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安達祐実『これまでのイメージを崩せるかもしれない』

2歳(!)から芸能界に身を置き、幼い頃より女優として最前線を走り続けてきた安達祐実が、芸能生活30周年の節目に選んだ作品は、染物職人と許されざる恋に落ちる吉原遊女のメロドラマ!? 初めて臨んだ大胆な濡れ場も話題の主演映画『花宵道中』について、最近めっきり艶っぽくなった安達に聞いた。

必要があれば大胆なシーンをやる覚悟はあった

――原作は、第5回『女による女のためのR-18文学賞』受賞作。長いキャリアの大きな節目に、官能小説の映画化作品を選んだ理由とは?
安達30周年だから特別なことをやろうと考えていたわけではないんです。昨年発表した写真集『私生活』(芸能生活30周年を記念して、安達がセルフプロデュースした写真集)を見てくださった方から「今までと全然違って驚いた!」といううれしい声をいただいて。いいジャブが打てた感触を持てたので、次は女優として「こういうのもやるなんてびっくり!!」って思っていただける作品、役を探すなかで、今回の企画に出会いました。自分のなかではずいぶん前から、必要があれば、大胆なシーンをやる覚悟はあったので、こういう純愛ストーリーで、濡れ場にも挑戦できるなら、これまでのイメージを崩せるかもしれないなって。時代劇は全く想定していませんでしたが(笑)。

――代表作のひとつともいえる『大奥』(2003年/フジテレビ系)をはじめ、安達さんが考える時代劇のおもしろさとは?
安達時代劇は、観るのも演じるのも好きです。女性の奥ゆかしさみたいなものを現代劇よりも打ち出せるところは、日本人として素敵だなって思います。今回、花魁の役は初めてでしたが、ただでさえ自由じゃないあの時代に、さらに遊女という縛られた人生を送る女性の悲しみや切なさを、撮影中も強く感じながら演じていました。ただ(私が演じた)朝霧に関しては、遊女としての辛さを描きたいわけではなかったので、感じ過ぎないようにはしていましたけど。

――ずばり遊女・朝霧で目指した境地とは?
安達監督やプロデューサーと話すなかで考えていたのは、恋愛劇としての『花宵道中』であることでした。遊女の悲恋ものというよりは、本当の恋を知ることができた女性の歓びを表現したかった。他の人がこの物語をどう捉えるかはわかりませんが、朝霧にとっては、極上の愛だった。そういう風に描きたいと思っていました。

――朝霧の恋に落ちる瞬間から、絶頂の美しさ、やがて終わりを迎えるときまで、瞬間、瞬間が生々しく刻まれていく本作。リアルな情感をみずみずしく捕らえる豊島圭介監督の演出はいかがでしたか?
安達リハーサルの段階で、監督から「うまい芝居をしないでくれ」といわれたんです。今までは、こういう言い回しにしたらおもしろいかな? とか、長台詞のときは強弱や抑揚で、芝居を見てくださる方が聞きやすくなるような正確な表現を心がけてきましたが、それができなかった。型や芸ではない、もっと曖昧な表現を求められて、すごく難しかったですね。試行錯誤を重ねるなかで掴んだのは、リアルに生きている人間の存在感って、わかりやすくなくていいんだなということでした。簡単にいえば、悲しいからって悲しい顔をしなくていい。それがナチュラルな在り方なんだって。

いろいろな面を表現することが許される年齢に

――三度の濡れ場でも、仕事として、または女としての哀しみや歓びが三様に描き出され、朝霧の言葉にできない思いは、時代を越えて、女性の心にも強く響いてきました。時に遊女らしく艶やかに、時に少女のようにあどけない、アンビバレントな魅力のヒロインについては?
安達やっと女性ならではの、濃い役をやらせてもらえる年齢になったなって(笑)。年齢の割に幼いルックスなので、どうしてもはっきりした役、もしくは真逆の影のある役どころが多かったのですが、本来の甘えん坊な部分を持った役の方が自分には向いているんじゃないかって密かに思っていました。やっとそういう部分が見せられる役がいただけたと思いましたね。昔はいい子でいたかったし、逆にいい子に見られることに反発した時期もありましたけど、大人になった今ようやく、人間にはいろいろな面があることを表現することが許される年齢になった。少しずつ人生経験を積んだぶん、前よりも説得力をもって演じられるようになったのかなって(笑)。

