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井上陽水『名盤『氷の世界』を“解凍” 自身が語る制作舞台裏!!』

 史上初のミリオンセラーを記録した歴史的名盤『氷の世界』。発売から40年が経過し、デジタルリマスター盤が発売。ORICON STYLEでは井上陽水にインタビューを敢行し、当時の制作秘話や、故・忌野清志郎さんとの思い出など、貴重な話を聞いた。

当時は若さゆえの“衝動”が凄かったですね

――発売から40年、日本初のミリオンセラー作品として金字塔を打ち立てたアルバム『氷の世界』が今回改めてリマスター盤が発売されます。まずは発売の経緯からお伺いしたいのですが?
井上陽水まず最初にね、僕の前に奇特な方が現れましてね(笑)。「『氷の世界』制作時を振り返りながら検証する番組を作りたい」という話が来まして。

――昨年末にNHKで放送された特番ですね?
井上そうそう。10年前の僕なら「え〜そんな古い話ほじくり返してどうするの〜」って感じだったでしょうけど、まぁちょうどいい頃合いに僕もなってきたということでね(笑)。「いいんじゃないでしょうか」なんて言ってた時に、ちょうど『氷の世界』のマルチテープが発見されてね。じゃあ改めて聴いてみたいねって話になって。で、番組が出来たんです。

――当時を振り返る貴重な証言や検証など、本当に濃い番組でした。
井上まぁ、本人は当時のことほとんど忘れていたんですけどね(笑)。で、放送した後に『氷の世界』に収録した曲を全曲歌うツアーをやりたいなって気持ちになったんです。じゃあ、せっかくだからリマスターした『氷の世界』も出してもバチはあたらないでしょう! ということで、改めて発売することになったんです。

――改めて『氷の世界』を聴いてどんな思いにかられましたか?
井上まずね、音がいいなぁって思ったんです。当時はアナログ録音で、それまでは8チャンネルだったんだけど、初めて16チャンネルを使ってレコーディングだったんです。ロンドンで録音したという事もあったし、なによりも当時の若さですね(笑)。僕も含めミュージシャン全員の、若さゆえの衝動が凄かったですよね。

昔から“裏路地”が好きだったんでしょうね(笑)

――今のレコーディング技術は当時とは比較にならないくらい進化してしまいましたが、当時は一回一回がまさに真剣勝負ですよね。
井上そうそう。今ってどうにでも出来ちゃう便利さがあるけど、あの頃はそうではなかった。それなりの緊張感、真剣さ、集中力を要していたとは思いますよね。

――今では考えられないかもしれないですけど、あの当時8チャンネルから16チャンネルに変わったというのは、無限の可能性を手にした感覚だったんでしょうね。
井上うん。今だったら「だから何?」って感じでしょうけどね(笑)。あの当時はホントに何でも出来るぞ!って思ってましたよね。今はそれこそチャンネルなんて無限だしどこからでも切り貼りできちゃう。素晴らしい反面、「なんだかね〜」って(笑)。

――制限されているからこそ生まれた創意工夫で名作って誕生するものなのかなって思います。
井上そういうのって絶対あるでしょうね。便利な世の中になっちゃったけど、便利な物の裏に必ずあるマイナス面と言いますかね。そういったものは必ず潜んでいるんですよ。

――『氷の世界』はもちろん、“裏側”というものを井上さんはずっと表現されてきたのかなって思うんです。
井上上手な流れですねぇ(笑)。確かにずっと興味があって、『氷の世界』を出す以前の歌謡曲の大半は、表の部分を表現するのがメインだった。裏の部分なんて、わざわざ歌にしたくてもさ〜っていう風潮でね(笑)。「自己嫌悪? だれがそんな歌聞きたいのよ〜」って言われてたワケで。

――アハハハハ! そういう時代だったんですね。
井上そうそう。でも僕はむしろ表面的なものはあまり好きじゃなくてね。“裏路地”が好きだったんですね、昔から(笑)。

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