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松山ケンイチ&蒼井優『歩もうとしている道の向こうの光 (松山)』

同年代であり、ともに個性的な実力派俳優として評価を受ける松山ケンイチと蒼井優が、“今だからこそ”の距離感でお互いへの率直な思いを語りあう! ふたりにとって約6年ぶりで3度めの共演となった、木村大作監督の『春を背負って』。その過酷な撮影現場のウラ話は、思いのほか楽しげに盛り上がる☆

あんなふうに撮られたことはなかった

──おふたりとも木村大作監督と仕事をしてみたかったそうですね。前作『剱岳 点の記』の撮影はかなり過酷だったと聞いていますが、それを超えるような大自然のなかでの撮影、戸惑いはなかったんでしょうか。
蒼井木村監督は、すべての責任を背負う覚悟がある監督。スタッフでも役者でも、そういう覚悟のある人との仕事は安心して現場にいることができるんです。実際、想像していた以上に素晴らしい現場でした。クランクアップのときに、悟郎さん役の豊川さんが「本物の映画屋の映画作りの心と姿勢を見せてもらいました」とおっしゃっていて、本当にその通りだなと思いました。
松山木村監督は、強さだけではなく優しさもあって、しかも無垢というか子どもが遊んでいるような感じもするんです。だから、過酷なロケで大変なのにみんないつも笑っている。それがものすごくいいなぁと。あそこまで(人間の本質を含め)美しく人を撮る木村監督は本当にすごい方だと思いましたし、僕自身、今まであんなふうに撮られたことはなかった。細かい表情をすくいとってくれるんです。木村監督との仕事は本当にしあわせでした。もっと早く会いたかったです。
蒼井もっともっと一緒にいたかったですね。

──素敵な監督ですね。撮影は立山の最高峰大汝山(3015m)の山頂にある休憩小屋。実際に登ってロケセットを見たときの感想は?
松山最初に大汝休憩所を見たのは、雪のなかに埋まっている屋根しか見えない山小屋でした。映画と一緒で、雪かきが最初の仕事だったよね。
蒼井そうそう、せっかく登ったのに屋根しか見えない(笑)。

──なかなかできない経験ですね。松山さんと蒼井さんはともに1985年生まれ。本作が3度めの共演になりますが、今回はどんな印象を持ちましたか?
蒼井松山さんとは、『男たちの大和/YAMATO』『人のセックスを笑うな』に続いて3作目。共演を重ねるたびにどんどん力が抜けていっている印象はあります。自分にあう生き方を見つけていっている感じがするんですよね。作品にもよりますけど、『男たちの大和/YAMATO』のときは、すごくギラギラしていました。実は、今回の現場ではじめて(じっくり)話をすることができたと思うんです。
松山話しすぎましたね(笑)。優ちゃんは、毎回共演するたびに「同じ人なの?」と思ってしまうというか、蒼井優という着ぐるみを着ているけれど中身は毎回違っているんじゃないかって思うんです。そういうイメージです。

変な人間だったけど それじゃいけないと思って

──それだけ役に染まっているという褒め言葉ですね。
蒼井でも、松山さんのその言い方、褒められている感じがしないです(笑)。
松山(笑)今回、優ちゃんがいてくれたおかげで、山小屋のなかはすごく明るくて、すごく温かかったんです。もし優ちゃんがいなかったら、もっと険しい表情で過ごしていたと思う。優ちゃんが笑ってくれていたから、みんな笑顔でいられた。そういう女性になったんだなぁと……。
蒼井(笑)最初はどんな印象だったの?
松山みんなを和ませるという感じじゃなくて、なんて言うか、妖精みたいで少し近寄りがたい感じ? だったけれど、今回はみんなを引き寄せる雰囲気を感じた。だから、優ちゃんの着ぐるみを着た別の誰かなんじゃないかなって(笑)。
蒼井たしかに、そうかもしれないです(笑)。『男たちの大和/YAMATO』の頃は人に話しかけられたくなくて、話しかけられたとしても上手く答える自信がなかった。人としゃべるのが本当に苦手だったんですよね……。
松山貝になってたよね。
蒼井寝たふりとかしていました(苦笑)。そういう変な人間だったんですけど、それじゃいけないと思って、努力して──。

