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BUMP OF CHICKEN『4年ぶりツアーで手に入れたもの…名曲群に新たに刻まれる珠玉のナンバーが完成』

 BUMP OF CHICKENが約8ヶ月ぶり、23枚目のニューシングル「firefly」をリリースする。現在オンエア中の武井咲主演のドラマ『息もできない夏』(フジテレビ系)の主題歌にも起用されている今作は、シングルのリード曲としては久々の疾走感に富んだアッパーチューン。同曲の誕生には、7月に幕を閉じた約4年ぶりの全国ツアーでの経験がひとつ、きっかけになっているようだ。

“幸せな時間”を過ごせた全国ツアー

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    BUMP OF CHICKEN

 7月に4年ぶりのアリーナツアー『GOLD GLIDER TOUR』を終えたBUMP OF CHICKEN。昨年末から今年1月まで行われたライブハウスツアー『GOOD GLIDER TOUR』も含めて、バンドが久しぶりに迎えた旅の季節は、やはりかけがえのない時間の連なりとなった。両ツアーともに6thアルバム『COSMONAUT』以降の楽曲を軸に構成されたライブは、オーディエンスにとって“果てしなく大きくて、どこまでも近い”スケール感と普遍性をつぶさに体感する時間となった。

 ライブハウスツアーとアリーナツアーではオーディエンスとの距離感や演出面での違いはあったが、バンドが音楽を体現するアティチュードに何ら差異はなかったし、各楽曲が響き渡るダイナミズムにも位相差はなかった。1曲1曲が、バンドとオーディエンスが紡ぐ特別な物語となり、その響きが会場の隅々に、そこにいる1人ひとりに深く浸透していったのである。筆者もそのひとりとして、透徹した作家性と親密なアンサンブルが形象化する比肩なきロックミュージックの素晴らしさを思った。そう、これがBUMP OF CHICKENのライブ表現である、と。

 「無事に終わって良かったというのが率直な気持ちですね。アリーナツアーの前にあったライブハウス・ツアー『GOOD GLIDER TOUR』から、1本1本しっかりコンディションを整えて臨むことができて。大きなトラブルもなく最後までやり切れてホントによかったです。全国各地でお客さんに温かく迎えてもらって、幸せな時間を過ごせました」(升秀夫/Dr)

 「何よりお客さんが僕たちを待ってくれていたことがホントに幸せでした。ツアー前は不安もあったんですけど、最高のツアーにできたのはすべてのお客さんと関わってくれたスタッフのみなさんのおかげだと思ってます。みんなに対する感謝と、4人で全国を無事に廻ることができてよかったということ。終わってみて率直な感想といったら、それに尽きますね」(直井由文/B)

 「ツアーが終わった直後は実感が湧かなくて。胸にポッカリ穴が開いたような寂しい気持ちがありましたね。それもすべてツアーが充実していたからで。ライブすることが日常になっていたんだなとも思います。最高のツアーでした」(増川弘明/G)

 「ツアーが終わった瞬間は、頭が真っ白になりました。ホントにここに来れてよかった、目の前にいる人たちに会えてよかった。それはどの会場でも思っていたことで。うれしい、よかった、ありがとう。そういう思いばかりがライブをやっている最中にも、1拍1小節ごとに強くなっていったんです。僕らの音楽を聴いてくれる人たちが目の前にいて、笑ったり、泣いたり、手を挙げてくれたり、聴き入ったりしてくれている姿を見るのは、何にも勝る雄大な景色なんですよね。久々にツアーをやって、あらためて“これがライブなんだ”って思いましたね。それは、ツアー前から想像していたことでもあるんですけど、いざ自分でお客さんとの関係性やそこにある現象を目の当たりにすると、みんなからもらえるものの大きさは、やっぱりすごかったです」(藤原基央/Vo&G)

 そして、そんな万感の思いとともに巡ったアリーナツアーの最中に生まれたのが、通算23枚目のニューシングル「firefly」である。シングルのリード曲としては久々の疾走感に富んだアッパーチューンとなったこの楽曲。現在放送中のテレビドラマ『息もできない夏』(フジテレビ系/火曜夜9時)の主題歌としてオンエアされているので、すでに耳にしたリスナーも多いだろう。

 イントロから鳴らされる、重みのある光彩に包まれたギターのアルペジオを中心に走り出すバンドアンサンブル。リズムの軸となる力強く刻まれる4分の4拍子が、時にリムショットを用いたバックビートで跳ね上がり、疾走するサウンドのなかでじっくり紡がれていく平歌のメロディーを息吹かせる。衝動とも捉えられる心奥から飛び出した“蛍みたいな欲望”がいつしか夢を描き、やがて抗いようない現実に直面しながら、彷徨する。しかし、エモーショナルかつドラマティックな旋律の像が結ばれるサビが訪れたとき、物語を生きる主人公は、“決して消えない光”を自覚し、“黄金の覚悟”を掲げる――。BUMP OF CHICKENの名曲群にまたひとつ、止めどなく躍動する音楽力と生命力の発露が加わった。

