんのままやればいい』と言ってくれて」と転機になったことを明かす。横山はチームKキャプテンという立場もありつつ、京都人らしい、きめ細かい心配りができる人なのだろう。

 高橋みなみは“グループを牽引する”という意味で、実にリーダーらしいリーダーだった。だが、他のアイドルグループのリーダーを取材すると、むしろ“メンバーの声を聞いてまとめる”というタイプが多い。もちろん、総勢300人近い48グループの総監督とせいぜい20数人のグループのリーダーでは役割が違う。だが、AKB48結成時からの1期メンバーの高橋だから“牽引型”で行けた部分もある。「後継を誰に託すか?」となったとき、自身と同じレベルの“引っ張る”タイプはいない。それならば、先輩も後輩も気配りで“まとめる”タイプの横山のほうがうまく行く……と考えたのではないだろうか。

 加えて、旧チームAのキャプテンの後任に彼女を指名した篠田麻里子も「尊敬する」と認めていた通り、横山は“努力家エピソード”に事欠かない。背中を見せるだけで後輩にはお手本となり、アドバイスにも説得力がある。先輩たちもその頑張りを見て自然にサポートする(横山自身は「先輩たちは、私がキャプテンとして見落としがちだったことを教えてくれた」と話す)。そして、チームAからチームKとキャプテンの責務を十分まっとうしてきた。

総監督が“エース”を兼ねるのは不可能

 一方、横山由依が次期総監督に指名されたもうひとつの理由だと思うのは、彼女に対して少しネガティブな言い方になるが、総監督は“エース”を兼ねられない重労働だから。高橋みなみが卒業宣言のなかで、「正直、総監督はしんどいです。きついです」と語っていた通り。

 2年前の『選抜総選挙』で指原莉乃が1位になった際、「私は次世代には入らないので」とコメントしていた。横山も彼女と同い年。9期生ではいち早く正規メンバーに昇格したが、前田敦子の卒業を見据えて“次世代エース”が話題になった頃、すでに20歳目前。渡辺麻友や松井珠理奈らと比べ微妙な年齢差から、エース候補として名前が挙がることはなかった(指原はある種ジョーカー的な立ち位置から1位になったが)。これからも選抜メンバーの常連ではあっても、世代交代に逆行してセンターに就くことは非常に稀なこと。

 だがそれは、300人を束ねる立場には都合がいい。高橋みなみが結果的にそうであったように。ある程度の知名度はあって“グループ代表”として機能しつつ、エースとして別の重責まで背負い込む状況にはない。前田敦子や大島優子でも、もし高橋が担っていた女子集団のまとめ役まで同時にこなしていたら、さすがに潰れてしまった気がする。エースにはエースのまた違う責任があり、ある意味、グループ全体より自分自身を大切にしないといけない。

中間世代の横山だからこそ、次世代へと導いていける

 一部で次期総監督の対抗馬に挙がっていたNMB48チームNの山本彩(AKB48チームK兼任)は、この点でなかなか難しいものがあった。彼女はチームNのキャプテンとしては高橋みなみと牽引タイプだが、現在でもNMB48のエース。将来は、兼任しているAKB48のエース格になるかもしれない。20人足らずのチームのキャプテンを務めるのはともかく、300人の総監督まで担わせるのは酷なこと。すでにエースとして懸命に走り始めている渡辺麻友などでは、なおさらのこと。総監督とエースは分けるべきだ。

 逆に横山は、次世代でもなくベテランでもないことが総監督に適していた。総監督は短期間で替わるのはそぐわない。横山が実際に後継に就くのは1年後でも、順当ならすぐ卒業するわけではない。中間世代である彼女だからこそ、次世代、次々世代をじっくり導いていける。その点でも、横山由依ほどの適任者はいない。総勢300人近い48グループを導き、15周年、20周年、30周年と次世代へ継承していくグループにできるかは、二代目の横山由依にかかっている。

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