──そうなんですね。そういう変化がありつつ、同年代で、しかも共演3度目となると安心感もあった?
蒼井それもありますけど、今回は豊川さんの存在も大きかったです。あと、天使のような檀ふみさんの存在とか、ただただ人のいい新井浩文くんとか……(キャストの)バランスがとてもよかった。
松山とくに豊川さんはいい意味で自然体。本当に悟郎さんみたいな人で、温かく見守ってくれる方でした。
蒼井一緒にはしゃいでもくれるんですよ! 本当にやさしい人です。
松山豊川さんとがっつり共演させていただいて、話をして感じたのは、格好いい男とはこういう人のことなんだなということです。余裕があって、いろんなものが見えていて、みんなを和ませることができる。すごく大きな人だと感じました。

──そんな豊川さんを背負って下山するシーン、とても印象的で感動しました。
松山あのシーンは、なにも考えていなかったです。ただ、この人を山から下ろさなくてはならないという気持ちだけで……。雪も崖も重さもあるし、頭でいろいろ考えるよりも、体を動かさなくてはいけないシーン。必死でした。自分自身がどういう演技をしているのか、どういうふうに映っているのか、まったくわからなかったです。
蒼井豊川さんにケガをさせてはいけないという緊張もありましたね。この現場って、自分の命は自分で守りましょうという感じでもあったんです。そんななかで、人の体(命)を預かるのは相当恐いだろうなって、亨を見ていました。あと、木村監督は役者に演じることを求めているのではなく、役者それぞれが持っているたたずまいさえ撮れればいいと。実際、豊川さんと悟郎さんの境目はない気がしました。

“何もしない”を頭で考えないように徹底させる

──悟郎さん、ほんとうに魅力的なキャラクターでした。もちろん、亨も愛も魅力的。松山さんから見た愛というキャラクターの魅力、蒼井さんから見た亨というキャラクターの魅力、聞かせてください。
蒼井亨、どんな男なんだろう……。というのは、私自身、“演じた”という記憶がないんです。今までの“演じる”こととはぜんぜん違って、何もしないことを頭で考えないように徹底してやるというか。たとえ考えたところで、この現場では無駄なので。だから、亨はどういう人なのか、ただただ感じていただけ。松山さんが演じる亨を、豊川さんが演じる悟郎さんを、感じていました。松山さんはどうだった?
松山そうだなぁ、愛ちゃんのシャンプーしているときのセクシーショット、二の腕がいいなぁって(笑)。あのシーンは愛ちゃんの魅力が映っています(笑)。
蒼井(笑)豊川さんもそうだけれど、松山さんと亨の境目もなくて。役へのスイッチが切り替わったのがわからない。さっきまで喋っていたのは、亨だったのか松山さんだったのか……というほど。
松山愛ちゃんの魅力は、二の腕と(笑)はきはきしているところですね。亨は一度自分が選んだ道とはまた別の道を選ぼうとしていて、まだ“居場所”が定まっていない人間なんです。愛ちゃんは、荷物を背負っているし迷っていることもあるけれど、とても明るい。そういう人に人は引き寄せられる。亨は、愛ちゃんのそういうところに惹かれていったんだろうなと思います。亨にとって愛ちゃんは、自分が歩もうとしている道の向こうにいる、光のような存在なんです。

──“居場所”という言葉が出て来たので、おふたりにとっての、今現在の居場所についてもぜひうかがいたいです。
蒼井撮影中は考えることができなかったけれど、撮影を終えて、出来上がった作品を観て、自分にとっての“居場所”について考えるようになりました。
松山僕も考えたし、“居場所”って、決してひとつではないんだと気づかせてもらいました。木村監督と一緒に仕事をしたことで、映画の現場ってこうだよな、ここに居てよかったなって思わせてもらったし、自分の家族といるときも地元に帰ったときも、ここが自分の場所だなって思える場所がいくつもある。そう感じられることがしあわせです。
(文:新谷里映/撮り下ろし写真:片山よしお)

春を背負って

 立山連峰で山小屋を経営する厳しい父・勇夫(小林薫)に育てられた長嶺亨(松山ケンイチ)は、父から遠ざかるように都会で暮らしていたが、父の突然の訃報に帰郷する。そこで気丈に振る舞う母(檀ふみ)やその姿を見つめる山の仲間たち、そして見慣れぬ女性・高澤愛(蒼井優)らと接し、都会での生活を捨て山小屋を継ぐと決める。
監督:木村大作
出演者:松山ケンイチ 蒼井優 檀ふみ 小林薫 豊川悦司
【公式サイト】
2014年6月14日(土)全国東宝系でロードショー
(C)2014「春を背負って」製作委員会 

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インタビュー連載Vol.1“豊川悦司”『人生、そんなに甘くない(笑)』
映画『春を背負って』公式サイト

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