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THE ORAL CIGARETTES『ライブバンドとしての自信とデビュー作に込めたエネルギー』

MUSICA、A-Sketch、SPACE SHOWER TV、HIP LAND MUSICの4社によるオーディション「MASH A&R」の第1回グランプリアーティスト、THE ORAL CIGARETTESが、7月16日にA-Sketchよりメジャーデビュー。グランプリ獲得以降、精力的なライブ活動でつけてきたライブバンドとしての自信は、デビュー作にどんな影響を与えたのだろうか。

1年間の我慢をエネルギーとして放出した「起死回生STORY」

  • 写真左から、あきらかにあきら(Ba&Cho)、中西雅哉(Dr)、山中拓也(Vo&Gt)、鈴木重伸(Gt)

    写真左から、あきらかにあきら(Ba&Cho)、中西雅哉(Dr)、山中拓也(Vo&Gt)、鈴木重伸(Gt)

――デビューシングル「起死回生STORY」はどのようなイメージで制作されたのですか。
山中拓也(Vo&Gt)去年の8月にアルバムを出してからの1年間って、僕達にとってすごく我慢の期間だったんです。その1年間で溜めたものを、すべて一気に爆発させてやろうという思いを込めて作った曲が「起死回生STORY」です。本当に、我慢、我慢、我慢からの爆発っていう意味を込めた曲ですね。

――その“我慢”とは?
山中おととしの年末に「MASH A&R」オーディションでグランプリをいただいて、その後にすぐ上京して東京でガッツリと活動するという話もあったんです。でも、それは自分達のやり方にそぐわないし、地元の関西で帰れる場所をしっかりと作ってから上京したかったので、1年間は関西で活動することにしたんです。その中で、自分達の誇れるところを改めて考えた時に、やっぱり「ライブ」だと思って、1年間、ライブをやり続けてきました。でもそれって、外から見れば水面下の活動じゃないですか。ニュースになるわけでもないですし。その間に、同じ関西のバンドがCD発売とか目に見える形でどんどん活動の場を広げている姿を間近で見て、悔しいと思うこともあったんです。
中西雅哉(Dr)ただ、それをマイナスに捉えるんじゃなくて、プラスに変えるためにどうしたらいいかを考えていました。フェスや対バン形式のライブで、僕らを初めて観るお客さんに何を投げかければいいか。そこに挑戦することで成長できた部分もあるし、考え直させられた部分もたくさんありました。そうやって蓄えたエネルギーを「起死回生STORY」で放出できたのかなって思います。

――その我慢の1年間を経て、自分達はどう変化したと感じていますか?
鈴木重伸(Gt)自分達の想像を遙かに超えたスピードで、僕らの音楽が広がっていると感じるんですよ。今までだったら、対バンライブで気に入ったらCDを買うという順番だったのが、最近は先に音源を聴いてからライブに足を運んでくれる方が増えていて、逆転しているような気がしますね。フェスでも、大勢の人が楽しそうに観てくれていると思ったら、実はほとんどがその日に初めて僕らを観たお客さんばかりだった、ということもあります。でも僕らはライブバンドだから、音源を超えたライブがしたいと思っているので、シングルを気に入ってくれたら嬉しいですけど、それだけで満足せずに、やっぱりライブに来て欲しいという思いは強いですね。

――そもそものきっかけとなった「MASH A&R」オーディションに応募したきっかけは?
山中おととしの夏に、僕が病気で1ヶ月半近く入院したんです。その時に、決まっていたツアーをキャンセルせざるを得なくて、メンバーがいろいろと謝りに行ってくれたんですけど、自分がバンドのために何もできないということが、すごく不甲斐なかったんですね。だから何か僕にもできることはないだろうかと考えて、自分達の音楽を、メディアや業界の人に少しでも触れてもらうために、オーディション情報を探すことにしたんです。それで「MASH A&R」の開催を知った。実は僕ら、以前からA-SketchとHIPLAND MUSICに魅力を感じていて、自分達が立てた計画の中で、最終的にこの2社と契約するっていうビジョンを描いていたんですよ(笑)。その2社がタッグを組んだオーディションですから、「これはもう応募するしかないやんか!」って。いざ応募してみたら、いつの間にかどんどん話が進んで、気が付いたら最終選考まで残っていたという感じでした。
あきら最初は残れると思っていなかったので、オーディション後の話し合いで、「(事務所に)入るよね?」って言われた時も、僕らは疑心暗鬼で(笑)。
山中しかも、いきなり上京の話が出たんだよね。
あきらそう。「さすがに、上京はちょっと待ってもらえませんか?」みたいな話をして(笑)。ただ、そんな僕らの考えを尊重してくれたし、僕らも尊敬できる人達だと感じられたので、いい会社と出会えたなと思っています。