 「ツアー中に書いた曲なので、ライブで感じたことが生理的に形になったんだと思うんですよね。全国のお客さんが見せてくれたいろんな表情は、僕にとってものすごい情報量だったから。彼らと一緒にライブという空間を共有して、作り上げた経験がこの曲に繋がっていったんだと思います」(藤原)

大勢のファンの存在が後押しした1曲

  • 23thシングル「firefly」

    23thシングル「firefly」

 ライブを重ねることで横溢したバンドの熱量は、藤原のソングライティングに対する欲求をいつも以上に高めた。そこで彼はツアーの合間を縫ってスタジオに入り、「firefly」のデモを作り上げた。さらには、アレンジ作業とレコーディングもツアー中に敢行。ツアー中に曲を完成させるのは、BUMP OF CHICKEN史上初の試みでもあった。曲の内容について、藤原はこのように言葉を続けた。

 「“夢は叶うよ”という言葉って、古くから言われていますよね。これって、実際には必ずしもそうならないからこそ生まれた言葉だと思うんです。誰かにその言葉を言われて励まされた人も、その人が困難な局面に立っているからこそ響いたはずで。それは僕が言うまでもなく、誰もが身を持って知っていることだと思います。欲望から生まれた大切な夢を、どうしても諦めなければいけなかった人たちがいる。道が閉ざされたら、切実な思いがあるほどその事実を受け入れるにはすごく時間がかかる。ただ、それでも勇気を出して諦めることは――歌詞には<黄金の覚悟>と書いていますけど――それはすごく輝きのある行為で。僕がそれを思ったときにこの歌ができたんです。誰かにエールを送りたいと思って書いたのではなくて、あくまで僕がそういう思いを抱いたから書いた歌なんですね。ただひとつ思うのは、上手く言えないんですけど、ツアーでお客さんと裸の付き合いができた感覚があって。僕はあなたたちのおかげでこの曲を書けたんだよって思いますね」(藤原)

 「まず、僕らにとってはツアー中に藤原くんが曲を書いたことが一番のビッグニュースで。今まで一度もなかったことなので。ツアー中はメンバーみんなが感受性が豊かになっていたから、藤原くんからこの曲のデモを受け取ったときは、曲の疾走感も相まっていつも以上に歌詞の内容がダイレクトに響きました。そして、自分がライブでこの曲を演奏している姿をハッキリとイメージできたんです。この曲をツアーでは披露しなかったんですけど、ライブの光景をイメージできたことがすごくうれしかったし、歌詞に出てくる“光”をつかめたような感覚がありました。だから、ツアー中にこの曲のレコーディングをできたこともホントに幸せで。ライブのモードそのままに、いい意味で前ノリな状態で録れたから」(直井)

 「藤原くんからデモをもらったときは、すごくカッコいい曲ができたなと思うと同時に、プレイヤーとしてビックリしたのを覚えてます。打ち込みのドラムが入ったデモの段階から、細かい部分までいろんなアプローチが施されていて。でも、それがただトリッキーなのではなく、曲のダイナミズムと有機的に結びついていたんですよね。この曲でドラムが果たしている役割はかなり大きいぞと思いましたね。それを受けて、自分ができることをしっかりやるという意識を持ってレコーディングに臨みました。デモのイメージを活かしながら、ダイナミックな曲にすることができた満足感があります」(升)

 「まずアッパーな曲調や歌詞の深さにツアーの空気感が反映されているなと思いました。チャマ(直井)が言うように、ライブでプレイしている自分たちの姿をすぐイメージすることができて。ギターのプレイの面では、スリリングなアルペジオを弾いているといつの間にか熱くなっている自分がいるんです。細やかなプレイも要求される面もあるんですけど、どんどんエモーショナルな気分になっていく。この曲がリスナーにどう響くのか。僕らがまたいつかライブをやるときにこの曲をどのように再現できるのか。今からすごく楽しみです」(増川)

 ツアー後に制作されたカップリング曲「ほんとのほんと」は、人と人の心と心が通じ合う尊さが、リリカルかつ過不足のない言葉とメロディーとサウンドで編まれたバラードである。毎度のことながら、カップリング曲ならではの豊かさを感じさせてくれる楽曲で、その味わい深さから彼らのシングル作品に寄せる気概が伝わってくる。

 ここからBUMP OF CHICKENは引き続き制作の日々に入るようである。具体的な予定は立っていないが、近年のリリースペースを思えば、またそう遠くない未来に新曲が届けられる可能性もあるだろう。何はともあれ、今は「firefly」と「ほんとのほんと」を大切に聴き込んでほしいと思う。
(文:三宅正一(ONBU))

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