――完成作をどうご覧になりましたか?
安達初めて挑戦したことも多かったので、完成作を観るまで不安でした。でも日本独特の情緒ある世界観のなか、恋をすることのすばらしさをきちんと伝える作品になっていて、本当に安心しました。今までお芝居をしている自分を見て“私みたい”って感じたことは一度もなかったんです。でもこの映画を観ていて“朝霧って私みたいだな”って。それは初めての経験だったのですごく新鮮でしたし、大きなスクリーンに映し出された自分の姿を目の当たりにして、恥ずかしくもなりました(笑)。台本を読んだときよりも、撮影していたときよりも、出来上がったときが、朝霧という女性をいちばん身近に感じました。

――とくに印象に残るシーンは?
安達スパイス的な要素として、啖呵を切る場面と花魁道中(の場面)は、やって良かったなと思うシーンになっていました。「技術を使うな」とずっと監督にいわれていましたが、啖呵のシーンだけは「ここはある程度、型で見せないと決まらないところだと思うから、まあ得意でしょ?」という感じで(笑)。朝霧は言葉で語る部分の少ないキャラクターなので、急に人格が変わったように見えないだろうかと少し心配もありましたが、遊女としてのプライドをはっきり見せることができました。完成作を観て、私自身「なるほど!」って納得したというのか。花魁道中も、台本の段階では、そのシーンだけファンタジー色が強くなるんじゃないかと不安でしたが、結果、いいアクセントになって良かった。一つひとつのシーンには、ちゃんと意味があるんだなって改めて思いましたね(笑)。

――約20年ぶりの主演映画となった本作をはじめ、『野のなななのか』(2013年/大林宣彦監督)など、最近、今まで以上に映画に対して積極的な印象も受けますが?
安達30年もやっている割には、映画のお仕事ってそんなに多くないんですよ。『花宵道中』をきっかけに、今までにないペースで映画の撮影が続いている今の状況を、自分では珍しいなと思っています(笑)。お客さまがわざわざ足を運んで、お金を払って見に来てくださる映画には、やはり人を動かす力がないといけないし、ちょっと特別な感じはありますね。

――今回の大いなる初挑戦を経て、女優・安達祐実はこれからどこを目指していくのでしょう?
安達次に何をやりたいか? というのは、正直それにこだわるよりも、休みなんて一日もなくてもいいや! ってくらい、今はやれる役は何でもやりたいと思っているんです。ただ、見てくださる方に「攻めてるね!」って思ってもらえるようなものに挑戦していきたいというのが、ここ2、3年ずっと考えていることです。数年経てば、考え方もまた変わるだろうし、攻めるばかりでは広がっていかないとも思いますが、とりあえず今は、狭まった壁をどんどん壊して、広げている感じです。すっかり広げ終わったら、また別の世界へ行けるかもなーなんて、自分でもワクワクしています(笑)。
(文:石村加奈/撮り下ろし写真:鈴木一なり)

花宵道中

 江戸末期、吉原。遊女となった朝霧(安達祐実)は、年季明けを迎えようとしていたある日、吉原が全焼してしまう。外にある仮宅へと移り住み、つかの間の自由を送る。
 縁日に出掛けた朝霧は半次郎(淵上泰史)という青年に出会い、彼に心を奪われてしまうが、花魁という身分ゆえにかなわぬ恋と諦める。しかし、呉服問屋の吉田屋(津田寛治)が催した宴で半次郎と思わぬ再会をしてしまう……。

監督:豊島圭介
出演者:安達祐実 淵上泰史 小篠恵奈
【公式サイト】
2014年11月8日(土)ロードショー
(C)2014 東映ビデオ

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『花宵道中』公式サイト

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