ライブを観てくれたら“ギャフン”と言わせる自信がある

――そんな“縁”もあったんですね。では曲作りについて教えて欲しいのですが、まず自分達の中で一番こだわっている点は?
山中「やりたいことをやろう」っていうのが一番のモットーなんですけど、その中でも、「サビは絶対キャッチーに」というのが、僕らのルールです。もちろん、イントロの雰囲気によってはガツンと攻めるリフを加えるとか、歌詞に寄り添ったものにするとか、いろいろな作り方はあるのですが、サビには絶対にこだわります。そのうえで、それぞれ好きにやろう、と。4人とも、考え方が柔軟だし、サウンドに関する引き出しもバラバラなので、結果的に、いろんなタイプの曲が生まれてきますね。
あきら僕の場合は、時間にすると3分ちょっとくらい、少し物足りないくらいで終わるのが美しいというか、曲に対してはそういう美学を持っています。それが結果的に、自然と聴きやすさにつながっているのかもしれませんね。

――確かに、どの曲もエンディングに味がありますよね。そういった曲作りは、パソコン・ベースで行っているのですか?それとも、スタジオでのセッションですか?
中西完全にアナログですね。
山中僕なんて、いまだに携帯電話のボイスレコーダーで、思い付いたメロディやコード進行を録ったりして、それをスタジオでみんなに聴かせるんです。だから、パソコンでデモを作って、メールでみんなにデータ送信なんて、まったくやったことなくて。
あきら僕もボイレコ派です。ピアノのアプリを使って、ハモリを考えたりしています。

――それは意外でした。と言うのも、「ここで来るか!」っていう絶妙のタイミングでキメがバシッと入っていたりして、これはパソコンで曲作りをするデジタル世代ならではなのかと、勝手に想像していたんです。
山中いや、僕は逆だと思うんですよ。生で演奏するから、どこにキメを入れると気持ちいいのかが、感覚的に分かるんだと思います。だから、もしパソコンで作っていたら、ここには絶対にキメは入れなかっただろうなっていうことは、よくあります。アナログのセッションで作るからこそ、キメが多いんだと思います。
あきらセッションしながら、ドラムのまさやん(中西)がキメを試しているのを見て、じゃあ次は自分もやってみようと思ったら、いつの間にか全員が寄り添っていってぴったりハマった、という偶然の発見も、セッションだと結構あるんですよ。
鈴木あるフレーズを、Aメロだと思って弾いている人と、Bメロだと思ってる人が混ざっていたことがあって(一同爆笑)。でも、「あれ?この感じもいいよね」ってなったんですよ。それもセッションだからこそだと思います。

――では最後に、メジャーデビューしての実感と、今後の意気込みを教えてください。
山中曲作りやライブに関しては、これまでと大きな変化はありません。でもやっぱりいろいろな面で責任を強く感じています。それと同時に、自分達の知らないところで、いろんな人が僕らの曲を聴いてくれていて、今までは「カッコいい」っていう少数の意見だけだったのが、賛否両論が飛び交うようになってきていて、それは嬉しいことだと思っています。そんななかで、やっぱり僕らはライブバンドだし、たとえ音源がピンと来なくても、ライブを観てもらえば絶対にギャフンと言わせたるからなっていう自信があるので、ぜひ多くの人にライブに来て欲しいと思っています。
(文・布施雄一郎)

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