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阿部真央『自身の体験をもとに―片想いを歌った珠玉のバラード!』

 2013年最初のシングルに阿部真央が選んだ楽曲は、「最後の私」という珠玉のバラードである。打ち明けることなく終わった片想い。決して長くない時間のなかで重ねたふたりの記憶を蘇らせながら“あなた”に語りかける終幕の慕情は、未練や嘆きではなく、出会えたことへの感慨が強く滲んでいる。この曲が生まれた背景に迫った。

恋の傷が少し癒えたくらいの時期に――曲が降りてきた

――「最後の私」はどのように生まれたんですか?
阿部真央この曲が生まれたのは、去年の9月下旬で。夜の7時くらいですね。恵比寿ガーデンプレイスの時計広場にあるベンチに座って、コーヒーを飲みながら友だちを待っていたんです。そのときに突然バーッと最初の4行の歌詞とメロディーが次々と一緒に出てきて。

――アーティストがよく言う“曲が降ってくる”感じですよね。真央さんはそういうことってあまりないんですか?
阿部あまりないですね。だからビックリして。“これが、曲が降りてくるってやつか!?”って。その場でボイスレコーダーに録音して、そのあと何日間かかけて全体を構築しました。

――曲を作りながら、自分の気持ちが癒えていないことに気づいた。
阿部そうですね。その人とは、ある日、連絡がとれなくなって、フェードアウトでもない、カットアウトですね。だから、私にとってはしっかり自分の想いを伝えられないまま終わってしまった恋だったんです。相手は私の想いに気づいていたと思いますけど。だから、すっごくズルい男ですよね(笑)。

――確かにズルい男だ(笑)。でも、「最後の私」を聴くと真央さんはこの恋に後悔するのではなく、感謝の念さえ覚えているのがわかる。
阿部そうなんですよ。この恋をしているときに、今までの自分よりも成長しているなと感じる瞬間が数多くあったんです。相手が自分に優しくしてくれるから好きとか、そういうことではなく、その人がそこにいるだけで自分が素直になれて、“あなたと一緒にいることができて私は幸せです”って胸を張って言えるような恋だったんです。だから、失恋してからも、彼を好きな自分に執着していたところがあったんですよね。今回の失恋で何が辛かったかというと、その人を想う気持ちを手放すことで。その気持ちをソングライターとして最新の状態で切り取れたことに大きな喜びを感じています。

ポップな方向性よりも、私の実像をリアルに切り取った曲を表現したい

――今の真央さんにとってバラードはどういう存在ですか?
阿部今まではあまりバラードが好きではなかったんです。でも、年齢を重ねるなかでリスナーとしてもバラードを聴くのが好きになっていったし、声帯治療を経て、“側にいて”をリリースしてから私なりのバラードの歌い方がわかってきたんですよ。声を張るだけが強い歌の表現ではないんだなって。それに気づけたのは大きかったです。バラードを歌う喜びを知れたから。

――現在進行形ではどんな曲が生まれていますか?
阿部とりあえず生まれてくる曲ありきで考えていて。もうストックもあまりないから、1曲1曲を大事に作っていきたいと思っています。そのうえで思っているのは、今はポップな方向性よりも、私の実像をリアルに切り取った曲を表現したいということで。それは“人間らしさ”とも言えると思うんですけど。ハッピーな気持ちやかわいらしい気持ちも、これまで以上に人間らしい生々しさや女性の本質的な魅力を意識して描きたいなって。だからか、現在進行形で書いている曲はバラードが多いんですよね。“最後の私”もいま言ったような意識がすごく表れている曲だし、この曲で阿部真央の変化や成長を感じてもらえたら嬉しいです。

――2013年はどういう1年にしたいですか?
阿部健康な1年にしたいですね!(笑)。すごい力を溜めてそれを放出するようなテンションではなくて、自分の視野をどこまで広げられるかを探ったり、自分自身をじっくり見つめる1年にしたいなと思います。その過程でどういうアルバムができるのか、自分でもとっても楽しみです。
(文:三宅正一)

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