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藤田麻衣子『普通の女の子が「草食系女子のカリスマ」になった理由』

「今、一番泣かせるアーティスト」、そして「草食系女子のカリスマ」と話題のシンガーソングライター・藤田麻衣子。世に“泣ける”曲はたくさんあるが、なぜ彼女の歌がそこまで同性に共感を得ているのか、その秘密に迫った。

1対1で「わかるよ」と寄り添える歌を歌いたい

 「今、一番泣かせるアーティスト」、「草食系女子のカリスマ」と注目を集めているシンガー・ソングライター・藤田麻衣子。今年3月にシングル「涙が止まらないのは」でメジャーデビューしたが、活動歴は長く、初めてライブハウスのステージに立って今年で10年目だ。その間、地道にライブ活動を行い、インディーズデビュー5年目の2011年には全国47都道府県ライブを敢行。ドラマティックなメロディーと、心地よく透き通った歌声、そして何より「私のことを歌ってる」と共感を呼ぶ歌詞が口コミで広がり、いつしかライブ会場は彼女の歌に涙を流す女の子で溢れかえるようになった。ライブの女子率は圧倒的で、ときには9割もの客席を埋め尽くした女性たちが彼女の歌に涙を流す。

 メジャーデビューのきっかけとなったのは昨年10月、日本武道館でのライブで8000人のすすり泣く声を聞いた現レーベルスタッフからのオファーだった。

 「私自身、人一倍涙もろいのですごくわかるんですけど、涙を流すとスッキリするんですよね。いい汗かいた! みたいな感じで(笑)。だけど普段の生活では、人前で泣いちゃいけないシチュエーションって多いと思うんです。仕事とか、彼氏の前とか。だからきっと溜め込んでる人も多いと思うんです。でも、涙を流すのって本当にいい癒しになるので、そんな人たちにとって私のライブが、涙の背中を押すきっかけになれてたらいいなと思います」

 小柄で親しみやすいキュートなルックス。握手会では彼女と一言話したいという女性ファンが、長打の列をなす。「恋愛で苦しんでいたときに、この歌で救われました」「仕事でつらかったときに励まされました」──。身近な友だちや恋人や家族にも言えない悩みを、藤田麻衣子になら打ち明けたくなるのはなぜだろう。

 「たぶんちょうどいい距離感なんだと思います。当たり前ですけど、私も悩みを聞いてその子の周りに言いふらすことはないですし。それと私もそうなんですけど、女の子って答えが欲しいわけじゃないんです。ただ『わかるよ』って言って欲しい。その一言が何よりも癒されるんです。でも男性はどうしても、結論を出したがるんですよね。それで『なんだかうまくいかないな……』って悩んじゃう女の子は多いと思う。世の男性に文句を言ってるわけじゃないですけど(笑)」

 周囲に男性スタッフが多いだけに楽曲制作で意見がぶつかることもあったという。なかでも「このストレートすぎる歌詞はどうなの?」と男性スタッフから懸念されたのが、インディーズ時代に発表した「あなたは幸せになる」。傷ついた友だちの隣に寄り添い、「よくがんばったね」と語りかけるこの応援ソングで、ライブ会場のすすり泣きが頂点に達することも多い。

 「根拠もないのに『あなたは幸せになる』と断言しちゃっていいの? という男性スタッフと、根拠なんていらないんです、という私とで完全に意見が二分したんですよ。だけど女の子って理屈じゃない。傷ついたときにただ寄り添って欲しいだけなんです。結局、一文字も歌詞を変えなかったんですけど(笑)。女子代表みたいな顔して、そんなの偏った意見だよってしょっちゅうスタッフから言われるんですけど、たくさんの人ではなくて、ひとりでもいいから1対1で寄り添ってあげられるような歌を歌いたいと思ってるので、そこは変えたくないんですよね。」

共感を呼ぶ“普通の女の子”の気持ち

 今やライブに足を運ぶ7〜9割が女性と、圧倒的に女性からの共感を呼んでいる彼女。それでもインディーズ初期の頃にライブに足を運ぶのは、ほとんどが男性客だったという。
「たぶん女の子たちも音源では聴いててくれたのかもしれないけど、男の人が多かったですし、様子を見てたんじゃないかなと思うんですよね。私自身、よくいる普通の女の子なので、その気持ちがすごくわかるんですよ。ライブで『一緒に歌って下さい』とか『手拍子をして下さい』と言われても、恥ずかしくてできないタイプなので。でも、ふとしたときにその人との共通点を見つけると、一気にうれしくなってテンションがあがっちゃう。それも女の子ならではの、“共感性”みたいなものなのかなと思うんですけど」

 いつしか「草食系女子のカリスマ」というキーワードがつくようになった彼女。恋にも遊びにもグイグイと自我をさらけ出せるのが「肉食系」だとしたら、その対極ということだろうか。新曲「この恋のストーリー」はバラード系が多い彼女には珍しいアップテンポ曲。恋する女の子のときめきや心のざわめきを描いた、夏にぴったりのポップチューンだ。

 「草食系って何を差すのかわからないですけど、今、20代の6割の女の子が彼氏がいないと聞いたことがあって、ファンの子からも『何年も恋をしてない』というお手紙をいただくことがよくあるんです。でも恋ってとてもいいものだと思うんですよ。ヘコんだり、喜んだり、いろいろと忙しいけど、だからこそ女の子が可愛くなれるのが恋。だから『恋なんてもういいや』なんて思わないで、この曲を聴いて『恋っていいな』という気持ちを高めてもらえたら嬉しいなと思います」

 ディズニー映画『美女と野獣』のような、豊かなオーケストラアレンジの世界観に惹かれるという夢見がちな面を持ちながら、彼女自身、デビューまでにたくさんの現実にさらされてきただろう。世の草食系女子たちもまた、本来はロマンチストでありながら、リアルな日常と向き合っている。そんな毎日の中で涙を封印してしまっている人はぜひ、彼女の歌を聴いて欲しい。涙を思い切り流したあとに笑顔になれるという、デトックス効果をきっと体験できるはずだ。
(文・児玉澄子)

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