『ちいさなプリンセス　ソフィア』はディズニーチャンネル発のテレビ番組で、題名の通り、「小さなお姫サマ」が主人公のプリンセス・ストーリーだ。作品のキーアイテムになっているアバローのペンダントも大ヒットしていて、幼稚園くらいの女の子で胸元に紫色のだ円形の石（風のもの）がついたペンダントをしていたら、もう100％ソフィアのファンと思って間違いなし。その人気の秘密はどこにあるのだろうか？

　ソフィアを語るとき、よく「等身大のプリンセス」という形容詞が使われる。それもそのはず、ソフィアはごくごく普通の女の子だったのに、お母さんが王様に見初められて再婚したために、ある日突然プリンセスになる。ディズニーのプリンセスにもいろいろいて、初めから王族として生まれたオーロラ姫や白雪姫もいれば、裕福でない女の子が王子様に見初められたことでお姫様になったシンデレラのようなプリンセスもいる。でも、「お母さんの再婚」である日突然プリンセスになるという物語はかなり斬新！小さな女の子たちにとって、自分と同じくらいの年齢のソフィアがプリンセスに…というのは、もはや「憧れ」を通り越して「自分と一心同体」気分のはず。これはもう、小さい女の子が自分と重ね合わせて応援するのも当たり前だ。

　そんなわけで、番組は2013年に全米で放送が開始されるや話題になり、日本にもすぐに上陸。今や日本では120万人以上、そして世界規模になると1億4千万人以上が視聴するモンスター番組に成長している。今ではディズニーチャンネル（有料）枠を飛び出してディズニー提供の無料BSテレビ局、Dlifeでも放送されていて、視聴数、つまり人気はまだまだ伸びそう。同番組は2014年にアニー賞の「最優秀未就学児向けテレビアニメーション番組賞」を受賞したり、同年のエミー賞でも「主題歌賞」を受賞したりと、栄誉ある賞を受賞し“お墨付き”をもらっている。

　女の子に大人気…と言うからには、作品のストーリーにも、「共感」や「応援したい」気持ちをあおる何かがきっとあるはずだ。早速、最新DVD『ちいさなプリンセス ソフィア／ふたりのプリンセス』からその魅力をひも解いていきたい。お母さんの再婚でいきなりプリンセスになったソフィアだけれど、戸惑ったり失敗したりしながらもなんとか宮殿での暮らしに慣れてきた…そんな頃合いの物語だ。ちなみにソフィアたちが暮らすのは、魔法の王国エンチャンシア。魔法を自在に操れるのは魔法使いとかの限られた存在だけれど、でも魔法そのものはごく身近にあるという設定だ。

　馬車で国王一家がお出かけするときに、急がなくちゃ…となると「じゃあ、空からやってくれ」と王様ご下命！　すると、さっきまで馬車を引いていたのは実はペガサスで、ぶぁさっと翼を広げて天を駆け、空飛ぶ馬車になってしまう世界。また、ソフィアがいつも身に付けているアバローの魔法のペンダントを使えば、ピンチの時にシンデレラ、白雪姫、アリエルたち歴代のディズニーのプリンセスたちが登場して、解決のヒントをくれる。まさに夢いっぱいの物語なのだ。

　番組から選りすぐりの4話が収録されているうち、「プリンセス　アイビーの　のろい」にフォーカスしたい。物語は、ソフィアと動物たちがおしゃべりをしている場面を、義理の姉（国王の子）のアンバー姫が目撃してしまうところから始まる。問いつめられたソフィアは、父王から贈られたアバローのペンダントの秘密をぜんぶ白状するハメに。ペンダントの不思議な力で動物たちと言葉が通じること、そして困ったときに心をこめてお祈りすると、ディズニーのプリンセスたちがどこからともなく現れて助けてくれることも…。

