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井上陽水『名盤『氷の世界』を“解凍” 自身が語る制作舞台裏!!』
『氷の世界』が万人受けするとは思わなかった
井上うーん。まぁでも、歌謡曲というのは永遠なものではあるんですよ。ただちょっと、裏面を表現するような曲も、僕だけじゃなくこの時代に出始めたんですよね。聴く人も「あぁ、そういう曲もありだよね」っていう空気感が出来てきたというか。
――このような作品がミリオンを突破して、社会的に認知されたのは衝撃的なことだったんでしょうね。
井上万人受けするとは思わなかったですよね(笑)。当時のアルバムというのは、あくまでヒット曲を並べただけのものだったんですよ。そうじゃないと発売できないという制約もあってね。
――アルバムとしてのコンセプトでなくて、ヒットの寄せ集め感が強かった。
井上そうそう。アルバムの扱いが低かったですからね。アルバム出したい!と言っても、「民謡だったらどう?」って言われたりしてね(笑)。
“コンセプトアルバム”を作りたかったんです
井上僕はやっぱりビートルズが好きだったから『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(1967年)あたりから、トータルで味わうというコンセプトアルバムというものが日本でも浸透したんでしょうね。それを聴いて僕も「いいなぁ〜こんなアルバム作りたいな」って思ってね。
――それが『氷の世界』だったんですね。確かに邦楽のコンセプトアルバムとしては、初めて社会的に認知されましたからね。
井上幅広くやりたいなっていうのはありましたね。それっていうのは、やっぱりビートルズの影響が多大にあったワケで。ロックバンドなんだけどストリングスを使ったり、世界中の様々な音楽を取り入れてたりしてましたからね。そんなアルバム作りをやりたいなって。
――そういった意味で言うと、まさに『氷の世界』は、その独特な歌詞世界と共に曲調も非常にバラエティに富んでいますよね、フォーク、ファンク、歌謡曲テイストまで。「小春おばさん」なんて、かなりプログレが入っていますし(笑)。
井上そうなんですよ。作った当初は、自分ではけっこう純日本風の曲だなぁなんて思っていたんですけど、NHKの特番で久しぶりの当時のスタッフと話して、「なんでロンドンでレコーディングしたんだろうねぇ」なんて話して(笑)。でも、結果として、骨太な感じだったり、プログレ感が歌詞とミスマッチな感じで良かったんでしょうね。
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