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(更新: ORICON NEWS

楽しみながら学ぶ 大学生のボランティア活動

近頃、PBL(課題解決型学習)を積極的に取り入れる大学が増えている。PBLとは学生自ら問題点を発見し、問題点の解決手段を考え、問題点を解決する学習です。目的としては自ら目標を定め、学び、判断できる社会性豊かな人材を育成するための教育なんです。イマドキの大学生はこれすらも青春を楽しむツールにしてしまうんだとか。学生生活を謳歌しながら、人間的にも成長できるというこのPBL。クラブ活動としても積極的にこのPBL的な活動を取り入れている摂南大学のふたつの事例を紹介します!

組織で働くノウハウを体に叩き込め!

「ボランティアスタッフズ」の(左から)瀬川慶子さん、畔柳風花さん、浅野英一先生、柳健志さん、榎並梨緒さん

「ボランティアスタッフズ」の(左から)瀬川慶子さん、畔柳風花さん、浅野英一先生、柳健志さん、榎並梨緒さん

 まずひとつ目に紹介するのは、外国語学部教授の浅野英一先生を中心とした「ボランティアスタッフズ」。最大の特長は、学生たちの役割分担がしっかりと組織化されていることだろう。プロジェクトごとに3年生が2人ずつ「司令塔」として配置され、自治体やNPO、地域との交渉を含む企画から運営まで、文字通りチームの中心となって4学年を動かす。4年生になれば後方に退き、見守り役へ。グループ内では“ほうれんそう”を徹底し、さながら会社組織のよう。社会に出れば必要なリーダー教育が、ここでは徹底的に叩き込まれる。
  • 浅野英一先生

    浅野英一先生

 もっとも試練となるのは、地元寝屋川市の桜小学校で毎夏行われる臨海学校での引率だ。3年生1人で小学生10人を担当し、1キロの遠泳をサポートする。「子どもの命を預かるわけですから、中途半端な気持ちではできません。これを乗り越えて皆、一気に成長しますね」と浅野先生。無事、泳ぎ切った子どもたちと学生たちが一緒に号泣する姿には、毎年思わずもらい泣きしてしまうそう。「ここで鍛えられた子は、すぐに就職が決まります。面接でのアピールは『私はこれがしたい』ではなく『私はこれができます』。彼らは私の誇りですよ」。

すさみ町でおじいちゃんおばあちゃんと友だちになる

 彼らが最も深い縁をつなぐのが和歌山県すさみ町。ここが活動全体の6割を占める本丸の舞台だ。高齢化が進む陸の孤島に学生たちが入り、独居老人の「見守り隊」や伝統行事の復興、大阪の子どもたちを連れ「忍者キャンプ」を開催するなど、年に6回は訪れて、過疎の町に元気な声を響かせる。閉鎖的な人間関係の中、家庭訪問を重ね、地道に信頼関係を築いてきた。今ではお年寄りたちも、彼らが来るのを心待ちにしているという。濃密に活動してきた4年生たちに話を聞いてみる。
柳健志さん「新入生歓迎キャンプで先輩たちの輝きを見て、即入部を決めました。1、2年のうちはただ楽しいだけでしたが、学年が上がるごとに意識が変わります。3年の司令塔でしごかれて、4年になれば後輩を見て、“先輩らもこんな歯がゆい思いをしていたのか”と…(笑)」

瀬川慶子さん「司令塔になると自分の指示でみんなが動くので、言葉の重みと責任感を強く感じました。ひたすら全員の食事を作る給食班の別名『おばちゃん』も経験しましたが、おかげで料理なんかしたことなかった私が、今では得意になったんですよ」
榎並梨緒さん「私は軽音楽担当で子どもたちのためのコンサート活動もしていました。先生にはよく怒られてくやしい思いをしましたが、言葉の裏に期待と激励が込められていたから、頑張れたのかも。とても感謝しています」

