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「若者たち」が若者世代に浸透!音楽家・森山直太朗の本質とは

1966年のヒット曲「若者たち」を21世紀に見事に蘇らせた森山直太朗。近年ではバラエティ番組などで見せる独特のキャラクターも注目を集め、新たなファンも急増中の彼がニューアルバム『黄金の心』をリリース。多彩な顔を見せる森山直太朗の本質とは?

「若者たち」がSNSで話題に――森山直太朗の歌の力に再注目!

 今年はさまざまなメディアで森山直太朗の活躍が目立った。音楽番組のみならずバラエティ番組などでも、フランクでユーモアのセンスに長けたトークを展開し、多くの人々が“勝手に”築き上げてきた「森山直太朗=気まじめな文学青年」というイメージをことごとく払拭していった。加えて、7月クールで放送されたフジテレビ系月9ドラマ『HERO』の初回放送において、エピソードの重要なカギを握る人物として出演したことも、彼の人物像を押し広げる大きなポイントとなった。放送前から話題を集め、視聴率26.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を叩き出したドラマへの出演は、歌手・森山直太朗のまた違った側面を日本中に知らしめる契機となった。多彩な顔を見せる近年のメディア露出により、多くの人々が森山直太朗という人物に興味を抱くこととなったはずだ。

 そのタイミングでリリースされたのが「若者たち」である。こちらも同時期に放送されたフジテレビ系のドラマ『若者たち2014』の主題歌となっていたこともあり、着実に浸透していったのは間違いないが、森山の透明感のある歌声と楽曲の持つ普遍的なテーマが合わさって、オリジナルを知る世代にも知らない世代にも新鮮に受け入れられたと言えそうだ。オリジナル版を歌ったブロードサイド・フォーの中心人物だった黒沢久雄が、森山直太朗の母である森山良子の歌手デビューに深くかかわっていたことと併せて、このマッチングは時空を越えた結びつきを感じさせもするが、森山という天性の歌唱力を持った歌手が歌ったからこそ、現代に鮮やかに蘇ったのだと思われる。そして、そのまっすぐな歌唱が、人々の「歌ってみたい」という欲求を目覚めさせ、関連動画が約200万回超の再生回数を数え、カラオケランキングにおいても上位に入るなど各方面で歌われているという。1966年にオリジナルがリリースされたおよそ半世紀ほど前の曲のリメイクが、21世紀に生きる若い世代にも浸透し、いま改めて森山直太朗の歌の力に注目するきっかけともなったのだ。

 8月29日に放送された『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)で「若者たち」を歌唱した際にはTwitterなどのSNSで大きな反響があり、森山の歌唱力の高さが話題となった。最近では、11月22日に放送された『ミュージックフェア』(フジテレビ系)で、旧知の仲である玉置浩二とともに玉置屈指の名バラード「メロディー」をデュエット。心に響く名演に視聴者から多くの賞賛の声が上がった。

楽しさと発見に満ちた新作『黄金の心』

  • アルバム『黄金の心』

    アルバム『黄金の心』

 そして、11月19日にリリースされたニューアルバム、「若者たち」も収録された『黄金の心』では、「歌唱力」だけでは語りつくせないソングライター・森山直太朗の魅力により深く触れることができる。「若者たち」以外の作品は、いずれもデビュー時からのパートナーである御徒町凧と森山自身の手になるものだが、そこには日常のふとした心の動きやさりげない描写が散りばめられている。それは、歌手活動のなかで一貫して見せてきた、彼にしか表現できない持ち味であり、新たな感覚を呼び起こされるような楽しさと発見に満ちている。

 普段、茶目っ気や親しみやすさ溢れるキャラクターで楽しませてくれる森山直太朗が、シンガー・ソングライターとしての「本気」を叩きこんだ渾身の一作『黄金の心』。より芳醇な仕上がりとなった今作によって、多くのリスナーが「音楽家」森山直太朗の神髄に触れ、その稀有な才能に改めて気付かされることとなるだろう。

(文:田井裕規)

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