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シェネル『カバーブームの火付け役!日米の音楽シーンの違い、日本での自身の存在とは!?』

6月4日に『ラブ・ソングス2』をリリースするシェネル。ヒット作『ラブ・ソングス』の第2弾で、SPICY CHOCOLATEのヒット曲「ずっと」や、MISIAの「逢いたくていま」など、J-POPの英語カバーに加え洋楽カバーも収録し、前作を凌ぐヒットが期待されている。日本における自身の存在感、日本とアメリカの違い、将来に何を見ているか語った。

ギャップを生み出すことで、J-POPシーンでユニークな存在になれた

  • 『ラブ・ソングス2』【デラックス盤】

    『ラブ・ソングス2』【デラックス盤】

 「ベイビー・アイラブユー」の日本語カバーや、映画『BREAVE HEARTS海猿』の主題歌「ビリーヴ」などのヒットで、日本でも人気を獲得した米・ロスアンゼルス在住の歌手・シェネル。2011年にリリースした『ラブ・ソングス』は、ロングセールスを記録し、カバーアルバム・ブームの火付け役となった。若者の間での洋楽放れが進むなかで、この結果は驚異的と言える。そもそも、いったい何がウケたのか?

 「私はJ-POPのカバーだからと言って、歌い方や声の出し方を変えたことはなく、いつも通り普通に、自分流の歌い方でやっているんです。欧米的な歌い方でありながら、楽曲はJ-POPという、このコンビネーションやギャップがあったからこそ、J-POPシーンでユニークな存在になれた。リスナーのみんなには、それが新鮮だったのではないでしょうか」

 彼女が歌うJ-R&Bは、もともとアメリカから日本に輸入され、それを日本独自の解釈や方法論と、馴染ませ融合させることによって進化して来た。逆にシェネルは、そこにギャップを生み出すことで、双方の良さを際立たせ、それが結果として大きなヒットにつながった。日本的な効率のいいレコーディングシステムのなかで、アメリカ的な発想を持ったシェネルの感性をいかに発揮するかも、大きなポイントになったと話す。

 「アメリカでは、とりあえず最初に50曲くらいレコーディングして、それから選曲するということがあるし、クリエイティビティーがのってきたら、たとえ朝になってもノンストップで作業するときもあります。逆に日本は、企画や構想を練るとか、下準備に時間をかけるという印象です。これはどちらがいいか悪いかではなく、アメリカ人と日本人の国民性の違いみたいなものだと思っています。日本のやり方は、ナッシュビルで行われている、カントリーソングのレコーディングのスタイルに似ているとも思いました。準備がしっかりできた上で歌えるので、自分自身とても歌いやすい環境ですし、刺激も受けています」

 前作の第1弾から約3年を経てリリースされる『ラブ・ソングス2』は、日本のやり方にも慣れ、実にスムースだったそう。日本の担当ディレクターと相談しながら、彼女自身が好きで歌いたいと思う楽曲や、ディレクターからの提案で気に入った楽曲も含め、全13曲がレコーディングされた。選曲には、この3年の間でより深まった、彼女のJ-POPに対する想いや理解が反映された。

 「前作では、J-POPのバラードばかりを選曲していました。当時、私にとってJ-POPそのものが新鮮で、J-POPを歌うということ自体が非常に大きかった。それから、日本の音楽番組を付けっぱなしにして、自然に流れて来て耳に残った楽曲をピックアップしたり、独学でJ-POPについて学び、そのなかでインスピレーションを得たアーティストもたくさん見つけました。前作より、ずっと日本の音楽の流れを深く理解した上で、レコーディングが行われたので、その点ではより豊かな表現ができたと思っています」

音楽そのものが情熱をそそぐべきもので、場所は関係ない

  • 『ラブ・ソングス2』【通常盤】

    『ラブ・ソングス2』【通常盤】

 J-POPに対する興味の幅が広がったことで、今回はバラードだけではなく、MINMI、ソナーポケット、m-floなど多彩なアーティストをピックアップし、レゲエやHIP HOPなど幅広い楽曲を収録した。J-POPだけでなく、リアーナやブルーノ・マーズのカバーも収録され、非常に多面的な表情を聴かせるアルバムになった。CMソングとしても有名なSPICY CHOCOLATEのカバー曲「ずっと」は、英語カバーアルバムの中にありながら、サビの<ずっと>というフレーズは日本語のままで歌っているのがミソ。何度も繰り返される「ずっと」というフレーズの、細かなニュアンスの違いも聴き応えがあり、シェネルのボーカリストとしての成長がうかがえる。

 「“ずっと”を“フォーエヴァー”と英語に変えるアイディアも確かにありましたが、“ずっと”のままのほうが、気持ちが伝わると思いました。ニュアンスの違いに関しては、すべて同じだったら、コピペしたのと変わらないし、機械的なものになってしまいますからね。最近はオートチューンという技術で音程が修正できたり、音楽がどんどん機械的になっています。でも、ホイットニー・ヒューストンが活躍していた時代は、テープに録ることが当たり前で、修正できないからこそ、そこにはその人自身が込められていました。私は、音楽には、そういう人の温かみが必要だと思っています」

 音楽はダウンロードされる時代。日本の音楽も、彼女が言うように機械的に生み出されるものも少なくない。彼女自身洋楽ダウンロードの女王であればこそ、人の温かみにこだわりを持つ。それこそが、シェネルのヒットの秘密かもしれない。今作のリリースに際するツアーでも「人々の心に残るようなライブをやっていきたい」と、人との温かみのある触れ合いに意欲をみせる。

 「1日中部屋でCDを聴いているのと、わざわざ足を運んでライブを見に行くのでは、まったく違った意味を持つと思っています。その点で、ライブは私にとって非常に大きなファクターです。先日もアメリカでライブをやったのですが、日本のお客さんもたくさんいらっしゃって、「ビリーヴ」を歌ったらすごく喜んでくれました」

 ここまでJ-POPに理解を示し、結果も出しているのだからと、日本に拠点を移した活動を提案されることも多々あるそう。また、アメリカでJ-POPの英語カバーを発信することで、坂本九の「上を向いてあるこう」のようなビッグヒットも生まれるのではと、うながす声も多いそう。しかしシェネル自身、アメリカと日本という小さな考えは、とうに頭にないようだ。

 「もちろん日本やアメリカでキャリアを築くことができたのは、非常にラッキーで恵まれていると思います。でも私は、もっと広い世界の中で、体験するべき音楽があるだろうと思っています。そこでインスパイアを受けて、磨かれていくものが絶対にあるはず。私にとって、音楽そのものが情熱をそそぐべきもので、場所は関係ないと思っています」

 日本、アメリカ、双方に活動の場を持ちながら、その目は世界を向いている。洋楽ロックの世界ではクイーンなど、日本でのヒットを足がかりに世界で活躍したアーティストは数多くいる。彼女が日本での経験を、これから世界でどう活かしていくか、非常に興味があるところだ。『ラブ・ソングス2』に収録されている「ずっと」などのJ-POPの英語カバーが、世界中に響く日が来ることを期待したい。
(文:榑林史章)

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