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土屋太鳳『いかに物語に飲み込まれないかが勝負』

これまでに着実に実績を積み上げ、現在放送中のNHK連続テレビ小説『花子とアン』ヒロインの妹役に続き、2015年3月スタートの『まれ』でヒロインに大抜擢された新鋭女優・土屋太鳳。今まさにときの人となった土屋の女優魂に触れたロングインタビュー☆殺人鬼役に初挑戦した『人狼ゲーム ビーストサイド』での葛藤も語る!!

今までの役作りでは抱えきれない

――いろいろな役と見事に同化してきた太鳳さんですが、『人狼ゲーム』でも事前にいろいろ準備をして撮影に臨んだんですか?
土屋私は、女優としての技術も基礎もないと自分で思っているので、今までは役として生きることを目標にしてきました。環境や時代背景を調べたり、作品のテーマを考えて、自分なりに役作りをして。でも今回は、そういうのを全部取り除かないといけなかったんです。でないと、由佳ちゃんという役は成り立たなくて。

――頭で考える芝居をしない、ということですか?
土屋演出が「全部むき出す」ということだったので。狂えばそういうふうに見えるということでなく、静かな狂気もあれば、普通にしていてむき出しなこともある。本当の意味で「むき出す」には、魂を削っていかないと掴みとれなくて。今までのような役作りでは、この役は抱えきれませんでした。その場その場を現実として、本能で動くようにしました。難しかったし、苦しかったです。

――「苦しい」というのは、騙し合って殺す世界に入り込むから?
土屋そうです。ただ騙し合い殺し合う刺激的なエンターテインメントというだけでなく、「こういう世界は絶対にいけない」ということも考えてほしくて。

――平気で人に包丁を刺すような演技もありつつ。
土屋私はこれまでに、病と戦っていたファンの子の存在や、親しい知人を病気で亡くしたこともあって、周りの方の苦しさも見てきたので……。センセーショナルなシーンも自己満足で表現したくないと思っていました。「本当の自分は何だろう?」「生きている実感はどこにあるのだろう?」など、何か伝えるべきものを感じてもらいたいと思って演じました。

――自分が演じる意義もそこにあると。
土屋でも、今回はリハーサルをしても何もわからず、どうしようかと迷っていた時期もありました。そんなとき、ロケに入る日の朝に、姉が写真を送ってくれたんです。空が写っていて、薄暗い雲の向こうに丸い太陽がある。そこに私の横顔があって、ちょっと上を向いている。人が狼になるような感じがしました。それで、この映画は誰が生き残るかだけでなく、人が人でなくなってしまう過程を描く物語かなと、腑に落ちました。

――殺しているときは人でなくなっていたという?
土屋そうですね。紙を食べたのは台本にはなくて。人が変わるときって、何か歯で堅いものを噛みたくなるらしいですけど、それは知らずに、現場で「紙を食べたらどうなるんだろう?」と思って、やらせてもらいました。そのときはすごくおいしく感じました(笑)。

――それだけ役に没入していたんですかね? 由佳の強気なテンションも、現場で自然に出たものですか?
土屋由佳ちゃんは本当は普通の子で、少し前から周りの環境やリズムが崩れ始めていて。体が揺れていることが多くて、ずっと指で三角形を描いていたのは、歯車が狂っている感じを出したいと思ったんです。あと、人は揺れていると気持ち良くなってくるから。そういうのは自分で工夫しました。

自分を苦しめてギリギリの状態で演じた

――自分発信の演技プランはよく出すんですか?
土屋監督さんからのアドバイスをまず取り入れます。そのうえで、役柄の芯をしっかり理解していたら、「ここはこうするかな?」とアイデアが浮かんできます。今回は、それで揺れていたり、足を開いていたり、気づいたら髪をかき上げているという仕草ができていきました。

――ちなみに、由佳が最初に靴下を脱いだのは、何か意味付けは考えました?
土屋裸足になりたい子だったんです。この世界はみんなが本心をむき出して戦っていくけど、由佳ちゃんは普段の世界では自分をむき出すことが許されなかった。だから、この世界では少しでもむき出したいと、脱いだんだと思います。

――「難しい」「苦しい」というお話もありましたが、女優としてチャレンジのし甲斐もあった作品でしたか?
土屋というより、取り返しのつかない物語だから、「こんな世界はダメだ」という辛さは、自分が本当に苦しまないと伝わらないと思って。自分を苦しめてギリギリの状態で演じていました。他のキャストの方々も同じで、お互いを本気で追い詰めないといけなくて。

――確かに、極限の緊迫感が出ていました。毎回の撮影ごとに、精神的に消耗した感じだったのでは?
土屋体温がどんどん低くなってしまうんです。順撮りだったので、本当にひとりずついなくなっていって。私は人を殺したり、汚い言葉をワーッと吐いて「じゃあ、死ねよ」とか言ったり。「何でこんなことを言わなきゃいけないんだろう……」と思ったりもしました。でも、言わないといけないから辛くて……。

――由佳は何の躊躇もなく言っていましたけど。
土屋そう言わないと生きていけないと判断したんですよね。役者としても人としても、いかに物語に飲み込まれないかが勝負だと思っていました。

――ちなみに、実際の人狼ゲームは知っていたんですか?
土屋聞いたことがある程度で、内容はほとんど知りませんでした。

――太鳳さんぐらい演技力があったら、強そうですね。
土屋それが……みんなと人狼ゲームをやったら、すぐにバレてしまいました(笑)。「ニヤニヤしてるから、すぐわかる」って。実際は私、隠すのが苦手らしくて。
(文:斉藤貴志/撮り下ろし写真:逢坂 聡)

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人狼ゲーム ビーストサイド

 あたし、樺山由佳は、2度目の殺戮ゲームの席に着いていた。参加者は10名。みんな突然この部屋に連れてこられた高校生たちだ。「人狼」のカードを与えられたあたしは、村人たちをあざむき、ひとりずつ殺していかなくちゃならない。普通なら絶望するのかもしれないけど……あたしはむしろ興奮し、驚喜していた。

 なにせ、ずっと待ち望んでいた「非日常」を存分に楽しめるのだから!複数の「自称予言者」が現れ、共有者がほかの村人たちを扇動する。場が混迷を深めるなか、あたしはひとりほくそ笑み、さらなる血の味を求める……。

監督:熊坂出
出演者:土屋太鳳 森川葵 青山美郷
【映画予告編】 【公式サイト】
2014年8月30日(土)全国公開
(C)2014「人狼ゲーム BEAST SIDE」製作委員会

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土屋太鳳 撮り下ろし☆PHOTO GALLERY☆
<映画予告映像>騙されるまえに、殺せ。
『人狼ゲーム ビーストサイド』公式サイト
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