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石川さゆり『椎名林檎 作、プロデュースの新曲リリース!制作の舞台裏に迫る』

石川さゆりと椎名林檎との出会い。これはなんと魅惑的でスリリングなのだろうか。ジャンルの枠を越えた自在なコラボレーションによって生まれたシングル「暗夜の心中立て」は音楽のマジカルな化学変化が詰まった素晴らしい作品となった。美しくも儚くて、凛としていて妖しい歌の世界はどのようにして生まれたのだろうか?

『NHK紅白』をきっかけに公私ともに親交「すごく気が合っちまいまして(笑)」

――椎名さんと初めて会ったのは2011年の『第62回NHK紅白歌合戦』とのことですが、どんな出会いだったのですか?
石川さゆり『NHK紅白歌合戦』というのは、いろんなジャンルの歌い手が一堂に会して、1年の締めくくりとして最高のパフォーマンスを披露する場なので、みんなキラキラしていて素敵なんです。椎名さんのステージも紅白で初めて生で見させていただいて、素晴らしくて。もともとデビューされた時から個性的で、歌詞もメロディーもパフォーマンスも素敵だな、と思いながら拝見させていただいていて、椎名さんは椎名さんで、石川の歌の世界を気になる存在として見てくださっていたみたいで。私のヘアメイクさんと彼女のスタイリストさんが仲良しだったこともあり、紅白の楽屋で「いつか一緒に楽曲を創れたらいいですね」ってお話させていただきました。

――それが今回のシングルに繋がっているわけですね。
石川2012年9月に、さまざまなミュージシャンの方々に曲を書いていただいて『X-Cross』というアルバムを作ったんですが、それに続く『X-CrossII』(2014年4月23日発売)を創るにあたり、「ぜひご一緒していただけませんか?」と椎名さんにリクエストしたところ、すごく気が合っちまいまして(笑)。「こんなことも、あんなこともやってみたいよね」って盛り上がり、出来上がってきた曲がどれも素晴らしくて、まずシングルという形で先発で出していきましょうってことになったんです。

――気が合ったのは音楽への真摯な姿勢や探求心など、お2人に共通するところがたくさんあったからなのではないですか?
石川“似ている”というと簡単な言い方になってしまいますが、お互いに広げていったり、膨らませていったりできるというか。だからとても楽しくて。制作期間はスタジオワークのスケジュールが入っているので、約束しなくてもいつ会えるとわかっていたんですが、曲が完成したら会う機会が減るので「寂しいわね、今度はいつ会えるんでしょうねって(笑)」。それで彼女のお勧めのライブを一緒に観に行ったり、遊びに行ったり。そういうことも全部、音楽に繋がってくるんですよ。これを彼女が観たら、どういう反応するのかなって思うし、そうした会話から何かが生まれたら素敵だなって思うし。

――「暗夜の心中立て」は、どんなやりとりの中で生まれたのですか?
石川細かなやりとりというよりも、“今の時代の空気の中で何を感じているのか”といった会話からテーマが広がることが多いんですが、この曲に関しては、今の世の中はなんて不条理なことが多いんだろうっていう話の中で、椎名さんが“何か”をすくいとって創って下さって。

――椎名さんから曲と歌詞が上がってきて、どう思われましたか?
石川椎名さんの独特の個性あふれる世界でありながら、自分が求めていたものともガチッと合いました。何度も推敲(すいこう)していただいて、いっぱい歌詞を書き換えられたんですが、彼女の世界がそこで膨らんでいくのを感じながら、歌を創っていきました。

――女性が持っている覚悟した時の強さ、大きさ、すごさ、切なさまでもが伝わってきました。
石川「津軽海峡・冬景色」にしてもそうですが、これまで男性の作家の先生の歌を表現することが多かったんですが、女性が女性に託して、女性が仕上げる世界からはこういうエネルギーが生まれるんだっていう楽しさと面白さを感じながら作っていました。女同士だから理解し合える痛みや喜びが聴く側にも伝わればいいなぁって。女性なら「そうそう、そうなのよ」って、男性なら「ふーん」って、新鮮に感じるかもしれないですよね(笑)。曲を出す時はもちろん毎回みなさんに聴いていただきたいと思うんですが、今回は特にその思いが強くて。男性も女性も、どんな年代の方にも聴いていただけたら嬉しいと強く思える作品になりました。

“自分の中にどんな声があるのか”探ってみたいと思える出会いをもらった

――カップリングの「名うての泥棒猫」の粋な世界も魅力的です。椎名さんとのハモリも入っていて、声の相性も絶妙です。
石川メロディーが先にできあがってきたんですが、懐かしい耳ざわりの不思議なメロディーだなと思っていたら、椎名さんが「実はザ・ピーナツさんみたいな感じをイメージしていて」とおっしゃったので、「私も同じようなことを感じたのよ。だったら2人でやっちゃおうよ」って、私がお誘いをしたんです。だって聴いた時に、そういう音が聞こえてきたんですもの(笑)

――それは素晴らしい提案ですね。
石川そういうイメージのキャッチボールの中で、こういう形になりました。椎名さんに聞くと、実は1曲目も2曲目も繋がっていて、曲調は違うけれど、芯にあるものは共通しているとのことでした。一途な思いと、べらんめえ口調で啖呵(たんか)を切る女性の心意気や女伊達みたいなものを2曲で表現しているので、どちらも聴いていただけたら。目指している絵がお互いにブレていなくて、彼女の持っている世界と石川の創って来た世界が良い形で交わった。融合したのか、ぶつかって火花が出たのかはわからないですけど。

――お互いが歩み寄るのではなくて、それぞれの個性を全面的に発揮しながら、素晴らしい創造が生まれていると感じました。
石川出会いのタイミングってあって、椎名さんと良い時に出会えたんじゃないかと思います。自分の中にどんな声があるのか、探ってみたいと思える出会いをもらったなって。特別な曲が誕生する時って、言葉では説明出来ないエネルギーが生まれて、形になっていくんですよ。宇宙に新しい星が生まれていく時みたいな感じ。ただ、そういう瞬間はスルッとすり抜けてしまうので、表現者である私たちが常に求めて、探し続けていないといけないものだと思っています。

――さまざまな唱法を駆使した歌声も新鮮でした。40年以上やってきて、どうしてこんなにクリエイティブでいられるのでしょうか?
石川歌を歌って、聴いていただくことをずっとやってきたわけですから、「もうこれでいいや」なんて思ったら、みなさんに申し訳ないし、自分もつまらないですから。かと言って、やたらめったと手を出しているつもりはなくて、ちゃんと腹を据えて、みなさんに聴いていただきたいと思えるものを創っているので、良い形で伝えていけたら嬉しいですね。
(文:長谷川誠)

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