　もちろん、アンバー姫はやっかみます。ペンダントの能力もうらやましければ、「なんでそれ、私にはくれなかったの？」という意味でも。そして、ソフィアが寝ているすきに首からペンダントを外して自分のものにしてしまう。しかし、そんな悪事を働いた子に、ペンダントは素直に願いを叶えてくれたりはしない。願い事どころか、かかったのは反対の呪い。憧れのプリンセスを呼び出すはずが、現れたのはエンチャンシア王国を乗っ取ろうとする悪のプリンセス、アイビー。アイビーの指先から生まれた蝶の群れが触れたものはどれもこれも色彩を失って、生気も味気もないモノクロの物体へと姿を変え始めると、事態は急展開。どうなる、王国！？　ちなみに本作で解決のヒントをくれるプリンセスは、『塔の上のラプンツェル』のラプンツェルだ。

　このように、物語の起承転結のきっかけになるのは、王国の住人たちのちょっとした「気持ちのささくれ」だ。やっかみやひがみや嫉妬、劣等感や優越感のように、誰もがふつうに持っている感情が根っこに描かれる。だから、大人なら身に覚えがありすぎて苦笑いしてしまう題材のオンパレード。描き方も子どもならではの純真さをうまく絡めてあって感心してしまう。また本話にはアイビーのようなディズニー作品お約束のヴィランズ（悪役）も登場するけれど、通常話には本当の悪役はめったに登場しない。アンバー姫だって本当はいい子なのだ。

　アンバー姫がペンダントを盗んだのも、実は明け方まで悶々と悩んだ挙げ句のことだし（かわいい！）、ソフィアだってただ純粋な気持ちでアンバーに面と向かって「盗んだせいでこんなことになったんじゃない」となじってしまう。あくまで子ども目線で、「あ、ここは謝らなきゃいけないところかも」「こうすれば仲良しになれるんだ」と、ひとつずつ気長に気づかせていくところが、この作品のいいところなのだ。道徳的なのに意外と説教くさくなく、自然と物事の善悪について学ぶことができる。安心して子どもに見せられる、親子でハマっている、というファミリー層が多いのもうなずける。

　『ちいさなプリンセス　ソフィア』には時々ペンダントの魔法の力で本家プリンセスたちがゲスト出演することには触れたが、これも魅力のひとつ。みんな映画作品ばりにすてきな音楽と歌声を披露しつつ、窮地に立ったソフィアにそっと解決のヒントをくれる。種明かしをすると、すでに6巻出ているソフィアのDVDは、どれもプリンセスがゲスト出演するお話が必ず1話は収録されていて、女の子たちもソフィアと同じ目線でプリンセスたちと触れ合っている気分になれるのだ。

　思わず一心同体になって応援したくなる等身大のプリンセス、ソフィア。と同時に、この作品はきっと、一緒にやさしい気持ちや思いやりの心を学びながら、一歩ずつ本物のプリンセス＝大人への階段を昇っていこうとする女の子たちへの「応援」でもある。『ちいさなプリンセス ソフィア』はDVDはもちろん、夏休みのお出かけにもピッタリなデジタル配信でも視聴可能。この夏はぜひ、母娘でソフィアと一緒に一歩前に踏み出してみてはいかが？

（文：鈴木裕子）

　大ヒット公開中のディズニー／ピクサー最新作『インサイド・ヘッド』の劇場公開を記念し、対象作品のMovieNEX、ブルーレイ、DVDを購入すると“「インサイド・ヘッド」オリジナル ビッグ・レジャーシート”が先着でもらえるキャンペーンを実施中！

【Disneyサマー・キャンペーン】
期間：7月17日（月）〜8月31日（月）　※特典はなくなり次第終了
対象商品：ディズニー・ピクサー作品のMovieNEX／ブルーレイ／DVD全商品
内容：対象商品の購入者に先着で“「インサイド・ヘッド」オリジナル
ビッグ・レジャーシート” プレゼント
＞詳しくはこちら