畔柳風花さん「すさみ町のおばあちゃんたちとは、もう下の名前で呼び合う関係(笑)。自分の成長が実感できるこんな経験、よそではできないんじゃないかな。去年は青年海外協力隊に参加しケニアに行きましたが、そこでの経験のおかげで辛いことも乗り越えられました」
 もともと浅野先生がこの活動を始めたのは、青年海外協力隊で活躍する人材を育てるためだった。「人・物・金」がなく、学生にとってジェネレーションギャップのあるすさみ町は、海外での状況と重なる部分も多い。厳しい条件を乗り越える力がつけば、どんな世界でも通用することだろう。

今年からは地道な活動が認められ、すさみ町議会からも予算がおりた。すさみ町と摂南大学の絆は、ますます深く強く結ばれている。

【check!】「ボランティアスタッフズ」が活躍するストーリーが、大学創立40周年プロモーションムービーになりました!



近畿の川はオレたちが守る!

「エコシビル部」の(左から)横野翔大さん、内山昌哉さん、大槻航平さん、小野裕基さん、兼久卓也さん、萩原麻樹さん

 もうひとつの活動は、理工学部を中心に70人を超えるメンバーで活動している「エコシビル部」。主に淀川水系を中心に、川の清掃を始め、植物や魚などの外来種駆除、Eボートを使った親水活動などを行い、水辺を守る活動に取り組んでいる。6年前に10人弱でスタートした活動も、今では70人を超える大所帯だ。

 部独自の「淀川ぷちクリーン作戦!」で毎月1回、清掃活動を行い、地域の大規模清掃では、道具運びからのぼりを立てる作業まで、何週間も前から準備に参加して、地域の年配者の方たちではできない力仕事を担う。すでに彼らは、地域の自然を守る主催者の一員なのだ。
小野裕基さん「川や街がきれいになると気持ちいいですよね。単純にそこなんです。川のことが知れて、いろんな人とも出会って、毎日いい経験させてもらっています。これからも参加者が増えて、ほかの大学でも始めてほしいなあ」

大槻航平さん「川の中に原付が何台も沈んでるなんて、この活動で初めて知りました。清掃が終わったらごみの前で記念撮影して、目で見て達成感を味わえるのがいい。魚釣りが好きなので、外来種駆除作業も楽しいですね」
萩原麻樹さん「胴長を着て川に入る経験なんて、そうそうありませんよね。そんなスタイルで掃除しながら、女子は恋バナをしてます(笑)。自治体や地域の大人の方たちと話し合う機会が多いので、コミュニケーション能力もつきました」

内山昌哉さん「夏から秋にかけては、各地の祭りでEボート活動を行います。10人乗りのゴムボートが3艇あるので、依頼がひっきりなし! 毎週土日は必ずどこかの川で浮かべていますが、大人も子どももとても喜んでくれるんですよ」
横野翔大さん「1回の祭りで100人以上のお客さんを乗せることもあります。昔、ここは泳げたと年配の方が教えてくれたり、川をもっときれいにしないといけないと子どもたちが気づいてくれたりして、嬉しいし、やりがいもあります」

兼久卓也さん「子どものときからまったく行く機会がなかった川で、今、こんなに活動していることがなんだか不思議です。毎月1回、自治体や市民団体の会議に出席したり、みんなを引っ張っていく役割は大変でしたが、あっという間の3年間でした。卒業が寂しい!」
 彼らの活動は高く評価され、おおさか環境賞では大賞を受賞、東京で開催された「第7回いい川・いい川づくりワークショップ大会」で準グランプリも獲得した。

 ボランティアスタッフズもエコシビル部も、全員声をそろえて「楽しい」を連呼し、こちらが戸惑うほど目をキラキラさせている。少し前の時代では「ボランティアなんてダサい、気恥ずかしい」と遠巻きに見る人が多かったはずなのに、現代の若者にそんな気負いはまったくない。むしろ積極的に飛び込んで、なんでも思い切り楽しむ素直さが、この世代の特長なのかもしれない。なんとなく4年間を過ごした学生たちとの差はいうまでもないだろう。選ぶのは君自身だ!

摂南大学

〒572-0074 大阪府寝屋川市池田中町17-8

 7学部13学科からなる総合大学。総合大学の特長を生かし、独自の目標や研究分野などに関連した他学部・他学科の開講科目の履修も行うなど、幅広い知識を学べる環境を整えている。

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