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松坂桃李『僕の歴史のなかでとても大きなこと』

世界中の女子たちを夢中にさせるハローキティの生誕40周年を記念して、サンリオが贈る3D映画『くるみ割り人形』。“Kawaiiカルチャー”の第一人者・増田セバスチャンが、1979年に作られた実写人形アニメ映画の大胆なリ・クリエイトに挑戦。最先端のデジタル技術を取り入れたカラフルなアニメーションを、豪華10大スターのボイスキャストや、きゃりーぱみゅぱみゅのテーマ曲など、今をときめくキャスト、スタッフが彩り、観たことのないファンタジーの世界へと観客を誘う。そんな本作でヒロイン・クララの年上のいとこ・フリッツと、人形の国で運命の出逢いを遂げる若き将校・フランツの二役の声を担当した松坂桃李に、作品の魅力を聞いた。

自分で自分に暗示をかけている

――本作をはじめ、BUMP OF CHIKENのツアー用に作られたCGアニメ『WILLPOLIS』や、RPG『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』(来年2月発売予定)など、今年は声のお仕事も充実していましたね?
松坂 役者として、声優やナレーションなど声のお仕事を意識的にやっていきたいという思いがあります。自分の内面から出てくる声と客観的に聞いたときの印象って、やはり違いがあるわけで。そこで相手にどう伝わるのか? と考えたとき、声の抑揚や大きさ、声色といった技術が重要になってきます。また、自分の声をコントロールする意識も、非常に大事です。声の仕事を通して、声の経験値を上げていくことで、役者の仕事に反映される部分もたくさんあると思います。今回もとてもいい勉強になりました。

――今回演じられたフリッツ、フランツ役では、どのようなことを意識されましたか?
松坂 監督とのやりとりのなかで、王子キャラという設定を踏まえて、なるべく透き通ったような……あ、僕は全然透き通った声じゃないんですけど(テレ笑い)、ちょっと洗練された感じで、でもどこか頼れるような雰囲気を意識しました。まぁ自分で自分に暗示をかけているような感じなので(笑)、結果として、声できちんと表現できているかどうかはよくわからないんですけど、やっぱりそういう意識や気持ちって、声にも表れるものだと思うので。僕はそんなに技術がないから、監督のおっしゃるひと言ひと言と丁寧に向き合って(監督の意向を)ひもといていく感じですが、声だけで表現する方が、役者より難しい部分があるかもしれないですね。

――国際的アーティスト、増田セバスチャン監督の演出はいかがでしたか?
松坂 画ももちろんすばらしいんですけど、それぞれの人形の命が吹き込まれたような動きには、ただキラキラしたファンタジーではない、一人ひとりに強度があるなと。人形同士の心の変化や関係性を、ストーリーのなかでしっかりと感じさせたいという監督のこだわりを感じました。

真実は見つけるんじゃなくて作るもの

――松坂さんの美声は、まさに王子そのもの! でしたが、有村架純さんが演じたクララも、ピュアな響きがぴったりでしたね。
松坂 ご本人のピュアさが声に出ているところもあるんでしょうね。かわいらしさを持ちつつ、一本芯の通った、しっかりと立っている印象をすごく感じさせる声でした。

――完成作をご覧になった感想は?
松坂 普通のアニメーションと違って、人形が動いて物語が進んでいくおもしろさは、いい意味で自分の期待が裏切られました。現代の最新技術と融合したとき、人形のアナログな動きは、キラキラしたなかの温かみというのか、約35年前にオリジナル作品を作った方々の愛情、作品への向かい方のようなものが画面からも感じられました。古き良きものをしっかりと受け継いだ作品に仕上がっていて、僕は大好きです。

――本作は1979年にサンリオが作った人形アニメ映画のリ・クリエイト作品ですが、『くるみ割り人形』といえば、チャイコフスキー作曲のバレエは今やすっかり冬の風物詩となり、またホフマンの原作童話は、200年近く語り継がれてきた長い歴史のある物語です。人間界と人形の国を行き交いながら、大切なものを守ろうと奮闘する少女・クララの物語については、どのような印象をお持ちですか?
松坂 今も昔も、気持ちが高まる部分って変わらないんだということを、今回、改めて実感しました。時代に合わせて、物語のどこに重点を置くか? という部分に多少の変化はあったとしても、大枠は全く古びることなく、埃もかぶらず、しっかりと語り継がれていくんですね。ファンタジーだとわかっていても、感動してしまうところがすごい。もうある種の魔法ですよね!

――ふたつの世界を行き来するという点では、俳優のお仕事にも通じる部分がありますね。松坂さんがフィクションの世界に入っていくときに大事にしていることとは?
松坂 そのとき、そのときの真実ですかね。ファンタジーだ、SFだと、どんなに現実からは考えられないような世界へ入るとしても、自分のなかで頼れる真実を持って、その世界に入っていくことで、自分のなかに嘘がなくなります。そうすることで、作品で語られる物語の本物感みたいなものが、より引き出されるんじゃないかと思います。真実というのはふたつあって、例えば歴史上の人物を演じる場合、本やネットなどで調べれば、その人の人生の半分くらいは知ることができます。でも後の半分は、撮影現場で知っていくことじゃないかと思うんです。彼らが当時、どんな思いでその行動を取ったのか? その部分は、いくら調べて議論しても決着のつかないところで、実際に現場でやってみないとわからない。そういう意味では、真実ってきっと見つけるんじゃなくて、作るものだと思います。

――まさにたくさんの真実を作り出した今年、いちばん心に残っていることは?
松坂 思い返せばたくさんありますが、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』に参加したことは、僕の歴史のなかでとても大きなことだったかもしれません。今は亡き、実在した人物(黒田官兵衛の嫡男・黒田長政)を演じたことによって、違う角度からの真実の見方を教えられた感じもありますし、同時に撮影現場でのスタッフ、キャストのみなさんの温かさに触れて、改めてこの仕事っていいものだなって実感しました。なおいっそう、演じることの楽しさが大きくなった気がします。
(文:石村加奈、撮り下ろし写真:鈴木一なり)

くるみ割り人形

聴くだけでも、見るだけでもない。この冬、あなたを包み込む、まったく新しい感動の「極彩色ミュージカル・ファンタジー」!

監督:増田セバスチャン
キャスト:有村 架純/松坂 桃李/藤井 隆/大野 拓朗/安蘭 けい/吉田 鋼太郎/板野 友美(友情出演)/由紀 さおり(特別出演)/広末 涼子/市村 正親
【公式サイト】(外部サイト)【予告編】(外部サイト)
11月29日(土)全国ロードショー <3D/2D同時公開>
(C)1979,2014 SANRIO CO.,LTD.TOKYO,JAPAN

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